三重県個人情報保護審査会 答申第95号
平成25年2月20日
三重県知事 様
三重県個人情報保護審査会 会長 安田 千代
個人情報の取扱いに関する制限の適用を除外する事項について(答申)
平成25年2月12日付け健福第09-939号で諮問のありましたこのことについて、その理由や必要性等を審査しました結果、当審査会の意見を下記のとおり答申します。
記
1 諮問事項(個別諮問事項)
児童相談事務、母子保健事務及び精神保健福祉事務に係る目的外利用及び提供の制限の原則の適用を除外する事項(条例第8条第1項第7号)
2 審査会の意見
諮問された「児童相談事務、母子保健事務、精神保健福祉事務」において収集された個人情報の目的外提供については、虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器が提供されることのないようするためのものであり、公益上の必要があると判断されることから、目的外利用及び提供の制限の原則の適用を除外することが適当であると認めます。
なお、提供の際には、個人情報が過剰に提供されることがないよう、必要かつ適切な範囲内での慎重な情報提供に留意されるとともに、提供先において個人情報の適切な管理措置が講じられるよう指導されることを要請します。
3 実施機関からの諮問内容
事項 | 児童相談事務、母子保健事務、精神保健福祉事務 |
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提供する個人情報 の類型及び内容 |
対象者:臓器提供を行おうとする児童本人、きょうだい及び保護者
内容 (1) 対象児童についての子ども虐待・ネグレクトに関連する何らかの情報 (2) 対象児童のきょうだいに関する子ども虐待・ネグレクト情報 (3) 対象児童のきょうだいの中に、死因が明らかでない死亡者や乳幼児突然死症候群(SIDS)(疑いを含む)がいるという情報 (4) 保護者が覚醒剤や麻薬などの違法薬物を使用しているという情報 (5)対象児童の家庭において配偶者暴力(DV)があるという情報 |
提供先 | 児童の臓器提供を行う医療機関 |
目的外で個人情報 を提供する理由又 は必要性 |
(1)臓器移植法の附則では、虐待を受けた児童から臓器が提供されることのないよう、必要な措置を講ずる旨規定されている。 (2) 同法の運用方針において、移植医療に従事する者が虐待が行われた疑いの有無を確認することや虐待が行われた疑いのある児童が死亡した場合は、臓器の摘出は行わないことが明記されている。 (3) これらの規定を踏まえて、児童の臓器提供を実施しようとする医療機関では、「脳死下臓器提供者から被虐待児を除外するマニュアル」を参照し、児童相談所・保健所へ上記「提供する個人情報の類型及び内容」の情報を照会する方針となっている。 (4)したがって、児童の臓器提供時に医療機関からの照会に対し虐待等の情報提供を行うことは、移植医療の適切な実施という公益目的に資するものである。 |