紀北町にコウノトリ(国の特別天然記念物)がやってきました!!
(森林・林業百景 第22弾)
森林・林業百景の第22弾は、平成28年11月9日から11日にかけて、紀北町矢口浦地内の熊野灘臨海公園大白地区に飛来したコウノトリ(野鳥)について紹介します。
この日(11月11日)は、大白池に注ぐ元谷川の周辺で、沢ガニやドジョウ等を捕食したり、川岸で羽づくろい等をしている元気な姿が確認できました。
コウノトリは、かつては日本の各地に生息していましたが、明治時代以降の乱獲や巣を架ける樹木(森林)の伐採、河川改修等による湿地の消滅等の生息環境の悪化等により、コウノトリの個体数は激減し、1971年(昭和46年)に最後の野生個体が死亡したといわれており、同年、国内には人工飼育以外のコウノトリはいなくなりました。
つまり、トキ(野鳥)と同じように、コウノトリは一度日本では絶滅しています。
今回、紀北町に飛来したコウノトリは、兵庫県立コウノトリの郷公園附属飼育施設コウノトリ保護増殖センターで人工飼育されたコウノトリが、その後兵庫県豊岡市周辺で放鳥されて野生化した親鳥から、今年の春(4月15日)に生まれたメスの幼鳥で、6月25日に巣立ち、兵庫県豊岡市周辺から旅立った個体だそうです。
【目】コウノトリ目 【科】コウノトリ科 【和名】コウノトリ(鸛、鵠の鳥)
【学名】Ciconia boyciana 【全長】100~110cmほど(翼開長 200~220cm)
「別名は ニホンコウノトリ、英名は Oriental stork (東洋コウノトリ)といわれています。」
今回目撃されたコウノトリ
には、右脚に「黄黒」、左脚
に「黄黄」の識別用の足環が
つけられていました。
この足環の色の組み合わせ
は「J0131」という個体
で、10月中旬頃から11月
初旬頃にかけては、高知県四
万十市で目撃され、紀北町に
やってくる数日前までは、和
歌山県東牟婁郡古座川町で目
撃されていました。
こうした野生復帰の取り組
みにより、今では日本各地で
野生化したコウノトリが100
羽弱まで数を増加させたそうです。しかし、皆さんもご存じのとおりコウノトリは、まだまだ野生での個体数は非常に少ない国内希少種であり、またいつ絶滅するかわからない絶滅危惧種ですので、もし、皆さんがコウノトリを見かけたとしても、コウノトリとは150m以上は距離を保ち、優しく、静かに見守ってあげてください。
今回、紀北町に飛来したコウノトリは、今年の春に
生まれたばかりの若鳥であったため、人間等への警戒
心が少し低いように感じました。
このコウノトリは、紀北町には3日間程度しか滞在
せず、新たな餌場(生息環境)等を求め、すぐに旅
立っていきましたが、東紀州地域は温暖で、自然環境
にも恵まれており、再度、コウノトリが当該地域を訪
れる可能性はないわけではありませんので、またの訪
問を期待しましょう。
なお、コウノトリは吉兆(めでたいことや良いこと
が起こる前ぶれ)を表す鳥といわれています。もし、
皆さんがコウノトリを見かけた場合には、コウノトリ
を驚かせることなく、大切に扱ってあげてください。
そうすれば、きっと皆さんに良いことが訪れるのでは
ないでしょうか。
最後に、皆さんにお願いです。野生動
物には絶対に近づかない!絶対に餌(え
さ)を与えない!ようお願いします。
かわいく見えても、相手は野生動物で
す。むやみに近づくと、鋭いくちばしや
きばで攻撃されたり、人畜共通の感染症
にかかる危険性(リスク)も高まりま
す。また、野生動物に安易に餌(えさ)
を与えると、人間に依存した個体とな
り、最終的には自然界で生きていくこと
ができなくなりますので、このような行
為は絶対にやめましょう!!