1 日時 令和3年2月16日(火)19時00分から21時15分まで
2 場所 オンライン
3 概要
今年度の地域の高校の取組状況や次期「県立高等学校活性化計画」策定に向けた動き等を共有し、今後の中学校卒業者数の減少や当地域を取り巻く県立高校の現状や課題をふまえ、これからの伊勢志摩地域の県立高校のあり方について協議しました。
主な意見は次のとおりです。
≪伊勢志摩地域の小規模校のあり方について≫
〇 地域の小規模校はこの3年間活性化に取り組んできたが、地域の中学生がさらに減少していく中では、
現実的には限界に近づいている。これからは再編統合の具体的な議論をはじめていくことが必要である。
〇 人口減少が急速に進む中で、生徒減に対応して高校の規模を見直すことは大変重要であるが、もっと長
いスパンに立って、子どもたちを将来地域に残って活躍する人材に育てる教育も考えていくべきではない
か。
〇 鳥羽・志摩・度会地域の各小規模校はいずれも定員を満たしていない現状ではあるが、今後5年から
10年の間はまだその役割は残されている。当地域の小規模校の欠員数と地域の私立高校の定員超過はほ
ぼ一致していることから、地域の小規模校の存続を危うくしている要因の一つと考えられ、対応すべき大
きな問題である。また、小規模校の再編統合が進めば、この地域の高校の配置が伊勢市に集中してしまう
ことが想定されるが、果たしてその状況があるべき姿であるか疑問が残る。
〇 活性化の取組により小規模校の魅力が向上していることは理解できるが、地元中学から地域の小規模校
への進学率が低いまま伸び悩んでいることを考えると、現実的には再編統合を進めていく必要がある。鳥
羽高校、志摩高校、水産高校の3校再編のアイデアも出たが、鳥羽高校は志摩方面よりも伊勢方面への交
通の便が良いため、伊勢市内の高校との再編統合の方が望ましいのではないか。また、当地域での私立高
校における入学者の定員超過等については、もっと問題視すべきである。
〇 地域の小規模校は地域の活性化にも貢献しており、地域にはなくてはならない存在である。40人以下
の学級編成やICT機器の活用などの工夫をすることによって、小規模校の維持・存続を図ってほしい。
その際、部活動の活性化については、国においても地域スポーツクラブへの移行等の方針が検討されてい
ることから、これまでのように問題視する必要がなくなるのではないか。
〇 志摩高校、水産高校は、地元として必要な高校であり、是非とも維持してもらいたい。
〇 水産高校では地域の水産業と密着した専門的な学習や全国的なレベルでの資格取得において成果をあげ
たり、志摩高校でも地域医療と連携した学習を行ったりするなど、地域の中に高校がある意味は大きい。
今後の生徒減の予測からは、どこかの学校が再編統合されるのは致し方ないのかもしれないが、40人に
こだわらない学級定員とするなどの工夫で小規模校を維持してもらいたい。
〇 国の普通科改革でも言われているように、地域の小規模校では、たとえば地域医療と観光分野に特化し
たカリキュラムや学科をつくり、技術だけでなく地域の活性化に貢献する意欲を育む取組を展開するな
ど、学科やコースをその地域の特徴やニーズに合うものに変えていくことも必要ではないか。
〇 道路事情が改善して広い地域からの通学が可能となったため、現状では伊勢志摩地域全体が一つの通学
圏内としてとらえることができる。高校は、次世代を育てる地域の核として重要であり、将来地域に戻っ
て地域を支える人材を育てる場所でもあることから、地域の小規模校だけでなく、伊勢市内の高校におい
ても地域を題材として探究に取り組む学習プログラムを行うことが大切である。
〇 現「県立高等学校活性化計画」において、各校で活性化の取組が進んでいるが、小規模校においてはそ
の成果は限定的であり、分校化や校舎制などとしても存続は難しいと考える。高校現場からの視点で考え
ると、教育の質の確保のためには一定の規模が必要であり、小規模化することによる高校の魅力低下は避
けられない。伊勢志摩地域全体を一つの地域として考えたうえで、それぞれの県立高校の魅力を高めるこ
とが必要である。さもないと規模の大きな私立高校や他地域への流出が加速することになる。この地域の
未来のために責任ある選択をしなければならない。
≪伊勢市内の県立高校のあり方について≫
〇 伊勢工業高校では、これ以上の小規模化には耐えられないと考えている。職員たちも他の専門学科高校
との再編等を視野に入れて、伊勢志摩地域全体の専門教育の充実や部活動の活発化を目指した将来の学校
像を構想している。
〇 専門学科の学びは魅力も高く、地域にとっても必要不可欠なものであり、なくすことができないもので
ある。令和3年度からは伊勢工業高校と宇治山田商業高校も4学級規模となるため、一つの学校として再
編していくメリットは十分あると考える。
〇 今後の伊勢志摩地域の状況を考えると、高校の再編統合を検討していく時期に差し掛かっていると思わ
れるが、それが単なる数合わせのための再編統合ではなく、もっと大きな視点をもって地域の高校の配置
や教育内容を深く考えていくべきである。
≪その他≫
〇 令和10年度の伊勢志摩地域の県立高校の学級数の予想は24~26学級とあるが、単純に現在地域にある
10校で割ると、1校あたりは2.6学級あまりとなる。このような状況に対し、県教育委員会としてはこの
地域の県立高校の今後のあり方についてどのように構想しているのか、その方向性を教えてほしい。
⇒(政策課)単純に地域全体の学級数を学校別に均等に分配するような高校の配置は考えていない。
各校の学びの特色や役割を考慮し、伊勢志摩地域を一つの通学地域と考え、グランドデ
ザインを検討していく方針である。
〇 地域の小規模校をはじめ各県立高校は、子どもたちが希望ある将来を思い描き、一度は地域を離れても
いつかは戻りたいと考えるような、より魅力的な学校づくりを進め、それを地域に発信していく必要があ
る。
〇 今後の地域の県立高校のあり方を考えるにあたっては、多くの中学生が選択する私立高校にはどのよう
な魅力があるか、その私立高校に対抗するために前期選抜の定員を増やすべきか、専門学科高校で学ぶ内
容などを見直すべきなのか等、議論すべきテーマが多くある。
〇 保護者や中学生には伊勢志摩地域すべての学校の特色や魅力等がわかっているわけではないため、多く
の学校の説明を聞ける機会を設けるなど、オンラインも活用しながら、積極的に発信してもらいたい。
〇 最近、N高校などの私立広域通信制への進学者が増加している。ICT技術の発達とともに、子どもた
ちの学びは学校だけでなく自宅等も含め、多様に広がっている。また、高校進学時の中学生にはその高校
で何が学べるかという魅力を伝えることも大切であるが、その先にどのような職業につけるかなど、自身
の未来をイメージさせることが進路選択において大切である。
〇 地域の小学校でも体験や対話を通じて地元を学び、地域への愛着心を養う教育をしているが、それが高
校選択で地元の高校を選ぶことにつながっていない。自分たちが住む地域の魅力はその中では実感しにく
く、外部から見ることで実感できるものなのかもしれない。
※ 地域の県立高校の魅力を伝えるための「伊勢志摩地域高等学校進学フェスタ」については、新型コロナ
ウイルスの感染状況を考慮に入れながら、地域の児童生徒により効果的に発信できるよう、オンラインの
活用も含めた開催やチラシ配付等の方法で、現活性化計画の最終年度である令和3年度までは実施する、
という方向性が確認されました。