総合計画における産業振興及び雇用対策にかかる取組
県では、令和4(2022)年10月に、総合計画「強じんな美し国ビジョンみえ」を策定し、おおむね10年先を見据えた、県政運営の基本姿勢や政策展開の方向を示す長期構想を示しました。また、同時に令和4(2022)年度から令和8(2026)年度までの5年間の中期の戦略計画「みえ元気プラン」を策定しました。(以下「ビジョン・プラン」)
ビジョン・プランそれぞれの産業振興及び雇用対策にかかる取組は、以下のとおりです。
「強じんな美し国ビジョンみえ」での位置づけ
- 「強じんな美し国ビジョンみえ」は、長期的な視点から、おおむね10年先の三重の姿を展望し、政策展開の方向性や県政運営の基本姿勢を示す、令和4(2022)年度からの県の長期ビジョンです。長期ビジョンの策定にあたり、おおむね10年先を想定することとし、国際・国内情勢と三重県を取り巻く状況について展望、整理をしています。
- 長期ビジョンの基本理念(「強じんで多様な魅力あふれる『美し国』」の実現)に向けて、政策展開の基本方向(四本の柱)を定めるとともに、その下に16の政策を位置づけて、県政を推進していくこととしています。
【政策展開の基本方向と政策】
政策展開の基本方向(四本の柱) |
政策 |
Ⅰ
安全・安心の確保
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1 防災・減災、県土の強靱化 |
2 医療・介護・健康 |
3 暮らしの安全 |
4 環境 |
Ⅱ
活力ある産業・地域づくり |
5 観光・魅力発信 |
6 農林水産業 |
7 産業振興 |
8 人材の育成・確保 |
9 地域づくり |
10 デジタル社会の推進 |
11 交通・暮らしの基盤 |
Ⅲ
共生社会の実現 |
12 人権・ダイバーシティ |
13 福祉 |
Ⅳ
未来を拓くひとづくり |
14 教育 |
15 子ども |
16 文化・スポーツ |
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(政策展開の基本方向 ~「活力ある産業・地域づくり」から抜粋~)
ビジョンにおける産業振興及び雇用対策にかかる取組の位置づけは、以下のとおりです。
政策 |
概要 |
産業振興 |
- 脱炭素社会やデジタル社会の実現に向けた市場の変化をチャンスととらえ、県内のものづくり企業の強みや高度な産業集積を生かしながら、企業の生産性向上や業態転換、再生可能エネルギーの導入、新たな企業誘致や立地企業の再投資を促進することで、県内産業の競争力を強化していきます。
- また、量子関連技術の活用や創薬等の新たな成長分野となりうる産業の振興を図るとともに、県内中小企業・小規模企業の経営力向上や海外ビジネス展開を促進することで、雇用の創出につなげられるよう取り組みます。
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人材の育成・確保 |
- 若者の就労支援、県内定着に取り組むとともに、県内企業の生産性向上や新たな事業展開に資する人材など、県内企業における多様な人材の育成・確保を支援し、雇用機会の創出・拡大に取り組みます。
- また、性別や年齢、国籍、障がいの有無に関わらず、全ての人が自らの能力を発揮し、いきいきと働くことができるよう、県内企業の働きやすい職場環境の整備に向けた取組を支援していきます。
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観光・魅力発信 |
- 大阪・関西万博、リニア中央新幹線東京・名古屋間の開業、神宮式年遷宮等をチャンスととらえ、首都圏をはじめとする大都市圏や海外へのプロモーションを強化します。
- 県産品の販路拡大による産業・地域経済の活性化につなげるため、付加価値の高い商品・サービスの創出に取り組みます。
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デジタル社会の推進 |
- 誰もがデジタル化の恩恵を受けられる社会の実現に向けて、県民の皆さんや県内事業者等がDXに取り組んでいただける機運を醸成するとともに各主体によるDXの取組を促進します。
- 併せて、地域課題、社会課題の解決に資するよう、事業者による革新的な技術やサービスを活用した社会実装の支援等に取り組みます。
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「みえ元気プラン」での位置づけ(7つの挑戦)
- 「強じんな美し国ビジョンみえ」で示す基本理念の実現に向けて5年間で取組を一層加速させていかなければならない課題を抽出し、積極果敢に対応していくため、7つの取組を「みえ元気プランで進める7つの挑戦」として位置づけています。
- それぞれの課題の解決に向けて、新たに着手・推進すべき取組、既に実施しているがさらに充実・強化を図っていく必要のある取組を展開していきます。
【みえ元気プランで進める7つの挑戦】
(1) 大規模災害に対応した防災・減災、県土の強靱化対策の加速・深化
(2) 新型コロナウイルス感染症等への対応
(3) 三重の魅力を生かした観光振興
(4) 脱炭素化等をチャンスととらえた産業振興
(5) デジタル社会の実現に向けた取組の推進
(6) 次代を担う子ども・若者への支援・教育の充実
