三重県教育委員会では、三重県の教育改革に関する重要事項について審議し、今後の施策に生かしていくため、令和元年度第3回三重県教育改革推進会議を開催しました。会議の概要は以下のとおりでした。
1 日時 令和元年9月27日(金曜日)14時30分から17時00分まで
2 場所 三重県農協会館 5階 大会議室
3 出席者 三重県教育改革推進会議委員8名(伊藤委員、高岡委員、村田委員、山田委員の4名が欠席)
4 概要 「次期三重県教育ビジョン(仮称)中間案」および「三重県特別支援教育推進基本計画」(中間案)について審議を行いました。
5 主な意見
①次期三重県教育ビジョン(仮称)中間案等について
・施策「外国人児童生徒教育の推進」の指標については、例えば通常の学級で大きな困り感なく過ごすことのできる生徒の割合などとしてはどうか。
・施策「健康教育・食育の推進」の指標は、「虫歯予防に取り組んでいる学校の割合」とするよりは、その成果である子どもたちのう歯率としてもよいのではないか。
・外国人児童生徒への日本語指導を教育課程に位置づけて行っていくことは、教員の加配措置の有無によるところが大きいため、指標を再考してはどうか。
・施策「特別支援教育の推進」について、現行のビジョンには盛り込まれていた「インクルーシブ」の文言が見当たらないため、「共に学ぶ」という姿勢を示すためにもキーワードとして必要ではないか。
・全体に関わることとして、「子どもたち」「児童生徒」「生徒」等の対象者を示す表記にばらつきがみられるため、精査が必要である。
・施策「学びのセーフティーネットの構築・学びの継続」について、中途退学率を指標としているが、中退に至る要因は経済面・学習面など複合的であり、この施策の成果を示したものとは必ずしも言えないのではないか。むしろ、施策「学校の特色化・魅力化」の指標とする方が適切であると考える。
・施策「地域とともにある学校づくり」でコーディネーターの養成講座を開催するとあるが、もともと地域に影響力のある方にコーディネーターを担っていただているため、意味合いが違うのではないか。また、施策「子どもたちの安全・安心の確保」にある「飲酒運転」防止の取組は、唐突な印象をもった。
・今回の中間案では、三重の教育の現状に関する記述が充実したと感じた。三重の特色を強みとした記述ぶりとなっており、評価できる。将来的には、他地域と比べて絶対に負けないという内容が盛り込めればいいと思う。また、これからの社会の変化の激しさを考えたとき、これまでの学校の体制も大きく変わっていくものと考えられることから、例えば、「三重モデル」のような新しい施策を模索することが大切だと思う。今後は、若い世代に対し、教職に対する魅力を発信し、質の高い教員を確保する取組を積極的に推進していくことが大切である。
・指標について、県民としては、アウトプット指標よりは、アウトカム指標を望んでいると考えられるため、なるべくアウトカム指標を多く設定してはどうか。
・施策「教職員の資質向上とコンプライアンスの推進」について、本文中に不祥事「0(ゼロ)」に向けた取組とあるが、学校現場では不祥事「根絶」をめざすとして取り組んできていることから、不祥事「根絶」との表記で再考できないか。また、指標の「コンプライアンスの徹底に取り組んだ学校の割合」は、5年後ではなく、小中学校も含めて、今年度中にも100%をめざすべきものであるし、既に100%に至っていると信じている。
・第3章の「学校の役割」にある「生き抜いていく力」とあるが、第1章の基本方針と同様に、「自立」と「共生」の力を育むことで「生き抜いていく力」を育成するという文脈にした方がいいと思う。また、「行政の役割」で「安全・安心で最適な学びの環境を整備・実現」とあるので、ぜひ実現をしてほしい。施策「学校における働き方改革の推進」の指標は、現行ビジョンと同様に、全数調査である教職員の満足度調査の方が適切だと思う。
・働き方改革を進めるためには、教職員や学校だけでなく、保護者が現状を理解し、子どもの教育にとってどうかという観点から、共に考えていくことが大切である。また、学校は教育の充実を図るためにさまざまな取組を進めているのだから、負担軽減することで教育の充実を図れるイメージがもてない。指標には教職員満足度調査の数値を使ってはどうか。文化財の保存・継承・活用でも子どもたちが地域の文化や歴史、伝統に親しむことを意識してはどうか。また、文化財の分野でも人づくりの視点に関する記述にしてはどうか。
・無形文化財の担い手として子どもたちは地域で期待されているので、記述してはどうか。働き方改革を進めるには、地域・保護者の理解が大切であるため、指標を再考したらどうか。
・むし歯予防の指標は、調査のやり方によって変わるかもしれないが、実態としてほぼ100%ではないか。例えば、視力検査や歯科検診の結果を改善に生かした割合を指標にしてはどうか。教職員の資質向上では、OJTの推進と中核的リーダーの育成が重要だと考えているが、指導教諭と主幹教諭に関する取組について、研修だけでなくもっと充実した記述にしてほしい。
・文化部でも運動部でも外部指導者の活用はいいと思うが、部活動を通じて豊かな趣味や生涯スポーツの礎につなげることが大切であり、勝利至上主義の指導となってしまわないように留意してほしい。家庭・地域と連携した道徳教育の推進とあるが、家庭環境が多様化している中、どこの家庭でも同じように道徳教育に関わることは困難ではないか。家庭の教育力の向上の指標は、県がかかわって実施したみえの親スマイルワークとあるが、必ずしも県がかかわったものに限定する必要はないのではないか。市町独自の子育て支援が充実しており、県のプログラムを活用しない市町もあるのではないか。これで実態を把握できる指標になるのか疑問である。施策「主体的に社会を形成する力の育成」の指標は、「社会的な課題について話し合う活動を行っている学校数」としている。他県の高校で昼食の時間に政治の話をしていたことが話題になっていたが、三重県では高校生が政治的事象や社会的課題について話し合うことを推進していくとのメッセージを受けとめた。
②三重県特別支援教育推進基本計画(中間案)について
・交流及び共同学習の充実について、子どもたちが地域とつながることは大切である。市町と協働してさらなる充実を考えていくべきである。
・特別支援学校の整備について、老朽化への今後の対応は示されている。狭隘化や教室不足についても、対応がわかる記述に改めるべきである。