三重県情報公開審査会 答申第395号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った決定は、妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成24年9月28日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「退職願を撤回し病気休暇に変更できる最終期限を定めた文書」についての開示請求に対し三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成24年10月4日付けで行った公文書不存在決定(以下「本決定」という。)を取消し、開示請求に係る文書の特定を求めるというものである。
3 実施機関の説明要旨
実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
市町立学校職員の退職(辞職)については、「市町立学校職員の進退身分に関する内申等について」(県教育委員会通知)において辞職願等の様式を定めている。
今回の請求内容である「退職願を撤回し病気休暇に変更できる最終期限」については、同通知をはじめ、その他の規則等において規定した事項がないため、不存在決定を行ったものである 。
4 異議申立ての理由
異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
平成24年3月7日付「三重県教育委員会が定める教職員の退職届が撤回できる最終期限」の開示請求に対し、公文書不存在決定を受けた際の理由として、「退職届を撤回できる最終期限は個々の事象によって異なる。」との説明を受けたことから、改めて具体的な事例による開示請求を行ったが、再度不存在決定が通知されたので、納得できない。
5 審査会の判断
(1) 基本的な考え方
条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
(2) 本決定の妥当性について
実施機関から聴取したところ、辞職願の様式を規定した県教育委員会通知は公文書として存在するが、具体的に退職届を撤回できる期限の規程はなく、実施機関の説明に不自然、不合理な点は見られず、本件対象公文書が存在しないとする実施機関の主張は、信用できるものである。
以上のことから、本件対象公文書が存在すると認める理由はなく、不存在を理由とした本決定は妥当であると認められる。
(3) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会からの意見
当審査会の判断は上記のとおりであるが、次のとおり意見を申し述べる。
実施機関の不存在とした本決定については、上記のとおり判断したが、実施機関は、開示請求者に対して不存在決定を通知するだけではなく、その理由を十分説明することにより、県民への説明責任を果たすことが望まれる。
また、退職届を撤回できる期限については、個別の具体的な事例毎に判断するという実施機関の説明であったが、そうであれば、過去の具体的な事例等を開示請求者に対し、十分説明するよう努められたい。
7 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年 月 日 | 処理内容 |
---|---|
24.11.13 | ・諮問書の受理 |
24.11.14 | ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼 |
24.11.28 | ・理由説明書の受理 |
24.11.29 |
・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
25. 2.26 |
・書面審理 (平成24年度第10回A部会) |
25. 3.11 |
・審議 (平成24年度第11回A部会) |
25. 4.16 |
・審議 (平成25年度第1回A部会) |
三重県情報公開審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
---|---|---|
※会長 |
早川 忠宏 |
三重弁護士会推薦弁護士 |
※会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
会長職務代理者 | 丸山 康人 | 四日市看護医療大学学長 |
※委員 |
岩﨑 恭彦 |
三重大学人文学部准教授 |
委員 | 川村 隆子 |
名古屋学院大学経済学部准教授 |
※委員 | 竹添 敦子 |
三重短期大学教授 |
委員 | 藤本 真理 |
三重大学人文学部准教授 |