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平成27年07月09日

知事のヨーロッパ訪問(イタリア、フランス、イギリス)第7日目(7月7日)の概要について

 平成27年7月7日(火曜日)、滞在中のイギリスにおいて、プライマリ・ケア(身近で総合的な一次医療)に係る医療制度の中で、中心的な役割を担っている英国王立家庭医学会及び代表的なクリニックを訪問し、総合診療医が果たすべき役割や可能性について意見交換を行いました。
 また、イギリスで最も歴史のあるロイヤルフリーホスピタルとの間で看護職員の研修受入れに係る覚書(MOU)を締結しました。
 さらに、里親養育の研究では世界屈指の専門機関であるオックスフォード大学リース里親・教育研究センターを訪問し、先進的な試みや研究について意見交換を行いました。
 (※以下、時刻は現地時間で記載。時差は-8時間で、日本が先行。)

1.英国王立家庭医学会(RCGP)等の訪問
(1)日時:平成27年7月7日(火)8時30分から10時15分まで
(2)場所:・クイーンズブリッジ グループ クリニック
       Queensbridge Group Practice
       (24 Holly Street,Hackney,London,E8 3XP)
      ・英国王立家庭医学会本部
       RCGP:The Royal College of General Practitioners headquarters
       (30 Euston Square London NW1 2FB)
(3)対応者:【クイーンズブリッジ グループ クリニック】
       ・Dr.Patrick Hutt (Queensbridge Group Practice Partner)
    (パトリック・ハット医師 クリニック共同経営者)
       ・Dr.Roger Neighbour (Past President of RCGP)
         (ロジャー・ネイバー医師 元RCGP会長)  他1名
       【英国王立家庭医学会本部】   
       ・Professor Maureen Baker(RCGP Chair of Council)
    (マウリーン・ベイカーRCGP議長)
       ・Dr.Roger Neighbour (Past President of RCGP)
         (ロジャー・ネイバー医師 元RCGP会長)  他5名
(4)訪問者:鈴木 英敬 三重県知事  
       竹村 洋典 三重大学大学院医学系研究科家庭医療学教授  
       四方 哲   三重県立一志病院院長      他
(5)概要:
  ・最初にクイーンズブリッジ グループ クリニックを訪問し、効率的で先進性の高い英国の医療制度の
   中で、プライマリ・ケアを担うGP(General Practitioner(総合診療医(家庭医))の現状や課題
   について意見交換を行いました。
  ・クリニック側からは、英国のクリニックでは、5人以上のGPによるグループクリニックの普及が進
   み、研究や教育への従事や医療の質の確保等の課題に対応していること等の説明を受けました。
  ・英国王立家庭医学会のロジャー・ネイバー医師からは、日本で総合診療医を育成していくためには、
   医学生に総合診療の魅力を教え、社会や患者とふれる機会を増やしていくことが必要であるとの発言
   がありました。
  ・その後、英国王立家庭医学会本部に移動し、総合診療医の人材育成などに係る意見交換を行いまし
   た。
  ・知事は、「高齢化が進む日本においても、プライマリ・ケアを担う総合診療医(家庭医)の役割はま
   すます大きくなる。」と発言し、総合診療医の診療範囲の幅広さと専門性を両立させる方策など、三
   重県における地域医療の確保に向けて意見交換が行われました。

(6)参考情報:
  1)英国の医療制度の概要等
  ・英国では1948年以降、NHS(National Health Service, 国民保健サービス)を導入し、全国民に
   対してほぼ全ての医療サービスを原則無料で提供しています。
  ・全ての国民は、近隣のGP(General Practitioner 総合診療医(家庭医))をかかりつけ医として
   登録してあり、医療を受けたい場合には、まずGPの診察を受ける必要があります。GPは、プライ
   マリ・ケアを担当しており、必要に応じて専門医(Consultants)を紹介するシステムとなっていま
   す。
  2)英国王立家庭医学会(RCGP)の概要
    当学会は、英国内外においてプライマリ・ケアに携わるGPの団体として1952年に設立され、現在
   5万人を超える会員を有する英国最大の学会であり、GPへの教育プログラムの提供、学会の開催及
   び専門医認定試験の実施など英国の医療制度に深く関与しています。

