三重県個人情報保護審査会 答申第97号
平成25年9月13日
三重県知事 様
三重県個人情報保護審査会 会長 安田 千代
個人情報の取扱いに関する制限の適用を除外する事項について(答申)
平成25年7月16日付け環生第17-142号で諮問のありましたこのことについて、その理由や必要性等を審査しました結果、当審査会の意見を下記のとおり答申します。
また、今回適当と認めた諮問事項につきましては、今後の個人情報の保護に対する社会の意識の変化等を踏まえ、適宜必要な見直しを行いながら適正な運用に努められるよう要請します。
記
1 諮問事項(個別諮問事項)
浄化槽に係る届出等の事務に関する目的外利用及び提供の制限の原則の適用を除外する事項(条例第8条第1項第7号)
2 審査会の意見
諮問のあった事項については、公益上の必要があると判断されることから、目的外利用及び提供の制限の原則の適用を除外することが適当であると認めます。答申を受けた内容に変更が生じた場合には、当審査会へ改めて諮問を行ってください。
また、提供先において個人情報の適切な管理措置が講じられるよう指導されることを要請します。
なお、本案件については、過去に出した答申の提供先団体が変更になったこと等に伴い再度諮・竄ウれたものです。しかしながら、提供先団体は平成24年4月1日に変更されており、諮問が行われるまでの間においても、従前どおり個人情報が提供されています。今後、同様のことが起こらないよう適切に審査会へ諮問してください。
3 実施機関からの諮問内容
1 主管する所属の名称 | 環境生活部 大気・水環境課 |
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2 所管する所属の名称 |
各地域防災総合事務所及び各地域活性化局の環境室 |
3 目的外での利用又は 提供の開始予定年月日 |
審査会答申後 |
4 事務の名称 |
浄化槽設置届け、浄化槽調書、使用開始報告、管理者変更報告、届出事項の変更報告、廃止届けに係る事務 |
5 事務の根拠 | 浄化槽法第5条第1項、第10条の2第1項、第3項、第11条の2第1項、建築基準法第93条第5項、三重県浄化槽指導要綱第11条第2項、第3項、第4項 |
6 事務の目的 | 浄化槽の設置に関して、生活環境の保全及び公衆衛生上の観点から審査を行い、必要に応じて浄化槽設置者へ勧告を行う。また、県は、法定検査結果、使用開始日、管理者変更、廃止状況を把握し、浄化槽が適正に維持管理されるよう指導監督を行う。 |
7 目的外での利用又は 提供をする個人情報の 対象者及び内容 |
県が取り扱う浄化槽に係る届出等に関する情報のうち、法定検査の実施に必要となるもの。
・浄化槽に係る建築確認申請計画変更届出書 設置者の氏名、住所、建築物の所在地、建築物の名称、変更の内容、変更事項 ・浄化槽変更報告書 浄化槽管理者の氏名、住所、設置場所の地名・地番、変更の内容、変更年月日 ・浄化槽管理者変更報告書 浄化槽管理者の氏名、住所、設置場所の地名・地番、変更前の浄化槽管理者の氏名 又は名称、変更年月日 ・浄化槽使用開始報告書 浄化槽管理者の氏名、住所、浄化槽の規模、設置場所の地名・地番、使用開始年月日 ・浄化槽使用廃止届出書 届出者の氏名、住所、設置場所の地名・地番、廃止年月日、処理の対象 |
8 目的外での利用又は 提供先 |
指定検査機関(一般財団法人三重県水質検査センター) |
9 目的外での利用又は 提供をする必要性等 |
【受検率の向上】(廃止届出、管理者変更)
浄化槽の法定検査(11条検査)は、浄化槽管理者に、毎年1回の受検が義務付けられているにも関わらず、受検率は、平成23年度末24.9%と低迷しています。この原因としては、浄化槽管理者の大半は一般家庭の世帯主であり、法施行(昭和60年10月1日)以前から浄化槽を設置している者も多いため、受検義務を知らない者も多く、指定検査機関からの受検案内が無ければ、法定検査の存在さえ知り得ない状況にあること、また、指定検査機関において、浄化槽管理者に関する情報が不足しており、十分な受検案内が行えないこと等が挙げられます。 法定検査は、指定検査機関の受検案内が無ければ、現状の受検率を維持することさえ困難であり、指定検査機関からの受検案内は、受検率の確保に大きな役割を担っています。 しかし、現在、廃止や管理者変更に関する情報は県から指定検査機関へ提供されていないため、廃止物件に検査案内を送付してしまう場合や、宛先不明の場合など、浄化槽管理者に正しく検査案内が行われていないケースが多いことから、法定検査に対する県民の信頼を損ねかねない状況となっています。 このため、県が保有する廃止や管理者変更に関する情報を指定検査機関へ提供することにより、指定検査機関から県内全ての浄化槽管理者へ適切に受検案内を行うことが可能となり、受検の機会を高めることにより受検率の向上が図られます。 【法定検査の適正な実施と信頼性の確保】(浄化槽変更報告、建築確認申請計画変更、使用開始報告) 7条検査は、使用を開始してから法で定められた期間に実施することとされていますが、実際の使用開始日が変更になった場合でも、指定検査機関には情報が伝えられないため、使用開始日が大幅に早まった場合など、適正な期間に検査を行えない場合があります。 また、浄化槽の構造等が変更になった場合、指定検査機関には、その情報は伝えられないため、検査員が現地で初めてそのことに気づき、事実確認のために検査を中止するなど円滑な検査の実施に支障となっており、情報が共有されていないことにより、法定検査、指定検査機関に対する県民不信を招きかねない状況です。 このため、構造変更等や使用開始日の情報を指定検査機関へ提供することにより、円滑な検査の実施と浄化槽管理者の法令遵守が図られ、浄化槽の適正な維持管理による水環境の保全に寄与するものです。 なお、指定検査機関が独自に浄化槽の設置状況や管理者の状況を調査するには、多大な労力と時間を要し、現実的に困難な状況です。 |