協働事業提案 「伊勢湾の浄化は小型船舶のトイレタンク設置」についての打ち合わせ概要
第3回
日時:2003.11.5(水)13:30~14:50
場所:アスト津3階交流スペース
1.出席者(敬称略)
NPO法人三重県トイレ協会 小野、長岡、東
科学技術振興センター保健環境研究部 高橋
環境部水環境チーム 寺澤
農林水産商工部水産物供給チーム 佐野
県土整備部港湾・海岸チーム
古川 コーディネーター(協働事業サポート委員) 稲葉、小川
生活部NPOチーム 出丸、若林、森下
総合企画局新パラダイム創造PG 福田
2.協働事業提案に関する意見交換
【環境調査(水質・底質泥の調査)について】
- 当初の提案内容をベースとし、これまでの議論の内容を受けて海洋調査はマリーナ3ヵ所に絞った。
- 具体的な調査内容を議論する前に、根底のところの議論がまず必要ではないか。
- 水質調査がマリーナに限定されるなら、水産物供給チームの業務からは外れる。
美しい三重の海のためにということで、PRなどの応援はできる。一緒にやれるところがあれば考えたい。 - 3つの調査箇所のうち、伊勢湾海洋スポーツセンターは県が委託している。河芸マリーナは、漁港区なら河芸町の所管。伊勢湾マリーナは四日市港管理組合の所管になる。
- 三重県環境部では、閉鎖性水域の水環境ということで、総量規制をやっている。
小型船舶からのし尿排出が負荷の一つであることはわかるが、誤差の範囲内と考える。予算化はできないが、これまでに県が行った水質検査の調査データ提供などの支援はできる。
科学技術振興センターは、行政からの依頼を受けて検査をするところである。 - 調査月は普通年4回、小型船舶の利用は夏場が多いので、季節変動だけでよいのか考える必要がある。
- どのくらいの調査で信ぴょう性のあるデータを得られるか。また、調査の必要性はどうか。
- 科学技術センターで検査経費を概算してみた。
一つの港で5地点、3層(上層、中層、下層)は必要。年間で最低7回(春夏秋冬、24時間調査2回、予備調査Ⅰ回)は必要。BODは海の場合、意味がない。この3港分検査費用で約210万円かかる。その他に船の費用が必要。民間だとこの倍はかかる。 - 県として、これだけの予算をかけて環境調査を行う必要は認められない。
- 県のどこかのチームがやらないと。NPOとしては、本来行政がやらないといけないことと考えて提案している。
- 公共水域の伊勢湾全体についての水質調査はやっているが、港の中など閉鎖水域のデータはとっていない。大きな地点で調査すれば十分との考えであり、たくさんの地点で調査している。
- 実態調査アンケート結果に基づいて啓発をすることがこの提案の目的である。湾内の赤潮発生率や漁獲量の変化等と関連づけることはできないか。
- アンケートをやって、どれだけ自分たちが汚しているのかと反論された時に、環境調査結果のデータで答えられるように、という意図である。費用がかかりすぎるというなら、もっと調査回数を減らすなどしてもよいのではないか。
- 信ぴょう性のある結果を出すために、最低これだけは必要という内容である。
- 横浜のマリーナでは、トイレを使うなという規制をしているところがある。普及啓発の根拠とするための環境調査なら、トイレを使わないようにしているマリーナとそうでないマリーナを比較調査してはどうか。
- 三重県では、トイレを使うなという規制をしているマリーナはない。
【トイレタンクの実態調査アンケートについて】
- トイレ協会としては、具体的に絞った内容を検討するということで、最初の提案内容をベースにして、調査表とアンケートを作成した。
- アンケート項目は、啓発をかなり意識してつくった。
- 県から、NPOが調査することへの協力依頼の文書は出せる。
- アンケートだけでも、どれくらいのし尿が出るかというデータがつかめるのではないか。
- 「船でどれくらいトイレを使いますか」という質問を入れてもよいのではないか。
- 小型船舶の数でいうと、津ヨットハーバー(伊勢湾海洋スポーツセンター)には500隻、志摩ヨットハーバーには150~160隻。ただし、津ヨットハーバーでは陸上に上げている数が多い。
- 環境調査をせず、アンケート調査だけをする場合、この3ヵ所のマリーナでよいと思うか。もともとマリーナ3ヵ所に絞ったのは、環境調査がしやすいと思ったからである。
