1 日時 令和6年11月25日(月)19時00分から20時55分まで
2 場所 三重県伊賀庁舎 大会議室
3 概要
伊賀地域の県立高校の総学級数が、現在の25学級規模から、令和5年度に生まれた
子どもたちが高校へ入学する15年先には11~13学級規模となることが見込まれる
中、当協議会における「令和5年度のまとめ」や、地域の中学生・保護者へのアンケート
結果をふまえ、15年先の伊賀地域の県立高校の学びと配置のあり方を見据えながら、
令和10年度以降に想定される当地域の県立高校の学級減への具体的な対応の方向性に
ついて協議しました。
主な意見は次のとおりです。
≪県立高校の学びと配置のあり方について≫
【学校規模について】
○ 「令和5年度のまとめ」では、普通科における多様な学びの維持や大学進学に向けた
指導の充実のためには、少なくとも1学年6学級はある方が望ましいとされている。一
方、今回のアンケートでは、中学生の多くが2~3学級や4~6学級を希望しているこ
とから、こうした規模でも子どもたちが高校に期待する教育は実現できるのかについて
あらためて確認すべきである。
○ アンケートでは、子どもたちは学校に対して、学びたい学科・コースがある、多様な学
びの選択ができる、学校行事が充実している、部活動が活発であるといったことを望む
回答が多く、これらを実現するためには一定の規模が必要である。
○ 高校の理科や地理歴史・公民科は、各科目に分かれて専門性を重視した学習を行って
おり、これらの科目をまんべんなく開設し、それぞれに専門性の高い教員を配置するた
めには、6学級以上の規模が必要である。
○ 小規模校になると、理科において物理が開設できない、あるいは、物理を専門とする
教員が生物や化学も指導するといったことが生じており、大学進学のニーズに応える専
門性の高い学びの実現は難しくなる。
○ 部活動は、引率や危機管理の面から部活動毎に複数の顧問を配置しているため、教員
数すなわち学校規模によって設置できる部活動数も限られてくる。また、小規模校では、
部員不足により、他校との合同チームで大会に出場せざるを得なくなることも多い。
○ アンケートのクロス集計から、中学生は現在在籍する中学校と同じような学級数を希
望する傾向が見てとれるため、生徒の希望だけでなく、さまざまな視点から高校におけ
る望ましい学校規模を考えていく必要がある。
【通学に係る課題について】
○ 地域によっては最寄り駅までのバスがなく、子どもたちが自力で高校に通うことが難
しい。そういった地域の公共交通機関の充実について、何らかの働きかけができるとよ
い。
○ 通学に関する課題を解決するためにバイク通学を認めるとともに、通学時の交通安全
を確保するために、始業時間を遅らせたり、終業時間を早めたりしてはどうか。
○ アンケートでは、通学のしやすさは高校を選ぶ際の重要な要素となっている。一方、
国の調査では自宅から近いという理由で高校を選んだ生徒は入学後の満足度が低い傾向
にあるとの結果があり、このことをふまえて考える必要がある。また、許容できる通学時
間として、60分以内とする回答が多かったが、資料からは現在の伊賀地域の中で5校は
概ねその条件を満たしていると言えるのではないか。
【学びと配置のあり方全般について】
○ 進学を希望していた高校が統合されると、県外への進学や就職を選択する中学生も増
えるのではないか。単に生徒数が少ないから統合するのではなく、どうすれば小規模校
を残すことができるのかも考えてもらいたい。
○ 学校規模ありきで議論を進めるのではなく、従来の教育方法を見直すという視点も必
要ではないか。一方で、小規模校における丁寧な学びを大規模校でどのように実現する
かについても、同時に考えていく必要がある。
○ 一定規模を維持するために統合が必要であることは理解するが、単なる数合わせでは
なく、当地域にどのような高校が必要なのかをゼロベースで考えていくべきである。
○ アンケート結果をふまえると、当地域には国公立大学や難関私立大学への進学をめざ
す特進クラスと一般的な進学クラスを設置した1学年6学級規模の普通科高校、基本的
な学びを中心に学びの選択肢をそろえた専門学科と普通科が共存する高校、そして、必
要とする生徒がいる限りあけぼの学園高校のような小規模校、これら3つのタイプの高
校が必要であると感じる。ただし、現在の場所ではなく、統合して交通の便のよい場所に
新築したほうがよい。
○ 地域の企業やまちづくりの立場からは、地元の生徒に少しでも早く地元で働いてもら
いたいと考えている。一方で、アンケートでは、地域と連携した活動や地域を題材とした
学びを望む声がとても少なく、歯がゆさを感じている。高校生がアルバイト等で地域で
活躍し、そのまま地元へ就職していく姿を小中学生が見ることで、地域で働くイメージ
を持ってもらえるのではないか。
○ 行きたい高校や学科・コースがあっても、前期選抜では受検できないという声や、く
くり募集により入学前に学科が選べないという声がある。一方で、部活動の強豪校に行
きたいので学科にはこだわらないという声もある。こうした中、学びの選択肢の維持だ
けでなく、入試制度をどうしていくのかも大切になるのではないか。
≪今後の協議の進め方について≫
○ アンケートの記述を見ると、統合は避けるべきと回答した保護者の多くは、少人数に
なっても現在の状況がそのまま維持されると考えている可能性が高い。学校が小規模化
することによるリスクをしっかりと伝えた上で、どのように対応すべきかの議論に早く
舵を切らないと手遅れになる。
○ 15年先には当地域の中学校卒業者数は半減し、県立高校は2校になることも想定しな
がら、令和10年度の学級減への対応についてとりまとめる必要がある。
○ 当地域では、伊賀市と名張市の交通の便が大きな課題であり、これ以上統合が進むと、
今以上に津など他地域への流出が進むことが懸念される。「令和5年度のまとめ」にもあ
るように、伊賀地域だけではなく、隣接する地域を含めて学びと配置のあり方を検討す
る必要があるのではないか。
○ 学科・コースの選択肢や多様な子どもたちの受入れなど学校の機能面と、それらをど
の場所で実現するかというハード面は分けて議論する必要がある。
○ 中学校現場としては高校の数は多い方がよいが、中学校卒業者数が減少したとしても、
統廃合せずに現状の学びを維持することができるのかをシミュレーションするために、
事務局から具体的な案を示してほしい。