森林ゾーニングについて
森林ゾーニングは、森林のさまざまな機能を十分に発揮するための森林区分の方法です。
三重県では、地域の森林管理の実態に合うかたちで、きめ細かいゾーニングを行っています。
持続可能な森林管理に向けて
1.森林ゾーニングのねらい
森林の自然条件や社会的ニーズは多様であり、複数の機能が一つの森林の中で複雑に絡み合っています。しかし、森林の多面的機能を高めていくためには、複数の機能のうち最も重視すべき機能に絞って森林をゾーニングし、その機能を発揮するための効率的・効果的な森林管理を実施することが重要です。
三重県では、国のゾーニングの考え方を基本に、地域の森林の利用実態に合うように、林道からの距離などに基づいて森林を区分し、木材の持続的な生産のための「生産林」と、公益的機能を重視した「環境林」に大きく区分し、森林の管理形態に合うよう、よりきめ細かくゾーニングすることとしました。 (写真:管理が行き届かないため光の差し込まない森林)
※それぞれの森林区分のハコの大きさは、三重県内における実際の面積比を反映しています。
2. 三重県のゾーニング~木材生産と環境保全の推進~
1)持続的な生産のための「生産林」
造林・間伐、林道事業を重点的・集中的に実施し、生産コスト低減に努めつつ持続的林業経営を通じて公益的機能の向上を図ります。
2)公益的機能を重視した環境林
森林を次世代をも含む県民がその恩恵を享受する公共財として位置づけ、水土保全等の公益的機能の高度発揮を目的とする多様な森林づくりを行います。
多様な森林管理の方法
森林ゾーニングの区分ごとに、多様な森林管理の方法があります。
その主な森林タイプにおける現状と将来目標、施業方法について解説します。
1. 中径材生産のための人工林
現状 | 人工林 |
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目標 | 人工林 |
施業方法 | 多様な伐期の育成単層林施業 |
多様な伐期の育成単層林施業により、ヒノキ・スギ等の生産林において中径材を主伐生産します。
2. 下層植生の豊かな森林
現状 | 人工林 |
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目標 | 人工林(大径材) |
施業方法 | 長伐期施業、皆伐、択伐、 保安林化 |
ヒノキ・スギ等の生産林においては、長伐期施業により針葉樹の大径木を育成するとともに、針広混交林化した環境林においても、積極的間伐により、広葉樹等の下層植生の生育を促します。
3. 自然に循環する天然林
現状 | 天然林 |
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目標 | 天然林 |
施業方法 | 受光伐等 |
広葉樹の天然林(環境林の保存型森林)では、台風や森林火災等の自然撹乱による天然更新により、極相までのあらゆる遷移段階が自然に循環します。下層植生の生育を促すために受光伐を行うこともあります。
4. 若い天然林(萌芽更新林)
現状 | 天然林、二次林 |
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目標 | 自然に循環する天然林 |
施業方法 | 間伐等 |
樹齢の若い天然林や二次林の広葉樹(ともに環境林)において、天然更新(萌芽更新林等)や間伐により生育を促し、自然に循環する天然林(環境林の保存型森林)への移行を図ります。
5. 針葉樹・広葉樹が混交した森林
現状 | 人工林(管理放棄)、伐採跡放棄地 |
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目標 | 針広混交林 |
施業方法 | 複層林施業、強度の間伐による天然更新 |
間伐等の管理が適切に行われていないヒノキ・スギ等の生産林、あるいは伐採跡放棄地等において、複層林施業等により針広混交林化を図ります。
6. 風致効果の高い樹種の混ざった森林
現状 | 二次林、天然林、人工林 |
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目標 | 二次林、天然林、針広混交林 |
施業方法 | 風致効果の高い樹種(サクラ・ カエデ等)の植樹、下刈等 ※広葉樹の植樹はこのタイプに限る |
二次林や天然林 (ともに環境林) 、人工林(生産林)にサクラやカエデ等の風致効果の高い樹種を植え、人工林は針広混交林化を図ります。
森林の空間配置
森林ゾーニングに基づく森林管理では、それぞれの森林タイプにおいて目指す機能に応じて目標林型を明確にするとともに、流域全体の生物多様性の保全及び、生産林における病虫獣害の異常発生の抑制等の効果を高めるために、様々な林齢や樹種の森林を流域単位で計画的に配置することが重要です。