(7) 人口減少への総合的な対応
※以下、番号はみえ元気プランの次の施策を表しています。
政策 |
施策番号 |
施策 |
5 観光・魅力発信 |
5-1 |
持続可能な観光地づくり |
5-2 |
略的な観光誘客 |
5-3 |
三重の魅力発信 |
7 産業振興 |
7-1 |
中小企業・小規模企業の振興 |
7-2 |
ものづくり産業の振興 |
7-3 |
企業誘致の推進と県内再投資の促進 |
7-4 |
国際展開の推進 |
8 人材の育成・確保 |
8-1 |
若者の就労支援・県内定着促進 |
8-2 |
多様で柔軟な働き方の推進 |
10 デジタル社会の
推進 |
10-1 |
社会におけるDXの推進 |
10-2 |
行政サービスのDX推進 |
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以下、産業振興及び雇用対策にかかる取組の関係部分を抜粋しています。
(2)新型コロナウイルス感染症等への対応
取組方向2 社会・経済活動への影響への対応
- 新型コロナウイルス感染症による社会・経済活動への影響への対応(事業者に寄り添った支援)
◯事業継続と雇用の維持・確保。本県の経済への影響を最小限にするため事業活動の継続と
雇用の維持・確保に向けた支援を実施 (施策7-1、8-1 ほか)
売上が落ち込んだ事業者への支援
中小企業融資制度を活用した資金繰り支援
「雇用シェア」の普及・拡大
◯経済活動の回復。本県の経済が早期に回復していけるよう、感染防止対策と両立した社会
経済活動に対する支援を実施 (施策5-3、7-1 ほか)
感染防止対策の取組に対する支援
あんしんみえリア(第三者認証制度)の活用
県産品の販路拡大
◯社会・経済情勢の変化に伴う対応。社会経済動向や生活様式の変化を的確に捉えて積極的
に事業を展開しようとする事業者を支援 (施策5-3、7-1、7-4、8-2)
アフターコロナを見据えた生産性向上・業態転換の取組に対する支援
テレワークの導入促進
オンラインも活用した商談機会の創出 |
- 新たな感染症による社会・経済活動への影響への対応 (施策7-1)
◯新型コロナウイルス感染症による社会・経済活動の変化が生じた過去の経験をふまえ、新
たな感染症に直面した際の備えを進めます。また、次なる感染症に備え、中小企業・小規
模企業などにおけるBCP策定支援といった事業継続に向けた対応を強化します。 |
(3)三重の魅力を生かした観光振興
取組方向1 戦略的な観光誘客の推進
- 戦略的な観光プロモーションの強化 (施策5-3 ほか)
首都圏等大都市圏でのプロモーション強化(駅、商業施設等)
来訪者に対する的確な情報発信(観光DX、観光案内所等)
メディアやSNS等を活用した国内外への発信強化
JNTO(日本政府観光局)と連携した海外への情報発信の強化 |
(4)脱炭素化等をチャンスととらえた産業振興
取組方向1 自動車分野のEV化やサプライチェーン再編等への対応
- 産官学金が連携した、電気自動車(EV)化等への業態転換に加え、既存技術の一層の改良やDXの促進によるCO2排出量削減、また、他分野への展開など、自動車産業を支える中小企業に対して細やかな支援を行います。
さらに、他分野から次世代自動車産業への新規参入や、EV等を活用した新たなサービスの創出等への対応に係る取組を進めます。 (施策7-2、7-3)
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取組方向2 カーボンニュートラルコンビナートへの転換促進
- 四日市コンビナートのカーボンニュートラル化に向けた検討委員会」が令和4(2022)年3月に設置される等、機運の高まる中、コンビナート企業や行政等が連携して、脱炭素エネルギーの供給拠点および、脱炭素型のものづくり地域をめざすカーボンニュートラルコンビナートへの転換に向けた取組を進めます。 (施策7-2)
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取組方向3 カーボンニュートラルポートの整備促進
- 令和4(2022)年4月に設置された「三重県港湾みらい共創本部」や四日市港管理組合等と連携し、国際拠点港湾である四日市港および、重要港湾である津松阪港、尾鷲港において、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や集積する臨海部産業との連携などを通じて、温室効果ガスの排出を港湾地域全体としてゼロにすることをめざす、カーボンニュートラルポート形成に向けた取組を進めます。 (施策7-3 ほか)
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取組方向4 再生可能エネルギーの導入・利用促進
- 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて策定された国の第6次エネルギー基本計画(令和3(2021)年10月)において、主力電源化が徹底された再生可能エネルギーの一層の導入・利用促進と合わせて、大量廃棄が懸念される太陽光発電パネル等のリサイクルの取組を進めます。 (施策7-2 ほか)
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(5)デジタル社会の実現に向けた取組の推進
