紀北町立紀北中学校
1 学校の概要
- 住所:紀北町長島444
- 全校生徒数:204名(平成27年度)
2 テーマ
地域等と連携した防災学習、避難訓練3 取組概要
紀北中学校では、自分の命を守るために、自分で考え判断し行動することができる生徒を育てること、そして、学校が地域、保護者と連携することで地域とのつながりを深め、防災教育の中心となることを目的に防災教育に取り組んでいます。巨大地震への遭遇を想定し、自らの命を守る方法について考えるため、防災ノートを活用したり、防災タウンウォッチングと防災マップづくりなどを行っています。また、地域に開放した防災教室を開催し、防災すごろくやクロスロードゲーム等の取り組みを紹介したり、避難場所でのパーテイションづくりを地域の人といっしょに行うなどの取り組みを行っています。定期的に実施している避難訓練では、幼稚園と合同で実施し、幼稚園児の避難誘導を行うなど、地域防災に大きく貢献しています。
地域と協働しながら中学生が主体的に取り組む防災教育の推進と、防災教育を通じた町づくりにより地域の活性化が大いに期待されます。
4 具体的な取組
(ア)幼稚園と連携した避難訓練
- 日時:平成27年5月8日(金)第2限開始直後
- 目的
- 地震と津波を必然の災害としてとらえ、短時間で逃げる習慣を身につける。
- 学校周辺の地理的状況と、避難場所の位置を確認する。
- 対象学年:全校生徒204人、紀伊長島幼稚園児(24人)
- 場所:各教室
- 内容
- 大地震が発生し、津波が来るという想定で、高台に避難する。
- 避難経路途中で、避難する幼稚園児に合流したときは、園児の避難の手助けをする。
- 事前指導:幼稚園と事前に地震発生時刻等の打ち合わせをし、生徒には途中で園児に会ったら、一緒に避難するように指導する。
- 取組の様子
教室の後にはヘルメットと非常用袋
グラウンドや廊下で身を守る教室では机の下に
みんなで高台へ 歩けない人は掛けモック
途中で幼稚園児と手をつないで避難場所へ
(イ)防災タウンウオッチングと防災マップづくり
- 日時:平成27年10月28日(水)第1限~第5限
- 目的:校区内の各地区を実際に歩きながら、防災や避難に関する情報を自分自身でとらえ、その情報を災害時に生かすとともに、自分に何ができるかを考える機会とする。
- 対象学年:2年生(64人)
- 場所:紀北中学校校区
- 内容
- 2年生を10グループに分けて、それぞれのグループに教員と地域の方が加わり、校区内を10コースに分け、学校から出発し防災タウンウォチングを行う。(午前中1~4限)
- 体育館で写真や調べてきた内容を基に防災マップづくりを行う。
- 各グループが防災マップを使い、調査結果の発表を行う。
- 事前指導:グループに分かれ避難場所やコースを決め調査方法について学習する。
- 取組風景
地域の人といっしょに 体育館で、協力して防災マップを作りました
(ウ)防災教室での取り組み
土曜授業を活用し、防災教室を開催した。- 日時:平成27年12月19日(土)第1限~第3限
- 目的
- 体験的活動を通して地震津波に対する防災について知識や理解を深める。
- 「自分の命は自分で守る」を基本として、自分で考え判断できる生徒を育てる。
- 地震・津波に対する備えの大切さを理解し、実践できる生徒を育てる。
- 被災後の生活について考え、中学生として自主的主体的に行動できる生徒を育てる。
- 中学校での取組を公開することで保護者、地域との連携を深める。
- 対象学年:全校生徒(204人)保護者、地域の方々にも参加を呼びかける。
- 場所:紀北中学校および体育館
- 内容
1年 2年 3年 8:30 各教室 メディアスペース 体育館 クロスロードゲーム 防災かるた&防災すごろく パーティションづくり 9:30 メディアスペース 体育館 各教室 防災かるた&防災すごろく パーティションづくり クロスロードゲーム 10:30 体育館 全校集会 - 防災クイズ(1年生)
- 防災タウンウォッチングの発表(2年生)
- 3.11矢本第一中学校からのメッセージ(3年生)
パーテイションづくり
体育館などで使う避難所用の間仕切りで、段ボールでできてる。素材が段ボールなので比較的軽く組み立てやすい。説明は紀北町役場危機管理課がする。組み立てた後、一度スペースに入ってみて住み心地を体験する(10分程度)。その後、分解し整理する。生徒の感想
段ボールは「あったかいな~」としみじみ思った。段ボールでベットまで作ってあった。できたときは、すごくうれしく感じた。やっぱりプライバシーは大切だ。
クロスロードゲーム
トランプ大のカードを利用した手軽なゲームをすることで、災害への備えや災害後に起こる様々な問題を自分の課題として考える。
【例】避難所にペット持ち込むことについて賛成or反対保護者の方も参加 生徒の感想
「発地震発生10分で津波が来る、避難の途中で近所のおばあさんが気になった。まず、おばあさんを見に行く。「【Yes,No】」などいろいろ悩まされてどうしようと思うことがたくさんあった。正解がない問題であり、その人はどう考えたかが聞けてよかった。防災かるた
グループでかるた遊びをする。かるたは防災すごろくにあるカードをかるた用に作成したものを使用した。
生徒の感想
「高台に避難」とか「この命を守る」とか良いことや勉強になることが書いてあってよかった。楽しく学べた。防災すごろく
すごろく遊びの中で防災について学ぶ。途中でクイズもあり防災に対しての知識が深まる。
【例】Q:海の近くの通学路、登校中に大きな地震が起きた。怖いので海辺にある家に戻ってお母さんに会いに行こうと思った。○×どちら?
全校集会】
- 防災クイズ(1年生の実行委員が防災に関するクイズを出題する)
【例】エレベーターに乗っていたとき地震が起こったら、全部の階のボタンを押す〇or×
- 防災タウンウォチングの発表(2年生2班が代表して発表する)
- 3.11矢本第一中学校からのメッセージ(3年生の実行委員がプレゼンテーションを行う)
平成24年8月に鳥羽市と志摩市を中心に「2011年に防災サミットinみえ」が開催されたときに、宮城県の矢本第一中学校の代表の生徒が当時の様子や防災についての心構えを発表した。そのときの内容をプレゼンテーションで発表する。
生徒の感想
タウンウォチングでは町の中にこんなに危険な場所や物があることや避難場所のことがよくわかったのでよかった。発表を聞いて、非常用持ち出し袋を用意しようと思った。矢本第一中学校の話しから、想像できないくらい大変だったことがわかった。やっぱり実際に体験した人のメッセージ「自分の命は自分で守る」はとても心に響いた。
5 その他
- みえ防災大賞奨励賞を受賞しました。
「みえ地震対策の日シンポジウム」において表彰式が行われました。- 日時:平成27年12月6日(日)13時~13時30分
- 場所:東長島公民館(紀北町東長島915-2)
- 表彰にあたっては、表彰状及び副賞が知事から贈呈されました。
- 今後の取り組み
- 各学年で防災ノートを活用した授業実践をさらに進める必要があります。
- 地域の人と合同の避難訓練や炊き出し訓練、防災教室をすることで、学校を地域防災の発信地にしたいと考えています。
- 生徒会等と連携し、防災すごろく紀伊長島区版を作製することで、さらに防災意識を高めていきたいと思います。
- 防災かるたを中学校区の小学生と一緒にするなどして、小中の連携を深めることも 大切なことです。
これからも、「自分の命は自分で守るために、自分で考え判断し行動する生徒」を 育てていかなければならないと考えています。