尾鷲林業地
長伐期大径化が進む尾鷲ヒノキの産地
尾鷲林業地域は三重県の南部に位置し、熊野灘に面した尾鷲市、紀北町にまたがる森林面積4万691ha、うち民有林面積3万2989haのヒノキを主体とした全国的にも有名な林業地です。
この地域の林業の歴史は古く、約380年前に人工造林が始まったとされており、海上交通の利便性によって古くから関東圏との取り引きが行われてきました。
伝統的な密植集約施業によって生産される「尾鷲ヒノキ」は、特に関東大震災においてその強靱性が立証されて以来、各消費地において高い評価を受け、産地銘柄材として流通しています。
尾鷲林業の特徴はヒノキの芯持柱生産を目標に、植付け本数6,000~8,000本、丁寧な下刈りを行うとともに、弱度の間伐や枝打ちをしばしば繰り返しながら通直、完満で無節、そして年輪が緻密な高品質材を生産してきました。
近年では「尾鷲ヒノキ」として、より付加価値を高めるため長伐期大径化を図り、内装材生産に移行する林家も見られるようになってきました。