どうして今、市町村合併なの?
地域を取り巻く環境は時代とともに変化し、わたしたちのまわりには、次のような解決すべき課題があります。地域の将来を見通すと、市町村合併は地域のあるべき姿を実現する有力な選択肢です。
分権型社会への対応
地方分権時代における市町村は、住民にいちばん身近な基礎自治体として、自らの責任と判断で、地域の特性を生かしたまちづくりを進めていかなければなりません。地域の個性ある多様な行政施策を積極的に展開していくためには、やはり一定の規模や能力(権限、財源、人材)を各市町村が備えていくことが必要です。市町村の規模・能力が充実すれば、マンパワーの層が厚みを増し、専門的な人材の確保や先端的課題への機動的な対応が可能となります。
少子高齢化の進展
日本の人口は2005 年から減少局面に入りました。2030 年には2005 年に比べ総人口が約8%減少し、15 歳から64 歳までの生産年齢人口は18%減少することが予想されています。
少子高齢化のさらなる進展により、市町村は一層厳しい行財政運営を迫られることが考えられます。場合によっては、集落の維持が困難となるなど地域の自律的運営に支障を来すことや、基礎自治体に期待される行政サービスの提供に支障を来すということも考えられるでしょう。住民の暮らしを守るためにも、現在の行政体制のあり方を今一度総点検し、行政改革を進めるとともに、市町村の行財政基盤を強化していく必要があります。
住民の日常生活圏の拡大
交通や情報通信網が発達し、通勤、通学、買い物、医療など、わたしたちの行動範囲は、住んでいる市町村の区域を越えて大きく広がり、公共サービスの便益を受ける範囲は市町村の枠を越えて広がるなど、行政区域と生活圏域との差が大きくなっています。
広域的な視点に立ったサービスの提供により、今までとは異なる質の高い住民サービスを提供していくためには、時代に合わせ行政区域の見直しを検討していく必要があります。
合併により、今までの市町村の枠にとらわれた地域振興策を越えて、新しい枠組みの中で、新機軸として新しい発想に立ったまちづくりが可能となります。
国・地方の厳しい財政状況への対応と効率的な財政運営
国と地方を合わせた借金(長期債務残高)は、平成18年度末で約775兆円(国民一人当たり約607万円)になると見込まれます。
一般的に、人口規模の小さい市町村ほど効率化が難しく、住民一人あたりの行政経費が高くなっています。地方行財政を巡る改革に対応し、今後、基礎自治体として期待される役割を適切に果たし得る体制を構築するためにも、地方行政のスリム化や、市町村の行財政基盤の強化に努める必要があります。