それぞれの森林の成長にともない、流域単位での森林の空間配置は変化しますが、全体として安定した状態が保たれます。
流域単位の森林の空間配置イメージ
広葉樹を中心に、天然更新により自然に循環する
広葉樹が亜高木になり、下層植生も繁茂している。鳥や動物も生息する
下層に広葉樹が成長している
天然更新(萌芽更新等)や間伐により生育を促す。この環境を好む昆虫等がいる
スギが林の全面を覆い、植物の多様性は低いが、この環境を好む昆虫等がいる
下層に草本があるが広葉樹は少ない
日なたを好む草本、昆虫、は虫類、猛禽類の捕食の場所
三重県での環境林整備
1)森林環境創造事業
環境林のうち手入れがされず荒廃した森林を、所有者負担なしで「公共財」として継続的に整備し、公益的機能が高度に発揮できるような多様な森林づくりを行います。補助率は県8割、市町村2割とし、森林所有者から管理委託(20年間無償提供)された森林を、管理受託者である「認定林業事業体」が整備します。詳しくは下記のホームページをご覧下さい。
森林環境創造事業について
2)環境林整備事業
面的にまとまって計画的な間伐等を実施することが困難な森林など、森林所有者の自助努力等によっては適切な整備が期待できない森林において、針広混交林化や広葉樹林化に向けた取組を進めます。補助率は、国及び県が72%(市町のあっせんによる森林施業等は、国及び県が90%、市町10%)とし、地方公共団体と森林所有者等による協定に基づいて森林施業を支援します。
環境林整備事業の運用について(PDF:636KB)
Q三重県の森林では、木材生産は目的としないのですか? |
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A森林ゾーニングを軸とする三重県の森林政策は、木材生産を中心とする林業経営を否定するものではなく、むしろ「生産林」について、森林整備事業(林道・造林等)を中心に持続的な林業経営のための支援を重点的かつ積極的に行うことにより、森林の公益的機能を維持・向上させようとするものです。ちなみに、人工林における「生産林」と「環境林」の面積は、環境林70,000haに対し生産林150,000haとなっており、2/3以上が「生産林」となっています。 |
Q環境林の目指す森林の姿(目標林型・最も望ましい姿)は広葉樹林ですか? |
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A環境林の目指すべき姿は、広葉樹林に限定しているわけではありません。重要なのは、公益的機能を継続して高度に発揮できる状態の森林であるかどうかということです。したがって、環境林の目指すべき姿については、広葉樹・針葉樹という樹種構成だけではなく、管理の必要性や所有形態についても考慮しなければなりません。こうしたことから、環境林については、「管理のほとんど要らない安定した森林」で「様々な樹種が混在し下草など下層植生が繁茂する多様性に富む森林」を目指します。 |
Q森林環境創造事業において、20年間の管理委託終了後は、その森林はどうなるのですか?また、木材の搬出・売却や生産は行えないのですか? |
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A年間の管理委託終了後、森林管理の権限と責任は原則として所有者のもとに戻りますが、継続して公益的機能を高度に発揮する環境林として保全される必要があります。このため、森林環境創造事業を導入する森林については、市町村と森林所有者の間であらかじめ「環境林づくり協定」を締結し、森林所有者の方に次の事項を遵守していただくこととしています。 【管理委託終了後の遵守事項】 ○ 環境林として多様な針広混交林又は広葉樹林の状態を維持すること。 ○ 広葉樹は皆伐しないこと。 ○ 対象森林の権利を第三者に譲渡するときは、当該第三者にこの協定に定める事項を承継させること。 木材の搬出・売却や生産は、環境林として公益的機能が高度に発揮されるなら、協定の範囲内(以下の条件のもと)で実施できます。ただし、木材生産(林業経営)のための施業や売却のための搬出など、生産林を対象とした事業については補助金の適用はありません。 【木材の搬出・売却・生産についての条件】 ○ 広葉樹は、公益的機能の高度発揮上支障のない範囲において、伐採が可能です。 ○ 針葉樹は、自由に伐採することができます。 ○ 針葉樹を伐採した場合、その伐採跡に限り再度針葉樹を植栽できます。この場合も、多様な針広混交林となるよう配慮が必要です。 |