取組方向1 社会におけるDXの推進
- 県民の皆さんや県内事業者等がDXに取り組んでいただける機運を醸成するとともに各主体によるDXの取組を促進します。 (施策10-1)
- また、さまざまな主体と連携してデジタルデバイド(情報格差)の解消やDX人材の育成に取り組むことで、県民の誰もがデジタル化の恩恵を受けられる社会の実現をめざします。 (施策10-1)
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- 地域課題、社会課題の解決に資するよう、スタートアップの創出や育成を図ります。加えて、先端技術に関する情報収集や活用に向けた取組の支援等に取り組むとともに事業者による革新的な技術やサービスを活用した社会実装の支援に取り組み、特にドローンや空飛ぶクルマの活用をめざす空の移動革命については、実用化に向けた取組を支援していきます。 (施策10-1)
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(7)人口減少への総合的な対応
取組方向 自然減対策の推進(少子化対策)
- さまざまな理由により、結婚や子どもを持つことを躊躇する若者等を支援するため、就労支援や所得向上、育児支援など妊娠・出産・育児に対する不安の解消に向けた取組を推進することにより、それらに前向きなマインドを持てるよう取り組みます。
加えて、若い世代が結婚や子どもを持つことについて希望をかなえられるよう、早い段階からライフデザインを考えることを促進します。 (施策8-1 ほか)
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取組方向 社会減対策の推進(定住促進)
- 雇用の場を確保・創出するため、DXの推進やカーボンニュートラル実現の取組を進めることで、自動車、半導体、石油化学など本県の主要産業のさらなる振興を図ります。
また、スマート農林水産業の促進や、裾野が広く雇用確保が期待できる観光産業の振興、今後も成長が期待されるIT産業など県内産業の振興を図ります。 (施策7-2 ほか)
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- 研究開発施設を含む企業誘致や再投資促進を図るとともに、スタートアップの育成・支援、中小企業・小規模企業や地場産業の振興に取り組みます。 (施策7-1、7-3、10-1)
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- 若者や働く世代、とりわけ女性の県内定着を図るため、就労支援に取り組むとともに、テレワークや副業、ワークシェアなど多様で柔軟な働き方や魅力ある職場づくりを促進します。
加えて、県内外の高等教育機関を卒業した若者の県内定着促進に向けた取組の充実を検討します。 (施策8-1、8-2)
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取組方向 社会減対策の推進(流入・Uターン促進)
- 県内への転入を促進するため、移住希望者に対するきめ細かな相談対応や情報発信の充実、住みたいと思ってもらえる地域づくりなど、移住促進に取り組みます。
また、県外の協定締結大学と連携して県内企業に係る就職情報を提供するとともに、県出身大学生のUターンを促進するための仕組みを検討するなど、若者のUターン対策を強化します。 (施策8-1 ほか)
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取組方向 人口減少の影響への対応
- 大阪・関西万博の開催やリニア中央新幹線の開業を生かし、交流人口の拡大に取り組むとともに、好機を逃さず三重の魅力・情報発信に取り組みます。 (施策5-3 ほか)
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- 関係人口等の拡大に向けて、ワーケーションの促進や地域おこし協力隊など外部人材による地域活性化に取り組みます。 (施策5-3 ほか)
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- デジタル技術の活用により地域の課題を解決し、暮らしの向上や魅力的な地域づくりにつなげるなど、デジタル社会の実現に向けた取組を推進します。 (施策10-1 ほか)
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- 経済活動をはじめ地域のさまざまな活動における担い手が不足していくことが懸念されることから、女性や高齢者、障がい者、外国人などを含む誰もが地域社会で活躍できるよう、環境整備に取り組みます。 (施策8-2 ほか)
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取組方向 人口減少対策の総合的な推進(国・市町・民間等との連携)
- 若者や女性などの多様な人材が能力を発揮することができるよう、労働環境の整備など働き方改革に向けた企業への働きかけを強化します。 (施策8-1、8-2ほか)
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