2.ロイヤルフリーホスピタルとの覚書(MOU)の締結
(1)日時:平成27年7月7日(火)10時30分から11時40分まで
(2)場所:ロイヤルフリーロンドンNHS財団トラスト
(3)対応者:アリソン シャット 国際開発取締役  他6名
(4)訪問者:鈴木 英敬 三重県知事
       早川 和生 三重県立看護大学学長
       西村 訓弘 三重大学副学長   他9名
(5)概要:
   イギリスで最も歴史のあるロイヤルフリーホスピタルを訪問し、看護分野における国際的な視野を持
  って活躍できる看護職員のリーダー育成を図るため、三重県とロイヤルフリーホスピタルとの間で県内
  の看護学生、看護職員及び看護教員の研修受け入れに係る覚書(MOU)を締結しました。
   締結式の冒頭、ロイヤルフリーロンドンNHS財団トラストのアリソン・シャット国際開発取締役か
  ら、「今回のMOU締結によって、ロイヤルフリーホスピタルと三重県が実り多い関係になることを期
  待している。」と、三重県とのMOU締結を歓迎する挨拶がありました。
   鈴木知事からも、「三重県民182万人のリーダーとして今回ロイヤルフリーホスピタルとのMOUの
  締結を行うことは、県民の幸せの向上のために大変喜ばしく、この機会を設けていただいたことに感謝
  する。今後、良好な関係を構築・維持していくことで、双方にとって有意義なMOUとなることを期待
  している。」と謝辞を述べました。
   締結式では、双方からプレゼンテーションを行いました。アリソン・シャット氏からは、病院の紹介
  と合わせて、ロイヤルフリーホスピタルがエジプトや中国など海外との連携・協力を推進していること
  について説明がありました。また、同氏は「自国を離れて活動を行った看護師や医師は、より効果的に
  実力を発揮することが証明されている」として、ロイヤルフリーホスピタルから三重県への人材派遣も
  視野に、「我々の交流が、双方の患者ケアの向上につながればよい」と、今後の人材交流に期待する発
  言がありました。
   知事からは、三重県の看護師、助産師の不足が深刻な状況にあることを説明し、「看護職員の量的確
  保に向けて、働く環境を質的に向上していく必要がある。そのためには、三重県の看護職員はロイヤル
  フリーホスピタルで学ぶことができるなど、三重県で看護業務に従事することの魅力を高めていくこと
  が重要であり、今回のMOUにより三重県の看護の環境改善が図られることが期待される。」と、ロイ
  ヤルフリーホスピタルとのMOU締結の意義について述べました。

3.オックスフォード大学訪問
(1)日時:平成27年7月7日(火)14時20分から15時30分
(2)場所:オックスフォード大学教育学部リース里親・教育研究センター
      (以下、「リースセンター」という。)
(3)対応者:ジュディ・セバ リースセンター所長(教授)
       アイン・ケリー研究員、クリスティーナ・プラフキー研究員 他6名
(4)訪問者:鈴木英敬 三重県知事
       西村訓弘 三重大学副学長  他9名
(5)概要:
  ・里親委託にかかる研究を行っているリースセンターを訪問し、所長のジュディ・セバ教授及び研究員
   と意見交換を行いました。
  ・自ら社会的養護の環境下で育った経歴を持つアイン・ケリー研究員からは「社会的養護の環境下で育
   った子どもや若者の健康」について、プレゼンテーションがありました。
  ・このプレゼンテーションを受けて知事から「三重県では三重県歯科医師会、愛知学院大学と連携し
   て、子どもの歯の健康状態から虐待を受けているかどうかを検証する全国でも珍しい取り組みを行っ
   ており、今後この取り組みをブラッシュアップする中で、アドバイスをいただければありがたい」と
   発言しました。
  ・また、クリスティーナ・プラフキー研究員から「施設入所児童の里親委託の推進」について、プレゼ
   ンテーションがありました。
  ・このプレゼンテーションに関連して知事から「行政機関が里親委託した場合と民間機関が里親委託し
   た場合の違い」について質問したところ、ジュディ・セバ所長から「イングランドでは、行政機関と
   民間機関では大きな差はない。むしろ民間機関の方が対応の難しい子どもの委託及び支援を担ってい
   る」との回答がありました。


関連資料

  • 7月7日の写真(PDF(321KB))
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