1 日時 令和4年7月14日(木)19時00分から21時00分まで
2 場所 熊野市文化交流センター 交流ホール
3 概要
令和7年度には、この地域の高等学校は現在の6学級から5学級規模になることが見込まれています。このような状況の中、これからの紀南地域の高等学校がめざすべき教育や役割について協議したうえで、5学級規模の高等学校で具体的に想定される学びと配置のあり方について協議を行いました。
主な意見は次のとおりです。
≪ 紀南地域の高等学校がめざすべき教育や役割について ≫
〇 近年、様々な支援が必要な子どもたちは増加傾向にあり、高校においても生徒一人ひとりに応じた指導
や支援を丁寧に行うことは大切である。紀南高校では小規模校であることを生かした丁寧な指導や支援に
より、この地域の担い手を育てているとの評価を得ており、今後、統合した場合でもこのような教育を大
切にしていくべきである。
〇 生徒の豊かな社会性・人間性の育成は、地域と協働した教育活動やICTを活用した校外との交流など
の工夫によって、1学級規模の高校であってもある程度可能となるが、一方で社会性・人間性の育成に大
きな効果が期待できる部活動については、人数が少ないとどうしても活動に制限がかかってしまう。子ど
もたちからのニーズが高い部活動を維持することが地域外の高校への流出を防ぐためにも必要であり、そ
のためには1校に統合するべきである。ただ、生徒の通学しやすい環境を優先すると、2校舎を利用する
方法もある。
〇 生徒が自らの興味・関心に応じた学習環境を選択できることが理想であるが、アンケート結果によると
この地域の高校生は学びの内容よりも自分の学力にあった高校を選んでいるという特徴がみられた。今後
さらなる少子化が進む中、この地域の高校で大切にすべきことは、できるだけ大きな集団を保ち学びの質
を下げないことである。
○ 今後も地域の子どもたちの数は減っていくため、地域外からの入学者を増やす視点が必要だ。全国から
紀南地域で学びたいと思える魅力ある教育活動ができるとよい。
○ 今まで築き上げてきた学びと学校がなくなるのは寂しいというPTAや同窓会の思いがある。一方、こ
れから高校へ入学する生徒の学びや進路希望を叶えていくことを考えると、これからの地域の高校が1校
か2校のいずれであっても、これまでの両校の強みや特色を生かした学びの選択肢を残していくほうがよ
い。また、部活動についても、最低限の活動が続けられる環境を整えていただきたい。
≪ この地域の高等学校の具体的に想定される学びと配置のあり方について ≫
〇 この地域の高校について、これまで教育現場で出会った6人の子どもたちの率直な声を例としてあげた
い。
①部活動は合同チームであっても、地域の代表として全国大会への出場をめざしたい。
②小さいころからプレーしている競技を続けるために、他地域に進学することにした。
③難関大学に合格できる力を塾に行かずに高校だけで身に付けたい。
④難関大学への進学には塾で対応するので、高校の統廃合には関心がない。
⑤家庭の経済的な事情から高校には自転車で通いたい。
⑥学級数が変わったり、他地域からの受検者が多かったりする影響で、年度によって受検の難易度が変
わることに不安を感じる。
〇 公立高校のみの紀南地域では生徒の進路保障のため、入学見込み人数よりも一定余裕のある定員が設定
されていることから、5学級規模の学級配置を4学級と1学級にすると、年度によっては1学級規模の学
校が大きく欠員を生じる可能性があり、十分な教育環境を確保できるか心配である。毎年、部活動の充実
を求めて地域外の高校へ進学する生徒も一定数いるため、1校に統合してそれらの生徒のニーズに応えら
れるようにしたほうがよい。
○ 地域の高校を1校に統合すれば、紀南地域の中学校卒業者の8割を越える生徒が高校時代を一緒に過ご
すことになり、将来にわたってこの地域の多様な価値観を持つ同年代の仲間とのつながりが続いていくこ
とはとても大切なことである。
○ 小中学校においても、人間関係でうまくいかなくなった時には、クラス替えをすることで居場所を確保
することができる場合が多い。生徒も教員も大きな集団にすることで、生徒は自分の居場所を作ることが
できるし、教員も様々な課題を抱えた生徒を支援する方法を教員同士で考えていくことができる。
〇 5学級規模の1校に統合すると、前「県立高等学校活性化計画」で望ましい学級規模としていた範囲の
学校となり、生徒の学習環境や授業内容も充実するが、現在よりも通学が不便となる生徒が生じる。そう
なると和歌山県への進学希望者がさらに増えて、より流出が加速してしまうのではないか。
○ 地域の活性化という視点では、学校がなくなれば、その地域がより衰退していくのではないかと心配し
ている。全国から生徒が集まるような魅力ある高校の取組を進めるとともに、紀南地域全体でこの地域の
すべての生徒を育てる気持ちが必要と考える。
〇 1校に統合した場合には、現在より通学に時間のかかる生徒もでてくることが考えられる。それを支援
する方法をしっかりと考えなければ、5学級で統合しても地域外への流出が進み、すぐに学級数が減って
しまうことになる。
〇 全国の高校魅力化の取組を参考に、紀南高校ではより産学連携を進め、例えばみかん産業の地域学習を
商品開発にまで発展させたり、木本高校では三重大学との学術連携を深めたりするなど、この地域ならで
はの特色を生かしながら、デメリットをメリットに変える発想が大切ではないか。
〇 自分の経験からも小規模校では、生徒一人ひとりに対応した少人数ならではの丁寧な指導がしやすくな
る。その利点を生かすためにも校舎制を採用し、授業では教員が、学校行事や部活動では生徒が校舎間を
移動するなどの方法で、生徒の学びを保証してはどうか。
≪ その他 ≫
〇 今後の学校の配置については、メリット・デメリットを明確に提示したうえで、当事者である小中学生
やその保護者に意見を聞いてはどうか。また、これから受検する中学生やその保護者にはしっかりと情報
共有してもらいたい。
○ 今後の協議会では、引き続き地域の高校の学びと配置のあり方について協議するとともに、より協議を
深めるために中学生や保護者に意見を聞くためのアンケートの内容についても協議いただきたい。