三重県個人情報保護審査会 答申第89号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った開示決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、平成19年3月22日付けで異議申立人が三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った、異議申立人に対する分限申立書の分限事由の概要への記載事項の根拠とした文書に係る開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成19年4月3日付けで行った教委第20-28号による開示決定の取消しを求めるというものである。
3 異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書において主張している異議申立ての主たる理由は、以下のとおりである。
開示された「根拠となる文書」は以前の開示では全く開示されていない文書である。したがって、今回開示されることには矛盾があり、対象保有個人情報の特定に誤りがある。
4 実施機関の理由説明
実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。
異議申立人は、開示された文書が以前の開示では全く開示されていないと主張しているが、今回の請求に対し実施機関が特定した文書については、すべて以前に開示した文書に含まれており、異議申立人の主張は受け入れられない。
なお、異議申立人から同時になされた請求に対して特定した別の文書に、異議申立人が思っていた以上の文書が添付されていたことから、今回の異議申立てになったと思われるが、いずれの文書も本異議申立人に対して開示されたものばかりである。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立てに係る資料並びに異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 開示決定の妥当性について
本件請求は、異議申立人に対する「分限申立書」の「分限事由の概要」として記載された個別の事項に関して、その根拠とした文書について、開示請求がなされたものである。
この請求に対し、実施機関は市教育委員会から提出された「分限事由報告書」を対象保有個人情報として特定した。
本件対象保有個人情報の特定の妥当性について、当審査会で確認したところ、当該文書には、平成6年度から平成9年度の勤務時の状況として、請求者が求める「分限申立書」の「分限事由の概要」に記載された個別事項に関する報告が含まれており、本件請求に対する実施機関の保有個人情報の特定は妥当なものであると考えられる。
なお、異議申立人は、開示された文書がこれまで異議申立人が請求した保有個人情報に含まれておらず矛盾があると主張しているが、当該文書は本件以前の開示請求に対する開示文書に含まれており、この点において矛盾はない。また、そもそも個々の開示等決定はそれぞれが独立してその請求の対象となる保有個人情報を特定し決定するものであり、この異議申立人の主張は採用できない。
したがって、実施機関の行った開示決定は妥当であると認められる。
(2) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年 月 日
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処理内容 |
平成19年 7月 6日 |
・ 諮問書の受理
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平成19年 7月13日 |
・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼
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平成19年 7月23日 |
・ 理由説明書の受理
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平成19年 7月26日 |
・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
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平成23年 7月26日 |
・ 書面審理 ・ 実施機関の補足説明
(第96回個人情報保護審査会) |
平成23年 8月26日 |
・ 審議 ・ 答申
(第97回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 |
氏名 |
役職等 |
会長 |
浅尾 光弘 |
三重弁護士会推薦弁護士 |
委員 |
白石 友行 |
三重大学人文学部講師 |
会長職務代理者 |
寺川 史朗 |
三重大学人文学部教授 |
委員 |
藤枝 律子 |
三重短期大学法経科講師 |
委員 |
安田 千代 |
司法書士、行政書士 |