鳥羽市立神島小学校
1 学校の概要
- 住所:三重県鳥羽市神島町388
- 全校児童数:19名(平成27年度)
2 テーマ
防災マップづくり実践推進校3 取組概要等
これまで避難訓練や保護者引き渡し訓練、通学路の危険箇所点検は行われてはきた。ただ、例年行われてきたものであったために、ややマンネリ気味であったことは否めない。また、住んでいる町については危険箇所点検がなされていなかった。そこで、今回、実践推進校の指定を受けたことを契機に、新たに居住地域のタウンウォッチングを行うと共に、防災・減災について児童、教職員、地域住民がともに考えていく機会を設定した。学習したことのまとめとして、「防災・減災学習発表会」を企画し、地域住民に対して学校の取組を発信し、また川口先生からもご講演いただくことで、神島地区全体の防災・減災意識の高まりをねらっていった。
4 具体的な取組
<第一回> 通学路危険箇所点検 平成27年7月1日(水)
例年第一回目の避難訓練時に、保護者への引き渡し訓練を行っている。その後、児童と保護者が通学路の危険箇所を確認しながら下校している。今年度は、あいにくの天候の為訓練は延期となり、当日はVTRを見ながら、児童と教職員とで危険箇所点検を実施した。通学路の至るところに見られる亀裂、山側に残る土砂崩れの跡、そのままになっている倒木、崖のようになっている谷、このような危険箇所を地図にまとめていった。子どもたちだけで行う初めてのマップづくりは思うようにいかなかったが、それぞれのまとめをみて、通学路は安全上かなり厳しい状況にあることがわかった。児童から「危険箇所だけじゃなくて、安全なところも見つけようよ。」という前向きな発言もあった。
川口先生からは地震が来たら身を守る行動をとること、津波に備えて避難すること、これらについて家族で話し合うことを教えていただいた。
<第二回> タウンウォッチング 平成27年9月28日(月)
これまで行われていなかった居住地域のタウンウォッチングを実施した。川口先生、市教委、市防災担当者にも同行していただき、地域を実際に歩き、自分の目で見て、危険なところや安全なところについて考えた。
「落ちてこない、倒れてこない、動いてこない」をキーワードに危険箇所を見つけた。亀裂が発生しているブロック塀や擁壁、屋根瓦やバケツ電柱(電圧を下げる油の入った容器付き電柱)、プロパンガスのボンベなど、地震時に危険なものを次々と発見していった。危険なものだけでなく、火災が起こった場合、自分たちで迅速に消火活動を行うための消火栓や消火ホース、安全な空き地や避難所など災害から身を守る施設についても発見することができた。
<第三回> 防災・減災学習発表会に向けての準備 平成27年10月5日(月)
3学期の防災・減災学習発表会に向けて、子どもたちと計画を立てた。写真を使って説明したり、劇を行ったり、クイズ形式でみんなに考えてもらったりと、子どもたちは工夫して発表しようと一生懸命考えた。6年生をリーダーとする班は、調べたことをもとにクイズをつくった。ただ単にクイズを出すだけではなく、できるだけ身近な問題として考えてもらえるように、地震が起こった場合を劇化して再現し、「さて、どうする?」と問いかけるようにした。劇化にあたって、担当教師も話し合いに加わり、子どもたちと共に台本や小道具をつくった。5年生をリーダーとする班は、調べたことをもとに画像を使って説明し、実際に現地へ撮影に行って、発表用映像をつくることになった。どちらの班の児童も楽しみながら取り組む姿が見られた。<第四回> 防災・減災学習発表会及び講演会 平成28年2月3日(水)
これまでの防災・減災学習で学んだことを地域住民に発表をした。当日はインフルエンザの流行もあり、ビデオ撮影をしての発表となった。しかし、「ゆっくり、はっきり、大きな声で」伝えようと、めあてを明確に持たせて撮影に臨ませたことで、学んだことをしっかりと発表することができた。
後半は、川口先生による地域住民に向けた防災・減災講演会を実施した。北九州にある神島とよく似た離島で起こった地震被害について、映像を交えて講演をしていただいた。実際に起こったことだけに、非常に現実味のあるお話で、地域住民も真剣に聞く姿が見られた。防災・減災意識の向上につながる講演会となった。
全体を通しての成果と課題
これまでも避難訓練・保護者引き渡し訓練・通学路の危険箇所点検は行われてきた。今回、川口先生から新たに防災・減災に関する視点を教えていただいたことで、めあてを明確にして取り組むことができた。通学路だけでなく、自分が住んでいる町周辺の危険箇所を調べたことは大きな成果であった。防災・減災学習の発表や川口先生による防災講演会によって、地域の方々の防災・減災意識を高めることができた。一般的な話ではなく、神島とよく似た離島の話ということもあり、より当事者意識を持って聞くことができた。
住んでいる地域のタウンウォッチングの取組は始まったばかりで、全ての世古(地区)について調べることができたわけではない。今後も継続して行うことで、神島全地区の危険箇所についても調べていきたい。
また、防災ノートを活用した授業については、各担任任せになってしまっている。今後は、系統だった指導がなされるよう、防災ノートを活用した授業の研究についても取り組んでいきたい。