県立高等学校再編活性化基本計画の概要
1はじめに
- 三重県教育振興ビジョン、三重県高等学校再編活性化推進調査研究委員会報告、三重県高等学校教育改革推進協議会「審議のまとめ」を踏まえて、県立高等学校再編活性化基本計画を策定した。
- 県立高等学校再編活性化基本計画は、学習者起点の観点で、新世紀の新しいパラダイムの構築を目指して、教育振興ビジョンの実現を図る。
2現状と課題_
- 生徒の学習ニーズの変化、中学校卒業者数が今後8年間で約3千人減少する少子化、時代の転換期に対応した高等学校教育が必要である。
- 東紀州や度会郡は早急に対応する必要があり、東紀州では、尾鷲工業高等学校と尾鷲高等学校を統合し、教育内容・施設設備の充実を図っている。
3再編活性化の基本的な考え方
- 教育振興ビジョンを踏まえて、少子化を教育の環境、条件、内容面における質的向上を図るチャンスと捉え、高等学校の適正規模・適正配置化を推進する。
- 学校の特色化を進め、学習者に多様な選択肢を保障する。
- ITなど、技術の進歩を充分に活用して、教育振興ビジョンの実現を目指す。
4適正規模・適正配置について
(1)全日制高校の適正規模
- 県立高等学校(全日制課程)の適正規模を、原則として、大規模校は1学年学級数を8学級以下、小規模校は3学級以上、県立高等学校1校あたりの1学年学級数の平均値が6程度になるように努める。
- 周辺の学校の配置、学校運営の実態、施設、学習形態、入学状況等を踏まえ、地域や県全体のバランスに考慮しつつ、地域社会と共に適正規模化に努める。
(2)学校規模の適正化
- 小規模校は、子どもたちに魅力ある教育環境を整備する観点から、1学年2学級以下の規模を設置のコンセプトの一つとして開校した学校を除き、統廃合も視野に入れた活性化の具体的方策を地域社会とともに検討する。
- 「分校」の呼称は、「・・・校舎」または「・・・校」とする。
- 大規模校は、各学校の特色づくりを推進しつつ、原則として1学年8学級規模以下にする。
- 適正規模ではあっても、定員が満たされないなど学校の活性化が懸念される状況がある場合は、小規模校と同様の改革を進める。
(3)学校配置の適正化
- 専門学科の整理統合、ニーズにあった学科改編、「くくり募集」等を実施する。
- 芸術などの学科の新設や「特色あるコース」等のあり方について、学習者の選択幅拡大や、設置の趣旨に沿った教育効果、進路保障等の観点を踏まえ、早急に検討を進める。
- 普通科の個性化・特色化、教員が移動することも視野に入れた学校間連携、開かれた学校づくり等を推進する。
- 普通科を総合学科に改編することや、全ての普通科を単位制とすることも視野に入れた改革を進める。
- 総合学科を、体験的な学習の場を自校内に持たないタイプなど、様々な工夫をしつつ、地域における教育ニーズに応じて整備していく。
- 中高一貫教育では、通学可能な地域に中高一貫教育校を1校以上設置し、併設型等の積極的な研究を進める。
- 定時制の募集停止に関する従来の基準は今後は用いず、学習者起点で、学科の統合廃止を含めた活性化を進める。
- 昼間部、夜間部及び通信制課程を備えた「定通ネットワーク」の拠点となる独立校設置を、既設独立校を視野に入れて進めるとともに、伊賀地域への設置を研究する。
- 通信制課程の協力校を、東紀州、伊賀地域に設けていく。
5高等学校活性化に向けた取組
(1)学習者の選択幅の拡大
- 通学区域について、全ての学科で全県一区とすることを視野に入れた弾力的運用を実施する。
- 高校入試の廃止を視野に入れた教育振興ビジョンの趣旨を具体化する施策を進める。
(2)生徒の学習環境
- 新しい教育システムに応じた施設・設備を整備するとともに、既存の施設・設備の有効活用を図る。
- 学校の設置形態について、多角的に研究する。
- 様々な能力を持った教員の配置、社会人講師の活用を図り、将来の教員の年齢構成等の研究を続ける。
- ボランティア活動など学校外における学習機会や単位制などを拡大すると共に、到達度試験などの制度を整えるように努める。
6計画の推進
(1)地域の特性
- 地域や学校で、今後の県立高校の在り方について検討を進める。
- 教育委員会は、情報を積極的に提供していく。
(2)実施計画
- 6地域程度に区分し、地域ごとに3~5年間程度を見通した実施計画を策定する。
- 第1次実施計画は、平成13年度末を目途に策定を進める。
(参考)
- パラダイム・・・思考の枠組み、時代を反映する思想・考え方
- IT・・・情報技術。インフォメーションテクノロジーの略
- くくり募集・・・複数の学科を一括して募集し、進級時等に専門学科に分ける方法
- 中高一貫教育校・・・既存の市町村立中学校と県立高等学校による連携型、同一の設置者による併設型、一つの学校として6年間を一体的に中高一貫教育を行う中等教育学校がある。
- 定時制の募集停止に関する従来の基準・・・学科あたりの第1学年の在籍者が3年連続して8名未満のとき、翌年の募集停止を検討する。ただし、その際、学科の配置状況及び地域の状況を考慮するものとする。
- 学校の設置形態・・・県立、市町村立、私立、公設民営など、設置者等の違いによる区分
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