- 伊勢湾内の漁港には、白子、河芸、白塚などがあるが、漁業者は減っている。
- アンケートはNPO(トイレ協会)がやるが、それに必要な経費は県が予算化してほしい。協働事業とはそういう意味だと思っていた。
- 県が予算化するには、アンケート調査の必要性を認めなければできない。
- アンケートも県としては必要ない、NPOが自由にやれということか。
- 県の関係チームの判断としてはそうなる。
【NPOからの協働事業提案募集について】
- この協働事業提案募集は、NPOが県に政策提案する道筋をつくるという目的で行ったものであり、大きな成果を残している。決して無駄にはなっていない。
- NPOチームには、審査会で採択された提案がもっと前へ進めるようにしてほしい。我々がこの提案募集に抱いていたイメージは、NPOチームが今言っているものとは違っていた。
- この事業のための予算枠というものはない。また、NPOからの提案だから優先されるというわけではない。他の事業と比較した上で高い優先順位がつけられる内容でないと、実際の事業化には至らない。
- それは行政がNPOのアイデアをつまみ食いするようなものではないのか。
- NPOや行政がどんな役割を分担するかは、公開で議論して考えていく。
- NPOから漁連へ話をすれば、予算が使える可能性はあると思っている。自分たちでやっていくが、必要なところで県の関係チームにも声をかけたい。そうする方が早い。
- それがまさにNPOのやり方である。
- 県としても、PRなどできるところは協力したい。
3.まとめ
- NPOからの提案の具体的取組内容(小型船舶のトイレに関する実態調査アンケート、水質・泥の環境調査)については、県が役割を担える部分がない。従って協働事業とはならないため、ワーキングでの検討は行わない。
- 県の関係チームとしては、啓発の場合のPRや、伊勢湾水質調査のデータ提供などの支援は可能であり、NPOが独自に取り組んでいく際に、必要な場面で相談を受ければ、随時対応していく。
(以上)
第2回
日時:2003.10.16(木)
場所:県庁8階生活部相談室
1.出席者(敬称略)
NPO法人三重県トイレ協会 小野、東、長岡、長岡洋子
県土整備部港湾・海岸チーム 古川
農林水産商工部水産物供給チーム 佐野
四日市港管理組合石綿、北林、早川、
生活部NPOチーム 出丸、森下
2.内容
前回の続きで、マリーナ・漁港の小型船舶のトイレタンク設置に限定するのではなく伊勢湾浄化につながるような啓発のための提案を行いたい。
具体的には、マリーナ漁港での小型船舶立ち入りのために行政から協力依頼文書を出して欲しい。
水の検査方法、手段、場所、項目、マリーナの利用と関係した調査を行政が現に行っている調査と同様の手法にて実施する。
モデル地域での実施という提案については、二見浦までのマリーナ・漁港であるので数は知れていると思うが、調査手段が細かくなってくると会員50名ではできないので、3カ所くらいに絞った方がよいかもしれない。
四日市港でも県の調査船等はトイレをつけていない、国は小さな船舶でも設置している。それは、海を汚しませんよと言う一種のアピール。
小型船舶からの排出量を調査して、啓発にもちいるためだけの内容ならば、調査する価値はない。現に汚染の状況はわかっているのだから、啓発だけのものであるならば調査の意味はない。
小型船舶の所有者は強く自己責任という観念を持っていて、調査に協力しないだろうからいきなりはじめたら強い抵抗があるから公共のマリーナであるとかから初めることが望ましいとは思う。
排泄物にしてもゴミにしても原因者負担が前提で、設置者が環境の配慮をするということは難しい。現にトイレの合併槽でも法定検査を受けていない方が沢山いる。海に流さないと規制しても守る人はいない。
調査→意識啓発→条例化を目指すというのは最初の提案でだしてあって、当然このメンバーはそこまで理解しているはず、その全体の流れの合意があって調査等の段階検討があるはずだ。
次回の打ち合わせを経て公開ワーキングを設定
次回:日時:平成15年11月5日(水)午後13:30~
場所:アスト津3階
第1回
日時:2003.9.24(水)13:45~15:20
場所:県庁8階生活部相談室
1.出席者(敬称略)
NPO法人三重県トイレ協会 小野、長岡、東
科学技術振興センター保健環境研究部 高橋
環境部水環境チーム 寺澤
