三重県教育委員会だより98
平成23年1月27日
今日的な教育課題や学校現場の情報を県民の皆さんにタイムリーにお知らせするため、「三重県教育委員会だより」を発信しています。
今回は、「日本スポーツマスターズ2010三重大会を振り返って」、「教育委員による学校訪問」を掲載しています。
日本スポーツマスターズ2010三重大会を振り返って
~大会を支えたメディカルサポートボランティア~
昨年9月、シニア世代のスポーツの祭典「日本スポーツマスターズ」が三重県内8市町26会場で開催されました。
日本スポーツマスターズ2010三重大会が開幕した頃は、記録的な猛暑が続いており、ハードなスケジュールの中で開催される当大会において、熱中症やそれに伴うケガが多発するのではないかと心配されました。
結果的には、過去の大会と比べて救急搬送したケースも少なく、大会を無事終了することができました。その背景には、メディカルサポートボランティアの存在が大きかったように思います。
メディカルサポートボランティアは、全国から訪れる選手たちに、少しでも良い状態でプレーしていただくため、おもてなしの一環として三重大会で独自に取り組んだものです。
実行委員会の副会長であり、鈴鹿回生病院の名誉院長でもある藤澤幸三先生の提案で、三重県スポーツリハビリテーション研究会の理学療法士には、スポーツ傷害の予防、応急手当としてテーピングやストレッチング、コンディショニングを実施していただくとともに、スポーツ傷害の対処方法についての相談に応じていただきました。
また、理学療法士を目指す鈴鹿医療科学大学とユマニテク医療専門学校の学生には、利用者からの症状の聞き取りや施術後のアンケートなどのサポートを行っていただきました。
5会場6箇所に設置したサポートブースには、3日間で延べ131人がボランティアとして参加していただき、予想をはるかに上回る708人の利用がありました。
ブース設置会場(競技種目)と3日間の利用人数 | |
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四日市ドーム(ソフトテニス) | 120人 |
四日市中央緑地体育館(空手道) | 115人 |
鈴鹿スポーツガーデン(サッカー・バドミントン) | 81人 |
鈴鹿スポーツガーデン(水泳・テニス) | 127人 |
鈴鹿市立体育館(バレーボール) | 170人 |
伊勢サンアリーナ(バスケットボール・自転車競技) | 95人 |
利用した選手や競技団体の関係者からは、
- 「テーピングで不安が無くなり、試合中もプレイに集中できました。」
- 「予防のためのストレッチを教えていただき、大変参考になりました。」
- 「マスターズゆえに、このような取組があればいいなと思っていました。」
など感謝の言葉を多数いただきました。
施術にあたった理学療法士からは、予想以上の盛況ぶりに
- 「一人あたりにかける時間が十分にとれなかった。」
- 「試合時間に間に合わず、キャンセルになってしまった選手がいた」
という声が聞かれるとともに、
- 「古傷を抱えた選手が医療機関を受診せず、潜在的な障がいを持ちながらプレーを続けている選手が非常に多く、そのような選手へのサポートの必要性を強く感じた」
- 「全国大会のトレーナーブース設置に参加できたことは、個々のメンバーにとって大きな成長につながった」
という感想が寄せられました。
また、サポートにあたった学生からも、
- 「理学療法士の先生の治療により、選手が全力でプレーできるようになる様子を見て、理学療法士の需用の高さややりがいを再認識することができました。来年から臨床に出てがんばります。」
という感想が寄せられました。
このように、今回のメディカルサポートボランティアの取組は、選手や競技関係者からだけではなく、サポートを行った側からも感謝の言葉をいただくなど、様々な関係団体と“WIN&WIN"の関係を築くことができました。
手探りで始めた取組で、現場での関係団体との連携など課題も多くありましたが、非常に評判がよかったことから、次回の石川大会でもブースの設置を検討していただいています。
スポーツ振興室
教育委員が学校を訪問しました!
教育委員は、“子どもたちの輝く未来づくり"に向けた教育のあり方や教育改革の方向性を検討するにあたっての参考とするため、毎年何校かの学校を訪問し、授業参観や教職員、児童生徒との意見交換を行っています。いなべ市立山郷(やまさと)小学校
5月21日(金曜)は、いなべ市立山郷小学校を訪れました。山郷小学校は、「仲間とつながりながら一人ひとりが大事にされる学校づくり」をめざして取り組んでいる学校です。最初に、校長先生から学校が大切にしている取組についてお話を伺い、次に、1年生の国語と6年生の理科の授業を参観しました。ここの小学校には、どの教室にも過度な掲示物はありません。児童の気が散らないように配慮され、授業の流れも統一されているのです。「た」の字のつくものを発表する1年生、物が燃える条件を考え、整理していく6年生、どの児童も授業に集中し、自分の考えを伝えたい、友達の考えを聴きたいという姿が印象的でした。
志摩市立浜島小学校
10月4日(月曜)には志摩市立浜島小学校を訪問しました。今年度、二つの小学校が統合してできた新しい学校です。到着すると、真新しい校舎が迎えてくれました。校長先生から地域の特色を活かした取組などについてお話を伺ったあと、すべての学年の授業を参観しました。大きなモニターに次々と写し出される問題を次から次へと解いていく授業や、三角形の角の大きさの求め方をグループで考える授業などがあり、児童は目を輝かせて取り組んでいました。
最後に、校長先生、教頭先生、担任の先生との懇談会をもちました。統合を、二つの学校の文化を合わせるという意識ではなく、新しい学校を創るという意識をもって、仲間づくりや授業規範づくり、地域との連携をどうするかなどについて話し合われていることがわかり、よりよい学校づくりへの先生方の意欲を感じました。
伊賀白鳳高等学校
1月17日(月曜)は、伊賀白鳳高校を訪れました。平成21年4月に開校した伊賀白鳳高校は、工業科・農業科・商業科・福祉科の4学科に13のコースが設置された、新しいタイプの総合専門高校です。ある教室では、ユニフォーム姿の生徒たちが旋盤やアーク溶接に取り組んでいるかと思うと、隣の棟の教室では白衣を身にまとった未来のパティシエがお菓子作りに専念し、また違う教室では、真剣な表情で介護の実習に取り組んでいました。
農業の実習は、3キロほど離れた上野農業高校の農場を利用するため、生徒たちは専用バスで移動します。どの教室でも生徒たちの表情は真剣そのもので、生き生きとしていて、とても清々しい気持ちになりました。
社会に出たとき即戦力となるよう、多彩で実践的な取組を行っている伊賀白鳳高校では、どの先生もどの生徒も明るく楽しく充実した授業(実習)に取り組んでいるのが印象的でした。
今年度は、この他に、牧田小学校(鈴鹿市)、東部中学校(松阪市)、尾鷲小学校(尾鷲市)、南が丘小学校(津市)、桔梗が丘東小学校(名張市)、杉の子特別支援学校石薬師分校、四日市南高校、白山高校、鳥羽高校を訪問しました。
どの学校にも優れた強みがあり、いろんな気づきを得させていただきました。そして2月1日(火曜)には度会特別支援学校を訪問します。