1 経緯
平成25年6月17日(月)、県立白山高等学校において、相当免許を有しない教員が、単独で授業を行っていたことが判明しました。
この事案を受け、6月21日(金)、県内の全県立学校(70校)に各授業担当者の免許について平成23年度~25年度の3年間の実態を調査したところ、【別添資料】のとおり高等学校7校で相当免許を有しない教員が授業を行っていました。
2 事案の状況と原因
7校のうち白山高等学校については、校長及び教頭(以下「管理職」という。)による指示・確認の不徹底から、免許制度上必要となる相当免許を有する教員を、チーム・ティーチングの形態で割り当てることを行っていなかったものです。
他の6校については、管理職による認識・確認不足から、免許制度上必要な免許教科外の教科を担任させるための申請手続きを行っていなかったものです。
3 生徒への対応
(1)既に高等学校を卒業した者については、学校教育法等の規定に基づき校長が卒業認定を行っていることから、卒業認定や当該科目の単位認定には影響ありません。
(2)在校生については、それぞれの科目に応じて、補充授業等を行うこととします。
4 関係職員への措置
適正な授業計画を立て、実施する責任を負う該当年度の校長(10名)に対する指導・措置を検討してまいります。
5 今後の方針
学校における教育活動の根幹である授業に関して、このように多くの学校で不適切な状況があったということは、学校教育に対する県民の信頼を著しく損なうものであり、事態を重く受けとめています。
県教育委員会としましては、再びこのような事態が発生することのないよう、今後作成するチェックマニュアルに基づき、各学校で一層の確認及び点検を行うとともに、県立学校長会議をはじめとして、様々な機会を通してコンプライアンスの徹底に努めてまいります。
【別添資料】
相当免許を有しない教員による授業の実態(各学校の状況)
※ ●は、該当生徒が在学中の科目。
1の1 白山高等学校
(1)教科 家庭
(2)科目 家庭看護・福祉(2単位)
(3)該当年度、実施学年、講座数、受講人数等
平成23年度 第2学年 1講座 9名
●平成24年度 第2学年 1講座 10名
●平成25年度 第2学年 1講座 8名
(4)経緯
同校は、普通科福祉コースにおいて、教科「家庭」の科目である「家庭看護・福祉」を、平成22年度から「福祉」の教員免許のみを有する常勤講師が単独で担当していました。
本来なら、「家庭」の教員免許を有する教員とチーム・ティーチング(以下「TT」という。)で授業を担当する必要がありましたが、その措置を怠っていました。
(5)現状と是正の方針
事案判明後、当該科目は、「家庭」の教員免許を有する教員とのTTで実施しています。今後も引き続き、「家庭」の教員免許を有する教員とのTTで実施します。
なお、該当する在校生については、補充授業等を行います。
1の2 白山高等学校
(1)教科 商業
(2)科目 情報処理(2単位)、商業技術(2単位)
(3)該当年度、実施学年、講座数、受講人数等
平成24年度 第3学年 1講座 3名(情報処理、2単位)
●平成24年度 第2学年 1講座 27名(商業技術、2単位)
●平成25年度 第3学年 1講座 4名(情報処理、2単位)
(4)経緯
同校は、商業の学科である情報コミュニケーション科において、教科「商業」の科目「情報処理」及び「商業技術」を、教科「商業」の一部の領域しか担当できない教員免許「計算実務」のみを有する非常勤講師が平成24年度から単独で担当していました。このうち、「情報処理」については当該免許で担当できる領域はありません。また、「商業技術」については、当該免許で一部の領域は担当できるため、当該講師が担当した授業自体は有効であるものの、「商業技術」の当該講師の担当領域以外について、「商業」の教員免許を有する教員による授業の補充が必要となります。
いずれの科目についても、本来なら、「商業」の教員免許を有する教員とTTで授業を担当する必要がありましたが、その措置を怠っていました。
