第1回中山間地域活性化シンポジウム~三重の元気な地域づくりをみんなで考えよう~を開催しました
三重県の中山間地域は過疎化・高齢化などの多くの課題に直面しています。中山間地域を元気にするには何をすべきか、講演やパネリストから報告される食、交流、生活の事例を参考に、参加者で話し合いました。
シンポジウムの概要
開催日時:平成23年12月3日(土)13:00~16:00
開催場所:松阪市産業振興センター3階研修ホール(松阪市本町2176番地)
参加者数:119名
シンポジウムの内容
基調講演:地域を変える官民学連携の試み~あなたのまちが輝くために必要なこと~
三重大学人文学部准教授 石阪督規 氏
これまでの過疎対策、過疎地域の現状、これから何をすべきかなどを講演いただきました。ポイントについては、以下のとおりでした。
・社会が小さくなる縮小社会を乗り越えるキーワードは、1)コンパクト、2)他地域交流、3)総力戦
・2008年に石阪ゼミで実施したヒアリング調査で、1)商店がない、2)医療機関がない、3)上下水道がない、4)携帯電話の電波が届かない、5)移動手段がなく交通弱者になる、6)UIターンが進まない、7)就労の場がない、8)鳥獣被害が深刻であるなどがわかった
・若いときは外に出たいため、若者が外に出ることは悪いことではなく、戻ってこられる環境をつくるべきである
・魅力的な人をつくるのは魅力的な地域だが、地元に住んでいると良さに気づかない
・きっかけが必要で、その一つは外部との交流であり、大学生をいなかに派遣することは、簡単で成果が出ている方法である
・尾鷲の早田地区と石阪ゼミとの交流も行っており、地域に触れることで、大学生の進路が変わり、人生を変えるきっかけとなった事例もある
・あなたのまちが輝くためには、①らしさ、②わかさ、③たのしさが必要
・地域のあたりまえを疑ってほしい
パネルディスカッション
トータルコーディネーター:三重大学人文学部准教授 石阪 督規 氏
パネリスト:天満浦百人会副理事長 松井 まつみ氏、ほうすけクラブ代表 近藤 正治氏、柚原自治会事務局長 大石 正幸氏
パネリストから以下のような報告がありました。
天満浦百人会
・平成19年に夢古道おわせのスカイフードレストランに出店するため、NPO法人となり、活動を拡大
・地区の農家が管理できなくなった甘夏みかん畑を借りて甘夏を生産し、甘夏を利用した商品の開発
・夢古道おわせのスカイフードレストランでは、お母さんのレストランとして、天満浦の味を提供
・中部電力の保養所であった天満浦地区の古民家を買い取り、「カフェ天満荘」をオープンさせ、文化講座を行うなど地域のシンボル的な場所となっている
・活動当初は、天満浦を元気にと考えていたが、現在は「尾鷲をもっと元気なまちにしょうらい!」を合い言葉に、尾鷲全体を元気にしたい
ほうすけクラブ
・平成8年に(有)藤原ファームを設立し、現在では、集落営農で地域の95パーセントを受託している
・平成12年に菓子工場と直売所「えぼし」を建設し、米の加工販売と同時に、地域の農産物を販売している
・地域を守るためには、販売の取り組みに加えて、都市との交流も必要と考え、平成14年にボランティア組織「ほうすけクラブ」を結成し、地域活性化の取り組みを実施
・戦後最大の不景気の時期こそ、中山間地域の活力が求められており、ふるさと回帰に対して、努力する時期に来ていると感じている
柚原自治会
・お休み処「うきさとむら」を中心に地域食材(モロヘイヤや鶏肉など)を用いた地域振興を行ってきた
・簡易郵便局や農協出張所が廃止となり、金融機関がない地域となってしまったが、村の財布を自ら守るために、柚原簡易郵便局を誕生させた
・農協がなくなったことで、買い物をすることも困難となったが、住民などがお金を出し合って、柚原自治会が経営するみんなの店を誕生させ、最低限必要なものを地域で手に入るようにした
・みんなの店がNHKの全国放送で取り上げられ、全国各地から視察を受けるようになった
ディスカッション
事例報告ののち、石阪氏司会のもと、パネリストや会場と都市と農山漁村の交流のポイント、次世代への引き継ぎ、活動のきっかけ、リーダー論などについて意見交換が行われ、最後に石阪氏から、1)自分たちで何ができるかを考えること、2)行政は最大のパートナーであること、3)人材育成・開発をしっかりしていくことというまとめがありました。
休憩時間を活用して、天満浦百人会から甘夏みかん100%ジュース、ほうすけクラブから草餅えぼしの草餅、柚原自治会からうきさとむらのふところもちが振る舞われました。