鳥羽市立安楽島小学校
1 学校の概要
- 住所:鳥羽市安楽島町377
- 全校児童数:225名(平成27年度)
2 テーマ
防災・減災授業づくり実践推進校
3 取組概要
安楽島小学校では、居住区や通学路が海に近いこともあって、学校のみならず登下校中など様々な条件での避難等について、日頃から子どもたちに話すようにしてきた。また、従来学校より高台にある地域に地震・津波避難の際の二次避難所を設定し、そこへ向かって避難する訓練も実施してきたが、崖崩れ等の危険性が指摘され、二次避難所について再度検討をする作業を進めてきた。
「防災ノート」を使った授業については、実践はされているものの、学年間の系統性や指導内容については課題が残されてきた。
防災・減災環境については、ヘルメットが教室後方に置いたままになっていること、テレビハンガーやスクリーンが天井から下がったままであることなど、危険性を感じながらもそのままの状態になっているものもあった。
こうした中、平成27年度に文部科学省事業である「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」を活用して、学校防災アドバイザーとして三重大学川口准教授にお願いし、様々な研修を実施した。
4 具体的な取組
<第一回> 職員研修 平成27年7月8日(水)
三重大学・川口先生をお招きし、下記2点についてお話を伺った。- 災害と学校・教職員
避難時は子どもの安全確保が最優先であること、マニュアルは作成するプロセスに魂が宿ること、他の組織と連携した避難訓練の必要性、学校最大の使命は「学校の再開」であることを教わった。 - 防災ノートのねらいと活用
「防災ノート」の特徴は、1.突発的事態への対応、2.子どもが考えて書き込むこと、3.目的指向であることである。単に知識として「わかっている」ところから、自分自身に置き換え、行動に移せるようになることをめざすのが「防災ノート」であることを教わった。
今後の授業活用への大きなヒントになった。
<第二回> 授業研究会 平成27年9月25日(金)
校内研修に「防災ノート」を活用した授業実践を位置づけ、校内での指導案検討会を経て、3年生「自分の身は自分で守ろう」、6年生「生きる~津波・地震から身を守る」の公開授業を実施した。3年生の授業は、「学校防災・減災教育フォローアップ研修会」として、市教委から市全体に参加を呼びかけ、校外から9名の参加があった。助言者として、三重大学・川口先生をお招きし、実際の授業における「防災ノート」の活用について研修をした。川口先生からは、「こうなったら、こうしなさい」という固定的な姿勢からの脱却を図るのが「防災ノート」を使った学習であることを、具体的な授業場面をもとに教えていただいた。
<第三回> 防災・減災教育授業参観及び講演会 平成27年12月12日(土)
校内研修における授業公開を踏まえ、授業参観日に全校一斉に防災・減災教育の授業公開を実施した。その後、児童と保護者を対象に「南海トラフ地震に備える~子どもたちの命をまもり、次につなげるために~」と題した三重大学・川口先生の講演会を行った。参観授業の内容は、以下の通りである。
- 1年生「学校からの帰り道で大地震が起こったら」
- 2年生「家にいるときに大地震が起こったら」
- 3年生「外に出かけているときに大地震が起こったら」
- 4年生「学校からの帰り道で大地震が起こったら」
- 5年生「帰り道で危険なところは?」
- 6年生「ダイヤル171」
◇ 全体を通しての成果と課題
- 全校で授業公開や研修、講演会等を行ったことで、教職員・児童・保護者の防災・減災意識の向上に役立った。
- 「防災ノート」の活用を意図的・計画的に進める素地が整った。
- 「防災ノート」を児童が家に持ち帰って家庭学習として取り組むことで、保護者とともに防災・減災教育に取り組むことができ、同時に保護者の防災・減災意識も喚起できた。
- 教員の「防災ノート」に対する理解が深まり、適切な授業構成や指導方法を考えることができるようになった。
- 地域・保護者に学校の取組を伝えるよい機会となった。
- 保護者・地域と共に防災・減災教育を進める取組はまだ十分とは言えない。より一層地域に出向き、地域の方々と共に取り組む必要がある。