(5)現状と是正の方針
事案判明後、当該科目は、「商業」の教員免許を有する教員とのTTで実施しています。今後も引き続き、「商業」の教員免許を有する教員とのTTで実施します。
なお、該当する在校生については、補充授業等を行います。
2 水産高等学校
(1)教科 公民
(2)科目 現代社会(2単位、必履修科目)
(3)該当年度、実施学年、講座数、受講人数等
●平成23年度 第1学年 1講座 35名(製造・増殖科)
●平成24年度 第1学年 1講座 26名(海洋科)
●平成25年度 第1学年 1講座 33名(製造・増殖科)
(4)経緯
同校は、水産の学科である製造・増殖科及び海洋科において、教科「公民」の科目である「現代社会」を、平成22年度までは「公民」の教員免許を有する教員が担当していましたが、平成23年度以降は、「地理歴史」の教員免許のみを有する教諭が担当していました。
本来なら、「地理歴史」の教員免許のみを有する教諭について「公民」の免許教科外教科担任許可申請(以下「免外申請」という。)を行うべきところ、その申請を怠っていました。
(5)現状と是正の方針
事案判明後、当該科目は、「公民」の教員免許を有する教員とのTTで実施しています。今後は、学校からの免外申請により、許可を受けて当該教諭に当該科目の授業を行わせます。
なお、該当する在校生については、補充授業等を行います。
3 明野高等学校
(1)教科 農業
(2)科目 総合実習(4単位)
(3)該当年度、実施学年、講座数、受講人数等
平成23年度 第3学年 1講座 35名
平成24年度 第3学年 1講座 37名
●平成25年度 第3学年 1講座 30名
(4)経緯
同校は、農業の学科である経済科において、教科「農業」の科目である「総合実習」を、平成21年度までは「農業」の教員免許を有する教員で担当していましたが、平成22年度から「商業」の教員免許のみを有する教諭が担当していました。
本来なら、「商業」の教員免許のみを有する教諭について「農業」の免外申請を行うべきところ、その申請を怠っていました。
(5)現状と是正の方針
事案判明後、当該科目は、「農業」の教員免許を有する教員とのTTで実施しています。今後は、学校からの免外申請により、許可を受けて当該教諭に当該科目の授業を行わせます。
なお、該当する在校生については、補充授業等を行います。
4 名張西高等学校
(1)教科 情報
(2)科目 社会と情報(2単位、必履修科目)
(3)該当年度、実施学年、講座数、受講人数等
●平成25年度 第1学年 1講座 40名
(4)経緯
同校は、普通科において、教科「情報」の科目である「社会と情報」を、平成24年度までは「工業」の教員免許のみを有する教諭が免外申請を行ったうえで担当していましたが、平成25年度は、この手続きを行っていませんでした。
本来なら、「工業」の教員免許のみを有する教諭について「情報」の免外申請を行うべきところ、その申請を怠っていました。
(5)現状と是正の方針
事案判明後、当該科目は、「情報」の教員免許を有する教員とのTTで実施しています。今後は、学校からの免外申請により、許可を受けて当該教諭に当該科目の授業を行わせます。
なお、該当する在校生については、補充授業等を行います。
5 伊勢高等学校
(1)教科 地理歴史
(2)科目 世界史A(2単位、必履修科目)
(3)該当年度、実施学年、講座数、受講人数等
●平成24年度 第2学年 2講座 68名
(4)経緯
同校は、普通科において、教科「地理歴史」の科目である「世界史A」を、平成24年度は「公民」の教員免許のみを有する教諭が担当していました。それ以外の年度では、「地理歴史」の教員免許を有する教諭が担当していました。
本来なら、「公民」の教員免許のみを有する教諭について「地理歴史」の免外申請を行うべきところ、その申請を怠っていました。
(5)現在の状況
平成25年度の授業については適正に行われています。
なお、該当する在校生については、補充授業等を行います。
6 稲生高等学校
(1)教科 工業
