三重県情報公開審査会 答申第392号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った決定は、妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成24年8月23日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「非接触の人体通信並びに非合意の科学的及び化学的な人体実験に関する文書」についての開示請求(以下「本請求」という。)に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成24年8月29日付けで行った公文書不存在決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。
3 異議申立ての理由
異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、次のとおりである。
長年にわたり行われている非合意の人体実験に関する公文書、本来必要であるはずのインフォームドコンセントに関する文書は存在するはずである。非合意に行われている人体実験により、日常、仕事、生涯をまっとうするに著しい障害がもたらされている。具体例としては、身体に対して遠隔操作による被害を受けたり、思想や仕事に対する妨害や攻撃が多く、今現在も継続されている。また、本決定通知書の日付は、本請求を行ってから一週間であり、そのような短期間で開示請求に関する文書の調査が適切に行われたのかどうかを含めて、再調査したうえで文書の開示を求める。
4 実施機関の説明要旨
実施機関の主張を総合すると、次の理由により本決定が妥当というものである。
県が所掌する事務に、請求内容に関する事務はなく、いずれの所属も請求対象の文書を保有していないことから、一番関わりの深いと考えられる健康福祉総務課にて不存在決定を行ったものである。
5 審査会の判断
(1) 基本的な考え方
条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
(2) 本決定の妥当性について
異議申立人は、本請求に係る文書について、存在するはずであると主張している。また、本請求を行ってから一週間後に本決定が行われたことについて、調査が適切に行われたかどうかを含めた再調査を求めている。
これに対し、実施機関は、本請求の内容に係る事実等を把握している部署は存在せず、また、本請求に係る文書を作成及び取得しておらず、当該公文書は存在しないと主張する。当審査会が事務局に追加調査させたところ、県の所掌する事務に本請求に係る事務を認めることはできず、健康福祉部以外の関係部署の全てにおいても本請求に係る公文書を作成又は取得していることをうかがわせる事情も認められなかった。
なお、異議申立人は、一週間という短期間で適切に調査が行われたかどうか不信感を抱いているが、公文書は年度、分類毎に整理され、基本的に検索できるようになっていることからすれば、一週間の調査期間が必ずしも短期間であるとはいえず、妥当性を欠くとまではいえない。
以上より、実施機関の説明について特段の不合理な点は認められず、実施機関の説明は是認できるものであり、当該公文書を不存在とした本決定は、妥当である。
(4)結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年 月 日 | 処理内容 |
---|---|
24.11.30 | ・諮問書の受理 |
24.12. 4 | ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼 |
24.12.10 | ・理由説明書の受理 |
24.12.13 |
・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
25. 1.24 |
・書面審理 (平成24年度第9回B部会) |
25. 3. 1 |
・審議 (平成24年度第10回B部会) |
三重県情報公開審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
---|---|---|
※会長 |
早川 忠宏 |
三重弁護士会推薦弁護士 |
会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
※会長職務代理者 | 丸山 康人 | 四日市看護医療大学副学長 |
委員 |
岩﨑 恭彦 |
三重大学人文学部准教授 |
※委員 | 川村 隆子 |
名古屋学院大学経済学部准教授 |
委員 | 竹添 敦子 |
三重短期大学教授 |
※委員 | 藤本 真理 |
三重大学人文学部准教授 |