三重県個人情報保護審査会 答申第83号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った不存在決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、平成19年3月30日付けで異議申立人が三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った、指導力向上支援室で異議申立人が指導力向上研修中に他の職種への希望を提出した書面に係る開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成19年4月13日付けで行った教委第14-13号による不存在決定の取消しを求めるというものである。
3 異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書において主張している異議申立ての主たる理由は、概ね以下のとおりである。
研修期間中に研修担当主幹(以下「担当主幹」という。)の指示で作成した文書が不存在であることは不自然である。
4 実施機関の不存在理由説明
実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。
異議申立人が言う「他の職種への希望」とは、「平成15年度指導力向上支援研修に係る教員以外の職への配置換えに係る選考試験」に合格した上で、現職を免じられ、三重県教育委員会事務職員として採用される希望のことを指していると考えられる。
当該選考試験は、指導力向上支援研修を受講した教員で、三重県教育委員会が研修の成果が見られず指導力の向上等が期待できないと判断した者の中で、研修状況等から他職種への配置換えの余地が考慮できるとして指名するものを対象に実施することとしており、「平成15年度指導力向上支援研修に係る教員以外の職への配置換えに係る選考試験実施要領」の中で、指名された者には受験意思の有無を確認する旨示している。
以上のことから、他職種への配置換えを希望すること、又は当該選考試験の受験意思を有することを記録した文書を確認したが、そのような文書は一切存在しなかった。
決定に際しては、担当主幹ほか研修担当職員にも確認したが、そのような記憶はなく、また、配置換えの希望の提出は、人事担当所属に行うべきものであり、担当主幹はその立場にはない。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立てに係る資料並びに異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 不存在決定の妥当性について
異議申立人は、研修期間中に担当主幹の指示で作成した文書が不存在であることは不自然であると主張する。
しかしながら、実施機関によると、他職種への配置換えを希望すること、又は当該選考試験の受験意思を有することを記録した文書を確認したが、そのような文書は一切存在しなかったとのことである。
また、配置換えの希望の提出は、人事担当所属に行うべきものであり、担当主幹はその立場にはないという実施機関の説明にも特段の不自然な点は認められない。
なお、本来、配置換えの希望を受ける立場にある三重県教育委員会人材政策室に対して、審査会として対象保有個人情報の有無の確認を行ったところ、人材政策室においても文書が存在していないということが確認された。
したがって、実施機関の行った不存在決定は妥当であると認められる。
(2) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年 月 日
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処理内容 |
平成19年 6月18日 |
・ 諮問書の受理
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平成19年 6月20日 |
・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼
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平成19年 7月 6日 |
・ 理由説明書の受理
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平成19年 7月 10日 |
・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
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平成23年 4月19日 |
・ 書面審理 ・ 実施機関の補足説明 (第93回個人情報保護審査会) |
平成23年 5月24日 |
・ 審議 ・ 答申 (第94回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 |
氏名 |
役職等 |
会長 |
浅尾 光弘 |
三重弁護士会推薦弁護士 |
委員 |
白石 友行 |
三重大学人文学部講師 |
会長職務代理者 |
寺川 史朗 |
三重大学人文学部教授 |
委員 |
藤枝 律子 |
三重短期大学法経科講師 |
委員 |
安田 千代 |
司法書士、行政書士 |