三重県教育委員会だより102
平成23年7月15日
今日的な教育課題や学校現場の情報を県民の皆さんにタイムリーにお知らせするため、「三重県教育委員会だより」を発信しています。
今回は、「教育委員による学校訪問」を掲載しています。
三重県立桑名工業高等学校を訪問しました
平成23年6月21日(火)午後、「教育委員による学校訪問」が行われました。対象となった学校は三重県立桑名工業高校でしたが、今回はデュアルシステムの現場を視察するということから、生徒の企業実習を受け入れていただいている桑原鋳工株式会社を訪問しました。
桑名工業高校では、平成16年度から文部科学省の指定を受け、参加を希望する生徒が、年間を通じて毎週1日、企業において実習を行なう「日本版デュアルシステム」に取り組んでいます。「デュアルシステム」とは、専門高校の生徒が事業所等において、学校での学習と関連のある実習を長期間にわたって実施することにより、実践的な技術や技能を習得する仕組みです。 職業を体験できる機会を充実するには、受入企業の開拓と仲介が課題となります。「桑名方式インターンシップ」では平成8年度から桑名商工会議所がその役割を担い、学校、企業、商工会議所が三者一体となって取り組んでいます。デュアルシステムはここから発展したものです。 現場では、2人の生徒が従業員の方に教えてもらいながら、加熱して溶かした金属を鋳型に流し込む作業などを行っていました。実習後は「大変なこともあるが、やりがいもあって楽しい」という感想を聞くことができました。
生徒の実習を受け入れていただいている桑原鋳工株式会社からは、「人間はある一定の年齢になれば、必ず社会に出て働くということを、徹底的に教えて欲しい」「働くことは人間としての役割を実現することであることも、教える必要がある」「生きるための仕事で、人間として成長する喜びや生きがいを見出していくことが大事である」といった、現場の生の声を聞かせていただきました。
また受入企業の開拓と仲介をしていただいている桑名商工会議所からは、これまでのご苦労や課題を聞かせていただくとともに、「子どもたちが学校では吸えない空気を吸えているので、本当に素晴らしいことだと思う」というご意見をいただきました。
当日は5人の教育委員が参加し、「子どもの顔を見て、仕事に向かう心構えを作っていることが分かった」「受入側にいろいろな意味で手間を取らせているが、日本や桑名のために、こういう仕組みをこれからも維持していかなければいけないと思う」「桑名地域では素晴らしいことをやっている。是非とも企業にとっても直接的にプラスになるような形にしなくてはいけない」などの意見が出されました。
最後に桑原鋳工株式会社から、「教育には金がかかる。先の世の中を予測し、子どもたちの将来に役立つことを、お金と情熱の両面でやっていかなければいけない」という熱いエールをいただきました。
教育改革室