1 日時 令和2年9月23日(水)19時00分から21時10分まで
2 場所 三重県熊野庁舎5階 大会議室A
3 概要
木本・紀南両高校の特色や魅力について、両校からの報告(プレゼン)をもとに協議を行いました。さらに、これまでの協議会での協議、高校生の現状や国の教育改革の動き等を共有し、今後の中学校卒業者数の減少等、当地域を取り巻く県立高校の現状や課題をふまえ、これからの高校生に育みたい力や地域の県立高校のあり方について協議しました。
主な意見は次のとおりです。
≪両校の特色や魅力の地域等への周知について≫
○ 子どもの数が減ってきているので、進学や就職後に戻ってきてくれることは望ましい。卒業生がUターンしてどれぐらい戻って来たのかが分かるようなデータがあるとよい。
○ 紀南高校の「まごターン」を利用して入学している生徒はいるのか。
→「まごターン」は東紀州地域外に住む生徒が、この地域に住んでいる祖父母の家から、紀南高校へ通う制度であるが、現在この制度を利用して入学している生徒はいない。しかし、2年前から、学校別活性化協議会を設置している1学年3学級以下の学校は、保護者の転住を伴わない県外からの入学生を入学定員の5%の範囲で受け入れており、現在この制度を利用して入学している生徒はいる。
○ 木本高校が進学校として存続していくためには、5クラス規模でないと教員の確保等の面で課題が生じると聞いていたが、4学級規模となった現高校1年生の様子はどうか。
→理科などは科目ごとの専門分野の教員を確保することが難しいが、スタディサプリやクラッシーなどを活用したり、教員が個別で質問を受けつけたりすることにより対応している。
○ 木本高校にある2学科に入学する中学生が進路に関してミスマッチにならないよう、中学での進路指導において注意を払う必要がある。
→高校3年間で生徒の将来の希望が変わることもよくある。普通科は進学、総合学科は就職を主な進路先としているが、入学後に新たな進路希望が出てきた際にもそれぞれ対応している。
○ この地域で働く場所が少ないというイメージがあるからか、求人を出してもなかなか来てもらえない。高卒生の就職者が欲しいし、地域でできる限り働いてもらいたい。紀南高校では様々な分野の地元の職業人が、講師として説明する機会があるので、その中でもっとPRをしていきたい。
≪紀南地域の県立高等学校の今後のあり方について≫
○ 生徒の減少による学級減の結果、教員が減り、部活動を指導する顧問が不足し、希望する生徒がいても廃部せざるを得なくなっている。子どもたちの学校生活を充実するうえで部活動は大きなウエイトを占めている。部活動が学校と地域をつなげる大切な架け橋となるよう、教育委員会が必要に応じて外部指導者を確保して欲しい。
→部活動は、異なる学年の子どもたちが一緒に活動することにより主体的に非認知能力を培える場であり、コロナ禍の中で、その教育的効果が一層浮き彫りになったと思う。一方、働き方改革を進める中で、教職員の時間外勤務に占める割合の最上位は、部活動に係わる時間であることが分かっている。また、部活動を理由に地域外へ進学している生徒は毎年20人~30人と地域外進学者の約半数近くに及ぶ。現在、外部人材の活用や地域スポーツの活用等の方向性を国が出そうとしており、それを参考にして検討していきたい。
○ 紀南高校はコミュニティスクールであるが、地域による部活動のサポートもあるのか。
→教育課程の中でのサポートが中心であるが、外部指導員として運動部の監督をしていただいたり、同窓会や地域企業の方からは、陸上競技部のためにオールウェザートラックを設置していただいたりもしている。
○ この地域の高校生はいろいろな職業に接することが少ない。職業が多様であるという情報が得られるような教育活動が推進されることが望ましい。
○ 地域に生徒を定着させるには、産学が連携して、今までと違った観点で子どもたちを育てていくべきである。国がGIGAスクール構想を進めているが、通信環境が整っていない家庭も多い。情報ネットワークを整え、ICTの使い方を学ぶことで2校がうまく連携することができれば、小規模となったとしても2校のまま存続していける可能性はある。
○ 「これからの時代を生きていくために、高校生にどのような力をつけていくことが求められるか」、「よりよい学びを実現するためには」という2つの論点について、例えば、学びに向かう力の必要性など、基本的なことはすでに新学習指導要領に示されているので、論点を具体的にすることにより、さらに活発な議論になると思う。両校には、これからもより一層特色化・魅力化に取り組んでいただくとともに、その内容について議論していきたい。
※ 次回協議会では、引き続き紀南地域の県立高校のあり方について協議を進めます。