低コスト造林について
背景
三重県では昔から、良質な柱材を作るために4000本/ha以上の密植を行うところが多く、現在でもその傾向は変わりません。しかし、近年は高級柱材だけでなく集成材や合板用の並材の需要が高まっているほか、各地で木質バイオマス発電所が稼働しており、高級柱材以上に並材が需要の中心となっています。この市場の変化に対応した林業を営むためには、コストをかけて良質材を生産する今までの育林体系だけでなく、コストを抑えて並材を生産する育林体系も平行して進めていく必要があります。
コストを抑える方法は様々にありますが、その1つとして、従来よりも少ない本数を植栽する「低密度植栽」が近年注目されています。 全国的に、1000~2000本/haが「低密度植栽」と言われることが多いです。
低密度植栽にすると、どうなるの?
低密度植栽には、以下のようなメリットがあります。
- 植栽本数が少ない分、植栽・枝打ち・間伐にかかる経費・手間を削減できます。
- 一本あたりの成長速度が速くなるため、短期間で主伐できる太さになります。
ただし、以下のようなデメリットがあります。
- 高級材の生産を目的としていないため、木材の売却による収入が減少します。
- 搬出間伐による中間収入を得られる回数が減少します。
しかし、育林経費に関して総合すると、木材の売却による収入は減るものの、それ以上に育林経費が低く抑えられるため、最終的な森林所有者の収入が従来の一般的な施業より増えることが予想されます。
どんな森林所有者が対象なの?
高級材の生産にこだわらず、最低限の経費と手間で林業経営を行いたい森林所有者に、低密度植栽を推奨しています。
また、伐期に達した高齢林を抱えているものの、上記の理由や、植栽経費の捻出が困難等の理由で主伐を控えている森林所有者には、この機会に主伐+低コスト造林を検討して頂きたいと考えています。
※従来の植栽本数(4000本/ha程度)で、戦略的に高級材の生産を目指す林業経営をされている森林所有者には、お勧めしません。