土地改良事業の換地計画の認可(決定)及び換地処分
農用地の集団化・整形化を図る目的等で行う事業においては、各地権者が従前所有していた土地(従前地)に見合う工事後の土地を定める必要があります。この定められた工事後の土地を「換地(かんち)」といい、換地を従前地とみなす行政処分を「換地処分」といいます。
換地処分がなされるまでの手続き
1.換地計画の作成・権利者会議(法第52条第5項~第7項)
地域の実情を踏まえて作成された換地計画については、土地改良法(以下「法」といいます。)第3条に規定する関係権利者(所有権者、地上権者等をいいます。3.において同じ。)で構成される権利者会議において議決(3分の2以上が出席し、その議決権の3分の2以上の賛成)を経ることになります。
2.換地計画の適否決定(決定)・公告縦覧(法第52条~第52条の4)
権利者会議の議決を経た換地計画は、農業委員会の同意(※)、知事の適否決定(県営事業の場合、決定)手続きを経て、該当市町の窓口等で一定期間縦覧し、その後確定します(*)。
(※)県営事業の場合、不要
(*)市町営事業及び土地改良区営事業の場合、認可手続きをもって確定します。
3.換地処分(法第54条~第54条の3)
このようにして換地が定められれば、事業主体は、関係権利者に対し換地処分(通知)を行います。なお、換地処分の効果(従前地とみなされ、以後の権利関係が換地に移ること)は、知事が県公報に登載した日の翌日(消滅する権利については、公告日当日)に発生します。
4.換地処分登記(土地改良登記令)
換地処分に伴う登記の取扱いは、換地の形態によって異なります。
(1)従前の土地が1筆で換地が1筆の場合(1対1換地)
従前地の登記簿に換地に関する事項が記載されます。この場合、従前の登記済証(又は登記識別情報)が有効であり、別途登記識別情報は発行されません。
(2)従前の土地が数筆で換地が1筆の場合(合併型換地)
従前地のいずれか1個の登記簿に換地に関する事項が記載され、新たに登記識別情報が発行されます。その他の登記簿は閉鎖されます。
(3)従前の土地が1筆で換地が数筆の場合(分割型換地)
従前地のいずれか1個の登記簿に換地に関する事項が記載されます。この場合、従前の登記済証(又は登記識別情報)が有効であり、別途登記識別情報は発行されません。その他の土地については、登記簿が新設され、登記識別情報が発行されます。
(4)その他注意事項
・上記のいずれに当たるかは、各筆換地等明細書で、各筆の下に線が引かれている一体ごとに見ます。
・平成17年の不動産登記法一部改正により、登記済証に代わり登記識別情報制度が新設されました。
普通換地以外の換地の種類
不換地・特別減歩(法第53条の2の2、第53条の2の3)
従前地に対して換地を定めず、金銭清算することを「不換地(ふかんち)」といい、一筆の一部について換地を定めないことを「特別減歩(げんぶ)」といいます。
創設換地(法第53条の3、第53条の3の2)
反対に、従前地がないにも関わらず換地を定めることを「創設換地」といいます。これには「共同減歩による創設換地」「不換地等見合いの創設換地」の2種類があり、前者は、各地権者が少しずつ減歩して、農道・水路・ライスセンター等を生み出す手法であり、後者は、不換地・特別減歩の面積の範囲内で新たに土地(原則として用途制限はない)を生み出す手法です。
特定用途用地(法第5条第7項)
事業区域内に建築物等の敷地がある場合、当該土地も事業区域内に取り組むことが妥当である場合があります。このような土地を「特定用途用地」といいます。
異種目換地(法第53条第1項第1号)
農用地である従前地に対し、非農用地区域内に換地を定めることを「異種目換地」といいます。
「非農用地区域」とは土地改良法独特の文言で、当該農用地以外の用に供する土地の区域をいいます。なお、あくまでそのような区域に換地が定められたというだけで、通常どおり農地転用許可、開発許可(又は建築許可)、建築確認等が必要なことは言うまでもありません。
その他
一時利用地の指定(法第53条の5)
工事は数年かけて行われますが、換地処分がなされるまでの間の一時的な耕作地を指定することがあります。これを「一時利用地の指定」といいます。
その他
本頁における条文番号は、土地改良区営のものを記載していますが、県営事業にあっては法第89条の2、市町営事業にあっては法第96条の4においてそれぞれ準用されています。