鳥羽市立桃取小学校
1 学校の概要
- 住所:三重県鳥羽市桃取町21-2
- 全校児童数:15名(平成27年度)
2 テーマ
地域等と連携した防災教育実践推進校3 取組概要等
桃取小学校は、これまでの下記の訓練を実施してきた。- 避難訓練(津波年2回、火災1回)
- 2次避難先(町コミュニティセンター)での引き渡し訓練1回
- 鳥羽市防災訓練への参加
- 避難袋の点検を兼ねた防災・減災教育授業(年1回)
- 1次避難場所での防寒対策、飲料水、トイレの確保。地域からの孤立。
- 保護者への速やかな引き渡し。安全かつ迅速に合流するための方法。
4 具体的な取組
<第一回> 避難訓練 平成27年7月3日(金)
三重大学の川口先生のほか鳥羽市教育委員会指導主事・市防災担当の方に見に来ていただいたが、雨のため裏山への避難訓練は実施できず、初動訓練のみを行った。避難訓練の後、川口先生に講評をしていただいた。「地震発生から、最初の津波が桃取に到達するのは約20分後。大きな津波が到達するのはさらに10分後であること。」「三つの約束」などについて教わった。
研修会では、教職員の心得や学校施設・設備についての改善点をご教授いただいた。
<第二回> 1日防災デー 平成27年10月6日(火)
三重大学から川口先生、市教委から田中・廣脇両指導主事を招き、避難訓練・防災研修会・地域対象の講演会を1日防災デーとして行った。避難訓練は、午前10時50分に地震発生の想定で行った。緊急地震速報受信端末機を活用しての訓練を行った。子どもたちはこれまで訓練をしてきた通り、迅速に対応し裏山へ避難をした。6年生が先頭になり、山の上にある一次避難所を目指した。保育所の園児たちも職員に手を引かれ、急な坂道を登り切った。約7分で全員避難することができた。
その後学校に戻り川口先生から指導・助言をいただいた。
以下は子どもたちの感想である。(一部抜粋)
- 「川口先生の話を聞いて、高い所に避難したら怖くないと言っていて、津波は怖いとずっと思っていたけれど少し安心しました。」(6年女子)
- 「地震の実験で、強くしてある家はたおれなかったけれどしてない家だとたおれるのでぼくの家も地震対策で強くしたいと思いました。」(6年男子)
- 「川口先生のお話を聞いて、家族で一回話してみようと思いました。そして、持ち出し袋も無いので準備しておきたいです。」(5年女子)
午後は、防災研修の一環として、一次避難所から地域の避難所までの経路を探った。一次避難所から地域の避難所へは尾根伝いに山道を歩かなければならない。以前は散策用の道が整備されていたが、年月が経ち、道は荒れ果てており、完全に途切れてしまっている箇所がいくつかあった。
川口先生、指導主事、学校長をはじめ、職員6名の計9名で歩いた。途中、道を見失ってしまったこともあったが、約80分をかけて無事居住区までたどり着くことができた。
午後7時からは「南海トラフ地震に備える~生き残り、生きのびて、次につなげるために~」という演題で、川口先生に地域住民対象の講演をしていただいた。
100名近い地域住民が参加した。川口先生の『本気で』という言葉が強く印象に残った。参加者の中から、「今回は参加者が少なくて申し訳ない。」という発言があった。小さな地域の中で100名近い参加者は十分に多いとも捉えられるが、桃取地区住民の防災・減災に対する思いの強さ、意識の高さを感じた。
<第三回> 避難訓練(自宅にいる場合) 平成28年2月23日(火)
児童が自宅にいる場合に警報が発令されたことを想定した避難訓練を行った。児童が避難する予定の避難場所に担当教員が待機し、児童は町内放送で避難指示がでた後、各自決められた避難場所に避難をした。平日の実施ではあったが、家に保護者がいた場合には共に避難をしてもらった。 また、自治会長をはじめ、多数の地域住民が子どもたちの避難の状況を見守った。訓練終了後、児童と担当教員はコミュニティセンターに集合し、川口先生に講評をしていただいた。
その後、職員は学校に戻り、各避難場所を点検・確認しての課題点や改善点について、地域住民と共に協議をした。
全体を通しての成果と課題
- 緊急地震速報受信端末機を活用した避難訓練を繰り返し行ったことで、児童の地震や津波への意識も高まり、避難も回数を追うごとに迅速にできるようになってきた。
- 地域の方に避難訓練を見ていただいたことにより、学校の取組についての理解が深まった。
- 川口先生から、専門的な立場での助言や講演を聞き、防災・減災や地震・津波への認識が高まった。
- 桃取小学校としては、平成28年度をもって閉校となるが、保育所は継続していく。今までは、小学校と一緒に避難訓練をしていたが、平成29年度からは保育所単独で行うこととなる。その場合、保育所職員2名だけとなってしまう。乳幼児が複数いる中で、どう子どもたちを安全に避難させるかが課題である。今後も状況に応じた避難訓練を実施していく必要がある。