三重県個人情報保護審査会 答申第69号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った不存在決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成18年1月15日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った、異議申立人に関する規律違反報告書中『全職員がグラウンドで体育祭の準備中に、理科室で校務と称して「私文書」を作成。校務に戻るよう注意したところ、これは「警察調書」で校務だと居直る。』との記述に関する以下の内容の保有個人情報の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、平成18年5月8日付け教委第20―72号で行った不存在決定の取消しを求めるというものである。
(1) 請求者が在籍した県立学校の平成13年度の体育祭の職員の職務分担表
(2) 記述中の「私文書」の具体的内容
(3) 請求者が「居直る」とは具体的にどのような行動を取ったのか、その内容
3 実施機関の説明趣旨
実施機関の主張は、概ね次のとおりである。
開示請求された内容は、全て異議申立人に関する規律違反報告書の内容に関わりがあるが、関わりがあるからといって、それらが全て文書として存在しているわけではない。
体育祭の職員の職務分担表については、裁判所への提出資料には含まれておらず、保存期間満了のため、既に廃棄され、存在していない。また、『記述中の「私文書」の具体的内容』及び『請求者が「居直る」とは具体的にどのような行動を取ったのかその内容』を記述した公文書は存在しない。
4 意義申立ての理由
異議申立人の主張は、概ね次のとおりである。
異議申立人に関する規律違反報告書は、特定の執行停止申立事件、免職処分取消請求事件に提出されており、いまだ係争中であるから、規律違反報告書の証拠となるべき資料は破棄されてはならず、証拠として存在しなくてはならない。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 本決定の妥当性について
異議申立人は、係争中の事件に提出された規律違反報告書の証拠となるべき資料は破棄されてはならず、証拠として存在しなくてはならないと主張する。
しかしながら、実施機関によると、当該係争については体育祭のことが争われているわけではなく、体育祭の職員の職務分担表は、直接にその係争に関係するものではないことから、保存期間満了後に処分したとのことであり、この説明に特段の不合理な点は認められない。
また、「私文書」の具体的な内容や「居直る」とは具体的にどのような行動をとったのかを記載した文書も存在しないという実施機関の主張に不自然な点は認められない。
したがって、実施機関の行った不存在決定は妥当である。
(2) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年月日 |
処理内容 |
平成19年 2月14日 |
・ 諮問書の受理
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平成19年 2月23日 |
・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼
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平成19年 3月8日 |
・ 理由説明書の受理
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平成19年 3月15日 |
・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
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平成22年 5月27日 |
・ 書面審理 ・ 実施機関の補足説明 ・ 審議
(第82回個人情報保護審査会) |
平成22年 7月 1日 |
・ 審議 ・ 答申
(第83回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 |
氏名 |
役職等 |
会長 |
浅尾 光弘 |
三重弁護士会推薦弁護士 |
委員 |
合田 篤子 |
三重大学人文学部准教授 |
会長職務代理者 |
寺川 史朗 |
三重大学人文学部教授 |
委員 |
藤枝 律子 |
三重短期大学法経科講師 |
委員 |
安田 千代 |
司法書士、行政書士 |