(2)科目 モータースポーツ概論(2単位)、自動車工学(2単位)、自動車整備(2単位)
(3)該当年度、実施学年、講座数、受講人数等
平成23年度 第2学年 1講座 13名(自動車工学、2単位)
第3学年 1講座 17名(自動車整備、2単位)
第3学年 1講座 17名(モータースポーツ概論、2単位)
平成24年度●第2学年 1講座 14名(自動車工学、2単位)
第3学年 1講座 13名(自動車整備、2単位)
第3学年 1講座 13名(モータースポーツ概論、2単位)
平成25年度●第2学年 1講座 15名(自動車工学、2単位)
●第3学年 1講座 13名(自動車整備、2単位)
●第3学年 1講座 13名(モータースポーツ概論、2単位)
(4)経緯
同校は、普通科モータースポーツ類型において、教科「工業」に関する科目を3科目設置しており、専門知識を持った人材を外部より招聘し、外部講師として授業を実施しています。また、「工業」の教員免許は有しないものの、各科目に1名ずつ、TTとして同校教諭または常勤講師を配置しています。
教科「工業」の科目は、外部講師に特別非常勤講師の申請を行ったうえで授業を実施していますが、このうち「モータースポーツ概論」は、平成20年度から、他教科の教員免許を所有しているために特別非常勤講師の対象とならない外部講師が、「工業」の免許を有しない教諭とTTで担当していました。また、「自動車整備」は平成21年度から、「自動車工学」は平成22年度から、一部の外部講師が特別非常勤講師の申請をせずに、「工業」の免許を有しない教諭とTTで担当していました。
本来なら、「モータースポーツ概論」は、TTで授業を担当している教諭について「工業」の免外申請を行うべきところ、その申請を怠っていました。また、「自動車整備」及び「自動車工学」は、TTで授業を担当している教諭について「工業」の免外申請を行うか、外部講師について特別非常勤講師の申請を行うべきところ、その申請を怠っていました。
(5)現状と是正の方針
事案判明後、当該科目は、当分の間、他の教科・科目の授業に振り替えています。
「モータースポーツ概論」を担当する講師は、現在「工業」の免許を取得するための必要単位を取得中であり、「工業」の免許を取得次第、当該科目の授業を行わせます。
「自動車整備」及び「自動車工学」は、手続きがなされていなかった外部講師については学校からの特別非常勤講師の申請により、当該教諭については学校からの免外申請により、許可を受けて当該科目の授業を行わせます。
なお、該当する在校生については、補充授業等を行います。
7 鳥羽高等学校
(1)教科 工業
(2)科目 セラミック工業(2単位)
(3)該当年度、実施学年、講座数、受講人数等
平成23年度 第3学年 1講座 17名
平成24年度 第3学年 1講座 24名
(4)経緯
同校は、総合学科において、教科「工業」の科目である「セラミック工業」を、平成25年度は特別非常勤講師の申請を行った外部講師と「工業」の教員免許状を有しない同校教諭とのTTで担当していますが、平成23、24年度については、「美術」の教員免許を有する非常勤講師と、「工業」の教員免許を有しない同校教諭で担当していました。
本来なら、「工業」の教員免許を有しない教諭について「工業」の免外申請を行うべきところ、その申請を怠っていました。
(5)現状と是正の方針
平成25年度の授業については適正に行われています。
なお、補充授業等が必要な在校生はいません。
【参考】
※免許教科外教科担任許可申請
免許教科外教科担任許可申請とは、一定の基準を満たした場合、学校からの申請により、教育委員会が教諭に所有免許教科以外の教科を教えることを許可する制度です。申請は毎年度必要です。
※特別非常勤講師
学校が教育委員会に届け出て、免許状を有しない者を非常勤の講師に充てる制度(昭和63年の教育職員免許法の改正により制度化)です。
優れた知識や技術を有する社会人を学校教育に活用することにより,学校教育の多様化への対応とその活性化をねらいとしています。