1 経緯
県立学校における相当免許を有しない教員による授業については、6月21日付けで全県立学校を対象に調査を行い、調査結果を7月5日付けで公表しましたが、県立いなべ総合学園高等学校及び県立昴学園高等学校において、相当免許を有しない教員が、単独で授業を行っていたことが新たに判明しました。
これにより、県立学校全70校中9校において相当免許を有しない教員による授業が行われていたことになります。
2 事案の状況と原因
両校は、校長及び教頭の認識・確認不足から、チーム・ティーチング(以下「TT」という。)の形態での教員の割り当てや、免許制度上必要な免許教科外の教科を担任させるための手続きを行っていなかったものです。
また、両校は、6月の全県立学校を対象に実施した調査に対して、確認不十分のまま「該当なし」と回答していました。
3 生徒への対応
(1)既に高等学校を卒業した者については、学校教育法等の規定に基づき校長が卒業認定を行っていることから、卒業認定や当該科目の単位認定には影響ありません。
(2)在校生については、それぞれの科目に応じて、補充授業等を行うこととします。
4 関係職員への措置
適正な授業計画を立て、実施する責任を負う両校の該当年度の校長(3名)に対する指導・措置を検討してまいります。
5 今後の方針
学校における教育活動の根幹である授業に関して、多くの学校で不適切な状況があったことは、学校教育に対する県民の信頼を著しく損なうものであり、また、今回の事案が6月の全校調査では確認できず、この時期に新たに判明したことについて、重く受けとめています。
県教育委員会としましては、これまでも県立学校長会議や夏季校長研修会において、再発防止のための研修等を実施して参りましたが、今回の事案を受けて、改めて県立学校長に対し指導するとともに、コンプライアンスに関する研修を実施し、様々な機会を通してコンプライアンスの徹底に努めてまいります。
【別添資料】
相当免許を有しない教員による授業の実態(各学校の状況)
※●は、該当生徒が在学中の科目。
1 県立いなべ総合学園高等学校
(1)教科 工業
(2)科目 デザイン技術(第2学年2単位、第3学年4単位)
デザイン基礎(第2学年2単位)
(3)該当年度、実施学年、講座数、受講人数(平成23年度以降)
平成23年度 第2学年 1講座 23名(デザイン技術、2単位)
第2学年 1講座 32名(デザイン基礎、2単位)
第3学年 1講座 7名(デザイン技術、4単位)
平成24年度●第2学年 1講座 16名(デザイン技術、2単位)
●第2学年 1講座 22名(デザイン基礎、2単位)
第3学年 1講座 20名(デザイン技術、4単位)
平成25年度●第2学年 1講座 19名(デザイン技術、2単位)
●第2学年 1講座 20名(デザイン基礎、2単位)
●第3学年 1講座 10名(デザイン技術、4単位)
(4)経緯
同校は、総合学科において、平成22年度から教科「工業」の科目である第2学年の「デザイン技術」を「美術」の教員免許のみを有する講師が、第3学年の「デザイン技術」及び第2学年の「デザイン基礎」を「美術」の教員免許のみを有する教諭が単独で担当していました。
来年度の教科科目別の授業時間数を検討するに当たって、校長が本年度の授業担当状況を確認したところ、上記科目について、相当免許を持たない教員が担当していたことが判明しました。
本来なら、第2学年の「デザイン技術」については、別の教諭に「工業」の免許教科外教科担任許可申請(以下「免外申請」という。)を行ったうえでTTで担当させるべきところ、TTの割り当て及び免外申請を怠っていました。また、第3学年の「デザイン技術」及び第2学年の「デザイン基礎」については、美術の教諭に「工業」の免外申請を行うべきところ、その申請を怠っていました。
(5)現状と是正の方針
今後、当該科目は、学校からの免外申請により許可を受けた同校教諭が当該科目の授業を行います。
なお、該当する在校生については、補充授業等を行います。
2 県立昴学園高等学校
(1)教科 工業
(2)科目 社会基盤工学(第3学年2単位)、地球環境化学(第3学年2単位)
デザイン技術(第2学年2単位)
(3)該当年度、実施学年、講座数、受講人数(平成23年度以降)
平成23年度 第3学年 1講座 7名(社会基盤工学、2単位)
第3学年 1講座 7名(地球環境化学、2単位)
平成24年度●第2学年 1講座 13名(デザイン技術、2単位)
第3学年 1講座 8名(社会基盤工学、2単位)
第3学年 1講座 8名(地球環境化学、2単位)
平成25年度●第2学年 1講座 13名(デザイン技術、2単位)
(4)経緯
同校は、総合学科において、教科「工業」の科目である「社会基盤工学」を平成17年度から、「地球環境化学」を平成18年度から(平成20年度を除く)、「農業」の教員免許のみを有する教諭または講師が単独で担当していました。また、「デザイン技術」を平成24年度から、「美術」の教員免許のみを有する講師が単独で担当していました。
校長が教育課程と授業担当者等を再精査するとともに、授業担当者に確認したところ、上記科目について、相当免許を持たない教員が担当していたことが判明しました。
本来なら、「社会基盤工学」及び「地球環境化学」については、農業の教諭に「工業」の免外申請を行うべきところ、その申請を怠っていました。また、「デザイン技術」については、別の教諭に「工業」の免外申請を行ったうえでTTで担当させるべきところ、TTの割り当て及び免外申請を怠っていました。
(5)現状と是正の方針
今後、当該科目は、学校からの免外申請により許可を受けた同校教諭が当該科目の授業を行います。
なお、該当する在校生については、補充授業等を行います。
【参考】
※免許教科外教科担任許可申請
免許教科外教科担任許可申請とは、一定の基準を満たした場合、学校からの申請により、教育委員会が教諭に所有免許教科以外の教科を教えることを許可する制度です。申請は毎年度必要です。