三重の木づかい人
第4回 ミエケンジンカイ 平成27年7月6日
「三重の木づかい人」第4回は主に首都圏で活躍する三重県出身の建築家グループ「ミエケンジンカイ」の海田修平さんと江口智行さんにお話を伺いました。
ミエケンジンカイは、東京で出会った三重県出身の建築家、須川哲也氏、岡村裕次氏、海田修平氏、江口智行氏、落合正行氏からなる建築家ユニットで、メンバーが生まれ育った三重県のため、三重の魅力を伝える活動に取り組まれています。平成26年秋に三重県立美術館で開催された企画展『世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録10周年記念 カミノ/クマノ -聖なる場所へ』では、三重の林業に着目し、県産ヒノキの丸太を用いたインスタレーションを発表するなど、三重の林業や木材に関わる活動に積極的に取り組まれています。
どのようなきっかけでミエケンジンカイを結成されたのですか?
東京で建築家として活動する中で、メンバーそれぞれが「地元との関わりを持ち続けたい」「何か三重県に対する活動をしたい」という思いを持っていました。そのような中、三重県出身の5人が出会い、地元三重に対する活動ができる場所を作ろうということで平成25年にミエケンジンカイを結成しました。
ミエケンジンカイとしての最近の取組内容を教えてください。
現在は、津市にある中勢森林組合と連携して、木製製品の開発に取り組んでいます。ただ販売するための商品を開発するのではなく、開発した製品を使って森林や木材のことを知ってもらうための活動をするなど、次のステップにつながるツールをデザインしたいと思って取り組んでいます。
林業や木材に関わる取組を通じて、何か考え方に変化はありましたか?
林業に関わることになったきっかけは、三重県立美術館での展示のために熊野古道を訪れたことなのですが、取組を通じて多くの変化がありました。
これまで建築士として多くの建物を設計してきたわけですが、正直なところ熊野古道を歩くまでは森林内のスギやヒノキの違いも見分けがつきませんでした。以前は、木材に対して建築物の材料という視点しかなく、その木がどのように育ってきたのかということや、外国から日本にどのような木が輸入されているのかなどということは気にも留めていませんでした。
それが、熊野古道を訪れ、林業という営みに触れる中で、そこからスギやヒノキといった木材が生産される過程を知り、知れば知るほどスギやヒノキを自分たちの建築の中で使っていきたいという意識に変化していきました。
ミエケンジンカイとしての今後の抱負を教えてください。
ミエケンジンカイとしての活動を継続し、三重県内のさまざまな企業や団体とコラボレーションすることで、三重の魅力を発信していく活動ができればと考えています。そのような活動の中で、イベントやアート等々さまざまな活動に取り組み、建築家の領域をどこまで広げられるかに挑戦していきたいと思っています。そしてやはり、最終的には建築家として建築の仕事で地元三重に関わることができればと思っています。
写真:谷川ヒロシ
写真:谷川ヒロシ
写真:谷川ヒロシ