三重県権限移譲推進方針(第2次改定)
1 方針改定の趣旨
本県では、6次にわたる一括法等、国の地方分権改革と歩調を合わせ、関連する一連の事務をまとめて移譲する包括的権限移譲により市町への権限移譲を推進してきた結果、事務の移譲が相当程度進展しました。
しかし、国における改革は、期間を区切った全国一律の集中的な取組から、地方の発意に根差した息の長い取組へと重点を移してきており、従来のように一括法による法定権限移譲に関連した事務を中心に移譲を進めることは困難となってきています。また、市町においても、近年の厳しい財政状況や行政改革による職員数の減少など、権限移譲の検討に際し個々の課題を抱えています。
このような中、県においてはこれまで以上に自発的な、詳細にわたる移譲の検討が求められています。そこで、本改定では、市町優先の原則など、従前の方針における基本的な考え方を踏襲しつつ、移譲事務の重点化を図ることにより、移譲の効果や市町の抱える課題についてより詳細に検証を行い、移譲の効果が高いと認められる事務について積極的に移譲を進め、県民・市町・県のそれぞれが移譲の成果を実感できるような権限移譲を推進していきます。
2 権限移譲の基本的考え方
(県と市町の役割分担について)
現在進められている国の地方分権改革においては、「補完性の原則」に基づき、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体に委ねることを基本とし、特に、住民により身近な基礎自治体を、地域における行政の中心的な役割を担うものと位置付けています。
県と市町の役割分担についても、「補完性の原則」を踏まえ、市町は地域の実情に応じた行政サービスを提供し、広域自治体である県は広域にわたる事務を担うほか、必要とされる専門性を高めるなどして市町を支援し、互いに対等・協力の関係のもと、より一層連携を強化していきます。
(権限移譲のあり方)
権限移譲は、このような役割分担に関する基本的な認識に立ちながら、住民の利便性向上や市町の自主性・自立性の向上を目的に、県と市町双方における行政の質の向上に寄与するものでなければなりません。
また、県は、権限移譲が円滑に行われ、移譲後、市町において適切に事務が処理されるよう配慮しなければなりません。
(権限移譲推進の5原則)
県は、以下のような考え方に基づき、次の5原則により権限移譲を推進します。- 住民の利便性向上の原則
市町との役割分担を踏まえ、住民の利便性向上に資するような権限移譲を行います。 - 市町優先の原則
市町において、より自主的・主体的な取組や効果的・効率的な事務執行が行えるよう、可能な限り包括的に権限移譲を進めることとします。
ただし、具体に権限移譲を行う項目については、地域の実情を踏まえ、市町の意向を尊重して決定することとします。 - 権限・財源の一体移譲の原則
権限移譲によって生じる事務処理が、市町に過度な財政負担を及ぼすことがないように、必要な財源を権限と一体で移譲します。 - 事務処理体制適正化の原則
権限移譲を受ける市町の事務処理の体制上必要があるときは、人的支援を行うとともに、県、市町の双方にとって効果的・効率的かつ適正な組織体制を構築します。 - 公正・透明性の確保の原則
権限移譲にかかる県と市町の協議は、必要な書面や標準的な協議期間などを定めた手続きにより、公正で透明な手順で行います。
3 権限移譲の方法
権権限移譲は、次のとおり進めることとします。
(1)包括的権限移譲
権限移譲は、市町における自主的・主体的な取組や効果的・効率的な事務執行が可能となるよう、関連する一連の事務をパッケージ化してまとめて移譲する「包括的権限移譲」を基本として進めることとします。
(2) 個別的権限移譲
包括的権限移譲によらない場合で、住民の利便性や業務の効率化の面から権限移譲を行うときは、法令等に定めのある必要な項目を個別に移譲します。
(3) 重点移譲事務の選定
住民の利便性向上や市町の自主性・自立性の向上等、権限移譲の目的に特に寄与する事務や、一部の市町に移譲実績があり、足並みを揃えて移譲することが効果的な事務等として、市町との協議により「重点移譲事務」と位置付けたものについて、説明会や勉強会等により、地方分権担当部局と事務担当部局が一体となって重点的に権限移譲を推進します。令等に定めのある必要な項目を個別に移譲します。
(4) 移譲対象事務の拡充
市町からの提案募集を行うとともに、他府県における権限移譲の状況について分析・情報提供等を行い、市町の意向に沿った移譲対象事務の拡充を図ります。
(5) 個別権限移譲
人員の確保や専門知識の習得等、単独の市町での受入れには課題があるものの、一部の地域で広域的に取り組むことで住民サービスの向上につながる事務などについて、連携協約や広域連合等の広域連携の仕組みを活用した権限移譲を県と市町で検討していきます。
4 市町に対する支援等
市町への権限移譲にあたって、県は次の支援を行うものとします。(1) 権限移譲に伴う財政措置
権限移譲の際には、地方財政法第28条第1項の規定に基づき、「三重県の事務処理の特例に関する条例に基づく交付金交付要綱」に定める財政措置を適切に行います。
(2)権限移譲に伴う人的支援
権限移譲にあたり、市町において円滑かつ適切な事務処理が可能となるように、必要に応じて、県職員の派遣や市町職員の受入研修などにより、人的支援を行うものとします。
なお、支援の内容については、移譲事務の処理にあたって求められる専門性の程度や県・市町の事務処理体制の状況等を踏まえ、双方が協議の上決定するものとします。
(3)その他の支援
市町における権限移譲の検討を支援するため、説明会や、個別訪問による相談会などを行うとともに、移譲後においても、適宜研修会を開催するなど、移譲事務が円滑に執行されるよう努めます。
5 権限移譲にかかる手続き等
権限移譲にあたっての協議、決定、事務引継などの手続きは、双方が合意した手順により行います。6 推進期間
この方針に基づく推進期間は、平成29年度から平成33年度までとします。なお、推進期間内においても社会情勢が大きく変化した場合などは、県と市町のいずれかの発意により必要な見直しを行うものとします。
7 その他
以上に定めのあるもののほか、この方針に基づく権限移譲の実施に関し必要な事項は別に定めます。
(参考)三重県権限移譲推進方針(第1次改定)(PDFファイル)