1 日時 令和4年7月27日(水)19時00分から21時00分まで
2 場所 県伊賀庁舎 大会議室
3 概要
地域の少子化がさらに進んでいく中で、当協議会の「令和元・2年度の協議のまとめ」や、「県立高等学校活性化計画(令和4年3月)」をふまえ、近い将来に想定される現在の5校の再編を検討する上で、子どもたちの学びの選択肢を保障し、学習環境をよりよくしていくために、大切にすべきことなどについて協議しました。
主な意見は次のとおりです。
≪英心高校桔梗が丘校をめぐる中学生の動向について≫
○ 令和4年度から名張市に開校された通信制の英心高校桔梗が丘校について、中学生はどのような理由で
進学を希望しているのか。
⇒ 中学生や保護者は、体験入学などをとおして、自分に一番あった学校を選んで進学している。英心高
校へは、不登校を経験した生徒などが、小さい集団の中でさまざまなサポートをしてもらえるところに
魅力を感じて進学しているケースが多い。
⇒(事務局)伊賀地域の中学校からは、昼間定時制の山辺高校山添分校(奈良県)と比較して、距離が近
いため通学時間や交通費が少なくなる点、学校に行きづらい生徒の保護者からは送迎する際に便利であ
る点、定時制は4年間通う必要があるが、通信制の英心高校は3年で卒業できる点に魅力を感じて進学
していると聞いている。
≪県立高等学校活性化計画について≫
○ 活性化計画には、1学年3学級以下の高校は統合についての協議も行うことや、入学者が2年連続して
20人に満たない場合は募集停止とすることなどが書かれているが、県教育委員会は、伊賀地域において
何年度に統合や募集停止があると予想しているのか。
⇒(事務局)伊賀北部では、令和7年度と10年度に大きな中学校卒業者数の減が予測されており、合わ
せて2学級減が見込まれている。このことをふまえ、現在の3校のままがよいのか、2校に再編すべき
なのかを、令和7年度までにしっかりと協議する必要がある。
○ 県立高校の活性化のためには、1学年何学級以上あったほうがよいという基準はあるのか。
⇒(事務局)今回の活性化計画では、望ましい学級規模などの基準を設けていないが、計画策定に向けた
三重県教育改革推進会議においては、子どもたちが多様な考え方や価値観に触れ、社会性や人間性を身
に付けるためには、一定の学級規模があったほうがよいという議論があった。
≪再編を検討するうえで大切にすべきことについて≫
○ 子どもたちが自己実現するために必要な要素は何かという視点で議論を進めることが大切である。
○ 教育に関するテーマは、少子高齢化など社会の問題と全部がつながっているので、高校の活性化につい
ても、企業経営や地域づくりの観点から考えていきたい。
○ 伊賀地域は他地域からの流入が少なく、他地域への流出が多いので、どうやったら生徒を呼び込めるの
かを議論したい。
○ 高校の統合に向かった状況は理解しつつも、これまでの統合によって母校がなくなり寂しい思いもある
が、希望をもってその高校を選んだ生徒が、入学してがっかりしないような環境づくりをしてほしい。
○ 高校進学は、子どもたちが将来の希望を実現するための選択肢の1つである。小中学校の段階からキャ
リア教育を積み上げていくことが、結果として高校の活性化の取組にもつながる。子どもたちが、自由に
進路を選択できる環境を整えるために、議論を続けていきたい。
○ あけぼの学園高校は、小規模校の少人数を生かした丁寧な指導を行っており、そのような環境だからこ
そ通える生徒もいる。他の4校にはない魅力があるので、ICTの活用などにより、小規模校を残しなが
ら活性化させることも検討すべきだ。
○ 小さくても世界に通用する企業があるように、小規模でもその学校を選んだ生徒をどのように育ててい
くかを前向きに考え、伊賀地域の高校を他の地域へもアピールしていきたい。
○ あけぼの学園高校は、これまでの活性化の取組によって特色化・魅力化が図られている。一方で、学級
規模も大切であり、一定規模の学校が必要となったときに、あけぼの学園高校が担っている役割を他の4
校で担えるのかどうかや、上野高校や名張高校の夜間定時制に昼間定時制を加えることができるのかどう
かについて、議論しておく必要がある。
○ 夜間定時制がある上野高校と名張高校には全日制もあるので、昼間定時制を併設するのは、教室数の不
足などハード的にも簡単ではない。また、英心高校桔梗が丘校へは一定の進学希望者があり、今後の動向
を見極める必要がある。
○ 令和4年度は地域内への進学者の割合が高かったとのことだが、例えば大学進学をめざす中学生が、本
当は津市内の高校を志望していたのに、消極的理由で上野高校を選んだ結果だとすると、上野高校が活性
化されているとは言えない。上野高校は地域で一番のブランドかもしれないが、あけぼの学園高校の方が
独自性やニーズがあるという見方もできる。地域の子どもたちの進路の幅を広げ、選択肢を保障するとい
う観点で考えることが大切である。
○ 1学級40人を前提に議論しているが、教員数を確保したうえで、少人数学級を導入できないか。伊賀
白鳳高校は30人または35人の7学級としているが、教員数が6学級規模であり、教育の質の低下を招
く恐れがある。市町村合併により吸収された町や村から元気がなくなってきているという声もあるので、
高校の再編には地域おこしの視点も必要ではないか。
○ 地域の人口そのものが減少しており、高校の配置についても現実的な話をする時期に来ている。学習指
導要領が改訂され、探究的な学びを進めていくためには、ある程度の規模があったほうがよい。また、教
育にかけられる予算にも限りがあるので、いつまでも小規模校を維持し続けることはできず、どこかで再
編の判断をする必要がある。
○ 十分な予算と人材があれば、何学級規模であっても活性化できるが、中学校卒業者数が減少し、教育関
係の予算も減るという現実の中で、できる限り地域の子どもたちの学びを保障し、効果的・効率的に学校
を運営する方法を考える必要がある。今後は、役割や機能が近い学校をできるだけ集約して教育資源を集
中化させ、スケールメリットを生かして子どもたちに選択肢のある学びを提供していくことが必要になっ
てくる。
≪交通網に係る課題について≫
○ 再編を考えるうえで大切なことは、子どもたちの学びの選択肢が確保されていることと、それを選択で
きるだけの交通手段が整っていることである。
○ 学びの選択肢だけでなく、新しく校舎を作ったりバイク通学を認めたりするなど、交通手段の選択肢も
含め、いろいろなアイデアを出し合う必要がある。
○ あけぼの学園高校が、専用通学バスにより名張市からの進学者が増えたように、結局、伊賀地域は交通
の便が課題である。
○ 地域の高校の特色化・魅力化が図られなければ、交通の便がよくなったときに、さらに他地域への進学
者が増えることも考えられる。