農林水産商工部水産物供給チーム 佐野
県土整備部港湾・海岸チーム 古川
コーディネーター(協働事業サポート委員) 稲葉
生活部NPOチーム 出丸、若林、森下
総合企画局新パラダイム創造PG 福田
2.協働事業提案内容の説明(三重県トイレ協会)
- 伊勢湾は閉鎖水域であり、その汚れの原因の一つは小型船舶からのし尿排出である。
- 小型船舶へのトイレタンク設置の取組は、日本での前例はないが、海外の先進国ではトイレタンク設置は当然のことである。
- 役割分担としては、NPOは港やマリーナに停泊している小型船舶にトイレタンクがついているかどうかの調査を行う。県はその調査のための依頼文書を出すことと、港・マリーナが汚れているかどうか、表面水と泥の調査をしてほしい。
3.提案内容に関する意見交換
【水質・泥の調査について】
- 水や泥の調査をした結果、その原因が小型船舶のトイレに結びつけられるのか。
- し尿による汚染と生活排水による汚染は分析した内容で区別できる。
調査場所は海域ではなく、マリーナ、港に限る。 - なぜ調査場所をマリーナに限るのか。
海の汚染原因は生活排水が大きい。 - 船を使用する側の意識改革につなげたい。行政の責任もある。市民の手で身近なところからやってみたい。
- 海への流入負荷は県として把握している。
マリーナが汚染されているという結果が出たとして、その原因をどう評価するか。小型船舶のトイレが原因とは言い切れない。因果関係の判断は難しい。 - マリーナや港の停泊している船がどのような時期にどのくらいの時間、海に出るのかなどのデータがない。きめ細かなデータが必要になってくるのではないか。
- 水質調査はすでにいろいろな組織・団体がいろいろな目的でやっている。
- 利用できる調査があれば使う。どういう視点で調査するかが大事ではないか。
- 水質検査の結果は、三重県ホームページの「みえのうみ」「三重の環境」で公表している。
- マリーナの水をきれいにするには、まずマリーナの維持管理をきちんとする方が早い。
- 具体的な手法はともかくとして、小型船舶にもトイレタンクがついている方が環境によいことは間違いない。水質調査でそれが裏付けられればよいが、裏付けられなくても、意識啓発をやっていけばよい。
- し尿の海洋投棄も大きな問題である。 ・いきなり法規制をするのではなく、まず啓発運動が必要である。
- 啓発と調査は別にしてはどうか。
【トイレタンクの実態調査について】
- 県として文書が出せるのか。
- 文書を出すこと自体は困難ではないと思う。
- 行政から文書が出ないのであれば、NPOが漁連などに話しに行ってもよい。
- 県内にプレジャーボートは3,500隻あり、そのうち25%がマリーナにある。残り75%はマリーナ外にあり、実態があまりつかめない。
- 実態調査は、絞り込んでまずどこか1ヵ所のマリーナでやってみてはどうか。
- 調査はトイレタンク設置を呼びかけるための手法の一つなので、サンプル調査でもよいのではないか。小型船舶にトイレを付けようということを訴えていくためにはどうすればよいかを考える必要がある。漁協の人など、このワーキングに参加してもらった方がよい人たちが他にもいるのではないか。
4.今後の進め方についての意見・まとめ(今回の話し合いでは、あえて結論を出さない形で終了した。)
【トイレタンクの実態調査について】
- まずはどこかのマリーナを1ヵ所選んで調査をやってみてはどうか、という意見が出され、NPOの側も、そのようなやり方もよいという意見であった。
- トイレタンクの調査は、実態調査であると同時に、小型船舶の所有者に対して、海をきれいにするためにやっているという意図を伝え、みんなできれいにしましょうと呼びかけていく取組の一つの過程である。そのような目的を踏まえ、将来的に小型船舶へのトイレタンク設置を呼びかけることまで含めて、どのようなやり方でやっていくかを考えることが大切である。
【水質・泥の調査について】
- 水質と泥の調査をしたとしても、その結果が小型船舶のトイレによるものかどうかの因果関係を判断することは難しそうである。しかし、汚れているという現状を明らかにすることができれば、それはそれでよいうという考え方もある。小型船舶のトイレタンクはある方が環境によいことはわかりきったことなので、調査で因果関係が裏付けられなくても、意識啓発をやっていけばよい。
(以上)