森林情報基盤整備事業について
森林情報基盤整備事業とは
県では、災害に強い森林づくりをより効果的に進めるため、令和元年度からみえ森と緑の県民税を活用し、航空レーザ測量と航空レーザ測量成果を用いた森林資源解析により精度の高い森林情報の基盤整備を実施しています。
森林情報の基盤整備により、整備が必要な森林や、山地災害や流木被害の発生の恐れのある森林を効率的かつ客観的に、机上で把握することができ、災害に強い森林づくりを着実に進めることができます。
表_航空レーザ測量成果を用いた森林資源解析の実施状況
年度 | 森林資源解析実施面積 ha | 対象市町 |
|
単年度 | 累計 | ||
R1 | 39,820 | 39,820 | 津市・伊賀市・名張市 |
R2 | 55,365 | 95,185 | 四日市市・鈴鹿市・亀山市 大台町・度会町・尾鷲市・紀北町 |
R3 | 44,038 | 139,223 | 松阪市・大紀町・南伊勢町 |
R4 | 47,889 | 187,112 | 大台町・尾鷲市・紀北町 御浜町・紀宝町 |
R5 | 99,320 | 286,432 | 桑名市・いなべ市・菰野町 津市・松阪市・多気町・大台町 大紀町・伊賀市・名張市 |
図_航空レーザ測量成果を用いた森林資源解析の実施状況
航空レーザ測量による詳細な地形データの取得
航空レーザ測量とは、飛行機やヘリコプター等からレーザ光を地上に照射し、地形を測量する手法のことです。レーザ光は地表まで到達するため、従来の空中写真測量よりも詳細な地形データの取得が可能です。
取得した地形データから傾斜や標高等を割り出し、地図上に表現することで、誰でも容易に地形を把握することができる立体地形表現図を作成することができます。
以下に、航空レーザ測量による2種類の立体地形表現図(左上)と、それぞれ同一箇所で実施された空中写真測量による等高線地図(右)と空中写真(下)を掲載しました。
(例1)立体地形表現図の例(赤色立体地図:アジア航測株式会社調製、左上の図)
(例2)立体地形表現図の例(地形起伏図:中日本航空株式会社調製、左上の図)
例1の箇所では、空中写真測量による等高線地図からはおおまかな地形までしか読み取ることができませんが、航空レーザ測量による立体地形表現図からは、森林に覆われて上空からは見えない小さな尾根や谷、崩壊地形まで読み取ることができます。
森林整備を進める上で重要な作業路網の整備状況についても把握することができ、例2の箇所の等高線地図では道が下まで続いていますが、実際には伸びていないことがわかります。(赤線箇所)
また、現在は森林であっても、地形の形状から過去に田として利用されていたことがわかることで、所有境界の特定に活用できる場合があります。(赤点線箇所)
航空レーザ測量による森林資源解析とは
航空レーザ測量によりレーザ光が樹木に当たった位置情報を解析することで、樹頂点位置や大きさ等の単木情報を推定できます。
・単木(樹頂点)データ
上の図では、緑の点がスギ、水色の点がヒノキの樹頂点位置を表しています。点それぞれに単木毎の情報(樹高、DBH、単木材積等)がひも付けられており、GISを活用することで任意のエリアを指定して、情報を集約することが可能です。
※収量比数は単木毎には計算していないため、表記が0になっています。
・森林資源解析データ
森林資源解析データとは、単木毎の情報を10m×10mメッシュ単位で集約し、面的な傾向を可視化できるようにしたデータです。
上の図では、相対幹距比の値に色調設定を施すことで、森林整備が必要な箇所を可視化した例になります。
相対幹距比(Sr)とは、立木の混み具合の評価を行うものであり、以下の式で算出します。
14以下になると密度が高い林分であり間伐が必要であると評価されます。
Sr=(100/√𝑁)/𝐻 × 100( N:立木密度(本/ha)、H:樹高(m)
県では、相対幹距比の他、立木密度、代表樹種、平均樹高、平均樹冠長率、平均DBH、総材積、収量比数、平均形状比等計算しており、同様に可視化ができます。