1 日時 令和3年8月27日(金)19時00分から21時00分まで
2 場所 オンライン開催
3 概要
今後の伊勢志摩地域の中学校卒業者数の減少や当地域を取り巻く高校の現状や課題をふまえたうえで、こ れからの伊勢志摩地域の県立高校の規模と配置等の方向性について協議しました。
主な意見は次のとおりです。
<伊勢志摩地域の高校のあり方について>
〇 今後も少子化が更に進行していく中、中学生が学びたい、保護者が学ばせたいと思われる高校でなけれ
ば生徒は集まらない。伊勢志摩地域の高校を再編統合していくことで、子どもたちの学ぶ環境を整備して
いく時期に来ているのではないか。
〇 これまでの活性化の取組によって、小規模校の魅力化や活性化は進んだが、地元の生徒の進学率が上が
らない等の現状から考えると、伊勢志摩地域の高校で再編統合を進めていく方向性は致し方ないと言え
る。今後は適切な時期に、県教育委員会として、この地域のグランドデザインを提示することを検討して
もらいたい。その際には、地域の小規模校のあり方だけでなく、伊勢市内の専門学科高校や普通科高校の
再編統合も含めた伊勢志摩地域全体の高校の将来像を、地域にある私立高校の役割も考慮に入れながら、
当地域の子どもたちの学びの保障という視点に立って示してもらいたい。
〇 地域の小規模校の取組は魅力的であると考えるが、入学者の状況から判断すると、子どもたちに選ばれ
ていないのが現実である。高校には子どもたちが希望する学びの選択肢があることが大切であるため、こ
の地域の高校を再編統合していくことはやむを得ないと考える。当地域の高校の再編統合を進めるにあ
たっては、水産学科の学びは県内唯一の学科であること、地域に少ない総合学科の学びを維持していくこ
と等は大切な視点である。
〇 地域では地元の高校と連携、支援をしながら活性化に取り組んできたが、高校側も限られた教職員数で
は多様な学びに対応できないなど、小規模校がおかれた厳しい状況は理解できるため、今後の少子化が進
行していく中では高校の再編統合を検討せざるを得ない。ただ今まで培ってきた小規模校の学びの継承に
ついては、たとえばICTを活用した通信制課程で学びを保障していくなど、今後は協議会でも様々なア
イデアを出し合い、課題を解決していかなければならない。
<今後の伊勢志摩地域の高校を考えるにあたって大切にすべき考え方について>
〇 地域の高校のあり方を議論していくにあたり、子どもたちの学びが保障されることが大切である。ま
た、基礎学力の定着や通学困難生徒への対応、少人数教育による丁寧な指導など、これまで小規模校が
担ってきた役割を、「誰一人取り残さない」という視点に立って、今後の地域の高校の再編統合後も継承
していく必要がある。
〇 少子化の中で、地域の小規模校の再編統合は避けられないと考えるが、単純に学科を整理していくので
はなく、子どもたちの学びの機会をなくさないことが大切である。小規模校が実践してきた地域学習が、
たとえば「伊勢志摩学」として、地元愛を育てる特色ある地域の教育としてこの地域に残していくことは
できないか。また、今後再編統合を考えるにあたっては、地域の子どもたちの通学状況に配慮した高校の
配置が必要である。
〇 伊勢志摩地域の優秀な人材が地域に残ったり、将来地域に戻ってくるためには、この地域に就職できる
企業を増やすことが必要であるとともに、この地域の中で小学校から郷土愛を育てながら、高校でも地域
を学ぶことによって愛着心を育成していくことが必要である。そのためには小規模校で実践している地域
課題解決型学習を、大学進学をめざす高校でも学ぶプログラムをつくるべきである。
〇 地域の高校のあり方を考えるにあたっては、中学生等のニーズを適切に把握することが大切である。ま
た、伊勢志摩地域の子どもたちの学びの多様性を確保していくためには、当地域で少ない総合学科の学び
を広げていくことも重要と考えられる。
〇 地域の高校を再編統合するにあたっては、地域に与える経済的影響や伊勢志摩地域の第1次産業を担う
生徒の育成といった視点も大切にする必要がある。
〇 伊勢志摩地域の高校の全体像を考えるにあたっては、地域の県立高校普通科のあり方も重要な要素と
なってくる。今後、当協議会の中で、伊勢市内の普通科高校の校長先生等の意見を聞く機会が必要ではな
いか。
〇 現在のコロナ禍の中で、ICTは社会に普及してきており、これからの高校現場でも活用すべきものと
考える。たとえば将来、ICTで学校間を結ぶ体制ができたら、すべての高校に専門的な教員がいなくて
も生徒に多様な学びを提供することも可能となるのではないか。また、高校の再編統合を考える際には、
生徒の通学の可否を交通機関の状態を考慮に入れながら、適切な場所へ高校を配置することが重要とな
る。
<高校の規模について>
〇 高校の現場で勤める教員としては、高等学校には一定の規模がなければ、求められる教育の質を確保で
きないと感じている。少人数教育では、ひとりひとりに丁寧な指導ができる利点もあるが、少人数すぎる
場合には生徒の社会性を育むことができなくなるなど、その弊害は大きいものとなる。
〇 小規模校の取組や教育内容は素晴らしいものの、様々な生徒の学びのニーズに応え、より魅力化するた
めには、高校には一定の規模が必要である。
<その他>
〇 鳥羽・志摩・度会地域では以前から伊勢市内の高等学校への進学志向が強いと言われるが、近年の少子
化の中では、伊勢市内の高校にも欠員が生じることもある。地域を活性化していくためには、子どもたち
に郷土愛を育むとともに、卒業後に地元で就職できる就職先も必要である。高校のあり方に関しては、子
どもたちの学びの選択肢を保障していくことが一番重要であるため、今後は伊勢志摩地域の高校の再編統
合は必要不可欠である。
〇 教員数が限られる小規模校においては、教員は教科指導、校務分掌、部活動等での負担が増えている中
でも、生徒のために尽力してきた。小規模校では多様な学びの保障は難しいが、一人ひとりへの丁寧な指
導によって、生徒の自己肯定感を高め、学校生活の満足度は高くなる傾向にある。
〇 地域の保護者の声として、多くの中学生が早期の入試や専願制度に魅力を感じて私立高校や国立の高等
専門学校に流れてしまう、と聞くことがあるため、県立高校の入学者選抜の制度に関しても今後検討する
必要があるのではないか。