牛伝達性海綿状脳症(BSE)とは?
BSEは、TSE(伝達性海綿状脳症:Transmissible Spongiform Encephalopathy)という、未だ十分に解明されていない伝達因子(病気を伝えるもの)と関係する病気のひとつで、牛の脳の組織にスポンジ状の変化を起こし、起立不能等の症状を示す遅発性かつ悪性の中枢神経系の疾病です。
注1)TSEの特徴
- (1) 潜伏期間は数ヶ月から数年の長期間
- (2) 進行性、致死性の神経性疾患
- (3) 罹患した動物やヒトの脳の薬剤処理抽出材料を電子顕微鏡下で観察すると異常プリオンタンパク(細胞タンパクの異常化したもの)の凝集体を確認
- (4) 病理学的所見は中枢神経系の神経細胞及び神経突起の空胞変性、星状膠細胞 の増殖
- (5) 伝達因子によるヒトや動物での特異的な免疫反応がない。
注2)BSEの臨床的特徴
- (1) 潜伏期間は3~7年程度、発症すると消耗して死亡、その経過は2週間から 6ヶ月。
- (2) 英国では3~6歳牛が主に発症。
- (3) 臨床症状は、神経過敏、攻撃的あるいは沈鬱状態となり、泌乳量の減少、食 欲減退による体重減少、異常姿勢、協調運動失調、麻痺、起立不能などであり、 死の転帰をとる。
BSEの原因は?
BSEの原因は、他のTSEと同様、十分に解明されていませんが、最近、最も受け入れられつつあるのは、プリオンという通常の細胞タンパクが異常化したものを原因とする考え方です。プリオンは、細菌やウイルスの感染に有効な薬剤であっても効果がないとされています。
また、異常化したプリオンは、通常の加熱調理等では不活化されません。
検査の目的
本病については、本病を疑う症状を呈した牛又は死亡した牛の検査を行い、当該検査に基づく措置を的確に実施することにより、蔓延防止を図ることが重要となっています。これらの対策を着実に実施することにより、清浄国への早期復帰に努めることが目的となっています。