動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動愛法」)改正
毎月開催している松阪食肉公社衛生対策会議において、2月24日三重県食品安全課担当者により動愛法改正について、と畜場に関係する項目がありましたのでパワーポイントを使って説明をしてもらいました。
動愛法というとどうしても犬や猫などペットに関する法律とのイメージがあるかも知れませんが、牛や豚など産業動物も間違いなく動物ですので該当する部分があります。
動愛法は検討条項として、施行後5年を目途に必要に応じて所要の措置を講ずると規定されており、その都度見直されてきました。
今回の改正に伴い、「産業動物の飼養及び保管に関する基準」が改正され、主に2項目が追加されました。
○第1 一般原則
産業等の利用に供する目的の達成に支障を及ぼさない範囲で適切な給餌及び給水、必要な健康の管理及びその動物の種類、習性等を考慮した環境を確保する
○第3 産業動物の衛生管理及び安全の保持
管理者及び飼養者は、その扱う動物種に応じて、飼養又は保管する産業動物の快適性に配慮した飼養及び保管に努める
追加された項目について努力義務として、産業動物もより快適に過ごせるように所有者、管理者は努めなければなりません。
と畜場では、牛や豚が農場からトラックに乗せられて見知らぬところに連れて来られるだけでも大きなストレスになります。
このストレスは牛や豚がと畜されてお肉になる場合、品質にも大きく影響が出ることから、繋留所のハード面、ソフト面の整備はとても大切です。
牛肉をはじめとした輸出量が増えてきています、EU、アメリカ等へ輸出をする場合、非常に厳しい衛生管理を求められますが、それに加えてEUへ輸出する場合、動物福祉に関する基準というのが決められていて
①と畜場において、EU 向け輸出の牛の搬入からとさつまでの間、動物福祉の観点から適切に取り扱われること。
②本基準を確実に実施するため、動物福祉に関する内容のマニュアルを整備すること。
こういった一般原則に続いて個別の規定が設けられています。
また、アメリカに輸出する場合も、「人道的な獣畜の取扱い及びとさつ」という項目があり、けい留場や導入路等では危害を与えないよう維持管理に努めること、給水や給餌に関することも決められています。
農場において、動物にとって快適な環境でない場合、食欲が落ち大きくならないし、病気になるリスクが大きくなる等、農場経営に大きな影響を及ぼします。
食肉衛生検査所では、疾病排除と衛生管理といった使命が大きな2本の柱と考えていますが、と畜検査員イコール公衆衛生獣医師であり、保健所で勤務する場合は動物愛護行政の主務として働くわけですので、動愛法をいつも意識して仕事をしていかなければなりません。