三重の木づかい人
第14回 一級建築士事務所 設計工房NEXT 平成27年12月1日
「三重の木づかい人」第14回は、一級建築士事務所 設計工房NEXT(松阪市嬉野町)の伊藤達也さんにお話を伺いました。
設計工房NEXTでは、一般住宅をはじめとして、幼稚園・病院などの公共建築、商業店舗など、幅広い建物の設計をされています。地元の製材所や大工さんとの連携のもと三重の木材を生かし、建築主の目線に立って建物の設計・監理に取り組まれています。
家づくりのコンセプトを教えてください。
何よりも住まい手のライフスタイルに合わせた提案、個性を尊重した住まいづくりということを心がけています。お施主様の夢や希望をかなえながら、経済的で住み心地が良く、日常的なものを大事にした家づくりをしていきたいと考えています。
実際の家づくりにあたっては、お施主様の要望や敷地を取り巻く環境、気候風土や地域の特色に合わせて設計をしていきますので、出来上がる建物の雰囲気はバラエティに富んでいます。結果的にバラエティに富んだ設計が、設計工房NEXTの特徴の一つになっており、お施主様に合わせたオーダーメイドの家づくりに日々取り組んでいます。
建物に三重の木材を使用する理由を教えてください。
自分自身が山に生まれて、山で育ち、日常的に木に触れてきたという部分が大きな理由です。
また、仕事の習い始めの時期に、「三重の家の設計コンクール」という地域の木材を活用した木造住宅のコンクールがあったのですが、このコンクールを通じて地元の木材を使った住宅のすばらしさに触れたことが、自分自身の現在の設計にも影響しています。
さらに、地域内に豊富な森林資源があり、良質な材料が身近に手に入るということも大きいです。よく手入れされた木材の赤身(心材)部分には何とも言えない良さがあります。地域の気候風土に合うという面でも三重の木材をたくさん使っています。
幼稚園や病院など比較的規模の大きな建物の木造・木質化に積極的に取り組まれていますが、どのような考えで取り組まれているのですか。
これまで大規模な建築物はどちらかというと木造では建てにくい部分がありましたが、近年の防火や耐火に関する法改正によって、木造で建てられる範囲が広がってきています。このような流れの中で、設計者として木を美しく見せる建築物を設計していきたいですし、その中で地域の木材をどう生かしていくかを考えるのが設計者の役割なのです。近年、公共の建物を中心に木を見せる建築物が多く生まれていますが、これを一過性のブームで終わらせずに定着させたいと考えています。
今後の抱負等を教えてください。
これまで建築士として仕事をする中で、設計事務所には「地域の建築を次代に繋げていく」「地域の建築を支えていく」という役割があると感じてきました。そういったことから、次代を担う建築士の育成に力を入れていきたいと考えており、設計の魅力や建築の力など、自分がこれまで感じたことや経験したことを伝えるとともに、三重の木材を生かすことの意義なども、トレーサビリティや(木材の価値を適切に評価するための)木材の分離発注の必要性も考え、しっかり伝える存在になれたらと感じています。
設計工房NEXTの詳細については、下記のページをご覧ください。