所有者不明土地とは
所有者不明土地とは、「不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地」をいいます。所有者不明土地は、土地の所有者の探索に多大な時間と費用が必要となり、公共事業や復旧が円滑に進まず、民間取引や土地の利活用の阻害要因となったり、土地が管理されず放置され、隣接する土地への悪影響が発生するなど、様々な問題が生じています。
今後、高齢化の進展による死亡者数の増加等により、ますます深刻化する恐れがあり、その解決は喫緊の課題とされています。
所有者不明土地法の概要
令和4年に改正された「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(所有者不明土地法)では、所有者不明土地対策の更なる推進に向け、以下の4つの仕組みが導入されました。所有者不明土地を円滑に利用する仕組み
・地域福利増進事業の実施
地域福利増進事業とは、所有者不明土地を、公園の整備といった地域のための事業に利用することを可能とす
る制度です。都道府県知事の裁定により、所有者不明土地に 10 年間(一部 20 年間)を上限とする使用権を
設定して、利用することが可能になりました。
所有者不明土地法に基づく地域福利増進事業に関する事務(公共用地課)
・土地収用法の特例
特定所有者不明土地において行われる公共事業について、国・県が事業認定を行った場合、知事が所有者不明
土地の収用を裁定できるようになりました。
所有者不明土地を適正に管理する仕組み
・管理保全のための勧告・命令・代執行管理不全の所有者不明土地について、周辺の災害発生等の防止のために、市町村長が勧告・命令・代執行を行
うことができるようになりました。
・民法の財産管理制度の特例
所有者不明土地の管理のために、国・地方公共団体が裁判所に対し、所有者不明土地管理人等の選任を請求す
ることができるようになりました。
所有者の探索を合理化する仕組み
固定資産税台帳など、有益な所有者情報を行政機関が利用できるようになりました。所有者不明土地対策の推進体制を強化する仕組み
・市町村において、所有者不明土地対策のための計画を作成できるようになりました。・市町村長が、所有者不明土地対策等に取り組むNPO法人等を「所有者不明土地利用円滑化推進法人」として指
定することができるようになりました。
国の取り組み
所有者不明土地法に関する国の取り組みについては、国土交通省のホームページをご覧ください。民法等一部改正・相続土地国庫帰属制度の概要
不動産登記制度の見直し
・相続登記の申請義務化(令和6年4月1日施行)不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付ける
ものです。
・住所等の変更登記の申請義務化(令和8年4月1日施行)
所有権の登記名義人に対し、住所等の変更日から2年以内にその変更登記の申請をすることを義務づけるもの
です。
民法のルールの見直し
土地・建物に特化した財産管理制度の創設共有制度の見直し など
相続土地国庫帰属制度
相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、法務大臣の承認により、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度です。相続土地国庫帰属制度のご案内(法務省)