新規就農ガイド農業につきたい方へ
心がまえ(1)「本人の心がまえ」 やりたい農業のイメージをしっかりと固めよう
「広い大自然の中で自由な暮らしがしたい」、「植物や動物が好き」、「会社組織の中で働くのが自分には合わない」、「時間に縛られた生活がしたくない」など、きっかけは人それぞれだと思います。しかし、気持ちだけでは農業経営はできません。 農業で生計を立てたいと思う方は、まず、自分のやりたい農業のイメージを大切にしながら、どんな作物を作ったら良いか充分に考えてください。あせらず、あわてず多くの農家を訪ねて情報を集め、皆さんの頭の中にある「農業」のイメージを固めて下さい。 農業を始めるということは、会社でいうところの社長となり自ら経営を始めるということです。つまり、”起業”することですから、「農業をしたい」という意欲が強いことはもちろんのこと、「どうすれば儲かるのか。」など経営的な感覚を持ちながら、技術や知識を深めていくことが重要となってきます。 |
・どういう目的で農業をするのか? ・何をやりたいのか? ・いつまでにやりたいのか? ・販売や労働力はどうするのか? ・5年後、10年後、将来どうなりたいのか? など |
心がまえ(2)「同意」家族やパートナーの同意を得ていますか?
農業を始めるということは単に自分がその職業に就くということだけではありません。生活環境や就農する地域の人々との関係など、家族にもさまざまな変化があり、子供の教育面においても、都会とは大きく異なります。都会の生活との違いを十分理解したうえで、農村生活をしていくことについて、家族全員でよく話し合い、家族全員の理解を得て下さい。 特に農業では、家族の労力を必要とする場面が多々あります。あなただけでなく、家族の農業に対する適性も十分に検討することが必要です。 |
心がまえ(3)「人間関係の変化」農村の地域社会にとけ込めますか?
農業で成功するかどうかは、地域社会にどれだけとけ込めるか、地域の人達とうまく「おつきあい」ができるかどうかにかかっています。
農業を始めるということは、その集落で生活することを意味し、家族全員が地域社会の構成員になることです。直接、農業に関わる共同作業だけでなく、さまざまな行事があり、集落の一員として協力しなければならないことがたくさんあります。集落の会合や行事などに積極的に参加し、地域社会にとけ込む努力が必要となること、また、農業の場合、地域住民の助けが必要となることが多いことも、十分に認識しておいてください。
心がまえ(4)「技術と能力」どんな農業が自分に合っているか?
農業技術を習得するのには時間がかかります。ほとんどの場合ノウハウは1年に1度しか経験できないものが多いからです。技術レベルを向上させるためには「この品目で就農する。」と決めた以上は、当分その品目を変えない覚悟が必要です。 したがって、農業を始めるときに、「何を作るのか。」が重要になってきます。アバウトなイメージの中で品目を選択される方が多いのですが、就農を成功させるためにはこの点が最も重要なポイントです。そのため品目を選ぶときには、特に注意して、必要な収入が得られるのか、自分にあったものなのか、さらに、栽培の難易度、商品としての評価、就農予定地での販売ルート、経営としての安定等、様々な情報を組み合わせた上で判断してください。特に果樹等の永年作物は、一度苗木を植えれば何十年と育てていくことになるのですから。「こんなはずではなかった。」と言う前に、農協や普及センターに相談し、市場価格、販売ルート、作型等の情報を収集し、総合的に検討することが必要です。 就農とは要するに自分が社長になるわけで、社長であるあなたが最終的に全ての責任をとることになります。十分に検討して、自分が「これなら大丈夫だ」と言うものを見つけてください。 「準備期間にどれだけ準備できるか?」準備不足はその後の農業経営に大きく影響してきます。本来の農業が忙しいのに加え、準備不足を補う活動も加わって、時間がいくらあっても足りない状況となる方もいます。準備期間をどれだけ充実させるかが、就農後のスタートをうまくいくために重要と考えてください。 |