飛散(ドリフト)に注意!
農薬が風に流されて隣の圃場の別作物にかかる危険があります。
飛散(ドリフト)しないよう注意しましょう。
また、次の場合にはさらに注意が必要です。
- 同じハウス内で異なる作物を栽培するとき
- ほ場どうしの距離が近いとき
- 周辺作物が収穫中あるいは収穫が近いとき
- 飛散が起こりやすい剤型や散布方法のとき
飛散(ドリフト)のリスクは、農薬使用時の条件により変化します
- 風が強いほど遠くまで飛散(ドリフト)します。
- 散布しているほ場に近いほど多く飛散(ドリフト)します。
- 散布する粒子が細かいほどよく飛散(ドリフト)します。
- 散布する圧力が高いほど飛散(ドリフト)します。
- 周辺作物の形態や特長などにより変化します。
飛散(ドリフト)に よる残留リスク |
作物の形態や特長 | 代表的な作物 |
---|---|---|
大 小 |
軽量・小型の葉菜類 | こまつな・ほうれんそう・モロヘイヤ・葉ねぎなど |
根菜類の葉 | だいこんの葉・かぶの葉 | |
軽量・小型の果実や果菜類 | うめ・ピーマン・ししとうなど | |
果菜類 | なす・トマト・きゅうりなど | |
重量のある葉菜類 | キャベツ・はくさいなど | |
果実(皮をむかないで分析されるもの) | かんきつ・なし・ぶどう・かきなど | |
果実(皮をむいて分析されるもの) | 温州みかん・すいか・メロン・キウイなど | |
穀類 | 米・麦・大豆など | |
可食部が地下にある作物 | ばれいしょ・さつまいも・だいこんの根・かぶの根・たまねぎなど |
農薬を使用する際は、使用する農薬の種類や時期などを周辺の栽培者に伝えるなど、日頃から連携をとり、地域の連絡を密にしておくことが重要になります。
飛散(ドリフト)のリスクを減らす対策
農薬を使用する前に使用することをお知らせし、使用時には、飛散(ドリフト)を減らすよう、これまで以上に工夫しましょう。
基本対策
以下の取り組みで、残留基準値を超過するリスクの多くを回避することができます。
(1)風が無いか、弱いときに風向きに気をつけて散布する。
風下に別の作物があるときは特に注意が必要です。また、日中は日差しにより上昇気流が発生することがあり、これにも注意が必要です。
(2)散布量は必要最小限の量と区域で行う。
農薬使用基準の遵守は当然ですが、散布量が多いとそれだけ飛散(ドリフト)する量も増加します。
(3)適切なノズルを用いて適正な圧力で散布する。
散布粒子が細かいほど、散布圧力を高めるほど飛散(ドリフト)しやすくなります。
(4)散布の方向や位置に気をつけて散布する。
できるだけ作物の近くから、その作物だけにかかるよう散布しましょう。
ほ場の端部(境界)での散布は、外側から内側に向けて行うようにしましょう。
(5)タンクやホースは洗いもれがないよう、きれいに洗う。
(6)農薬を散布したら必ず記帳する。
ほ場周辺の状況(栽培されている作物やその農薬使用状況等)の記録もつけましょう。
さらにリスクを下げるための対策
(1)周辺で農薬を使用する人と収穫時期や使用する農薬について相談する。
農薬の飛散(ドリフト)は、お互いの問題です。農薬の使用についてお互いに調整することは多くの問題解決につながります。
(2)三重県病害虫防除所が発表する「病害虫発生予察情報」やほ場での病害虫の発生状況を参考にし、農薬の必要性を判断する。
(3)病害虫の防除を化学合成農薬だけで行わず、耕種的・生物的・物理的な防除法を組み合わせて行う(総合的病害虫管理技術(IPM)の活用)。
耕種的防除:かん水・肥培管理、抵抗性品種の導入など
生物的防除:天敵の利用
物理的防除:黄色蛍光灯・マルチ・粘着板など
(4)周辺の作物にも登録のある農薬を使用する。
登録のある農薬でも、散布濃度や収穫前日数に注意してください。
(5)飛散しにくい剤型(粒剤等)の農薬を使用する。
(6)ほ場の端部(境界)では農薬を散布しない。
(7)ほ場の境界をネットやシートで遮蔽したり、周辺作物をシートで覆う。
(8)農薬散布日や収穫日を変更する。
(9)農薬でないと称しながら、病害虫の防除に効果があると説明するような資材を使用しない。
(10)たい肥や土壌改良資材などで、殺虫剤や殺菌剤が残留しているものは使用しない。
問い合わせ先
もし、飛散(ドリフト)してしまったら、すぐに周りの栽培者に知らせると共に、下記問い合わせ先に相談してください。
農薬使用についての問い合わせ先