三重県個人情報保護審査会 答申第68号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った開示決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成18年1月15日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った、異議申立人に関する規律違反報告書中『度重なる注意に対して全く反省なく、逆に他の職員の仕事を妨害したり威嚇する。』との記述に関する以下の内容の保有個人情報の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、異議申立人が平成17年10月6日付けで請求し、既に開示済みであった「三重県を相手方にして裁判をおこしたことにかかるすべての書類」の一部を対象公文書として特定した平成18年5月8日付け教委第20-71号で行った開示決定の取消しを求めるというものである。
(1) 度重なる注意の内容
(2) (1)が行われたことを示す具体的な根拠
(3) 他の職員の仕事を具体的にどのように妨害したのかその内容
(4) (3)の根拠となる資料
(5) 請求者が具体的にどのように威嚇したのか、その内容
(6) (5)の根拠となる資料
3 実施機関の説明趣旨
実施機関の主張を総合すると、概ね次のとおりである。
度重なる注意の内容及びその根拠については、当該規律違反報告書に記載されている。他の職員の仕事を具体的にどのように妨害したか、請求者が具体的にどのように威嚇したのかについては、その具体的な内容を示す公文書は存在せず、その根拠となる資料も存在しない。
4 意義申立ての理由
異議申立人の主張は、概ね次のとおりである。
異議申立人が三重県を相手方にして裁判をおこしたことにかかるすべての書類の一部には、「申立人が度重なる注意に対してまったく反省なく、逆に他の職員の仕事を妨害したり、威嚇する」ことの具体的内容については一切記されていなかった。また、他の職員の仕事を妨害したり、威嚇した内容・根拠は、度重なる注意の根拠となるものであり、存在しないということは、度重なる注意の根拠となる資料がないと認めることである。このようなもので情報開示したとは到底言えない。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 本決定の妥当性について
本件開示請求は、異議申立人に関する規律違反報告書において、『度重なる注意に対して全く反省なく、逆に他の職員の仕事を妨害したり威嚇する。』との記述があるため、その記述に関して、具体的な内容や根拠を示す資料の開示を求めたものである。
これに対して実施機関は、別の請求において開示済みであった異議申立人に関する規律違反報告書を含む書類を特定し、その一部を対象公文書として開示決定をした。
審査会で対象公文書を確認したところ、平成14年7月30日付け規律違反報告書において、「3 規律違反の事実」として注意をした事例が記載されており、実施機関からの説明においても、この部分が度重なる注意の内容とその根拠に当たるとのことであった。
また、他の職員の仕事をどのように妨害したのか、どのように威嚇したのかについては、規律違反報告書中には具体的な内容までは記載されていないことから、この規律違反報告書を対象とはせず、このほかに具体的な内容及び根拠を示した保有個人情報は存在しないとのことであった。
以上の実施機関の説明に特段の不合理な点は認められず、実施機関の行った開示決定は妥当であると認められる。
(2) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年 月 日
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処理内容 |
平成19年 2月14日 |
・ 諮問書の受理
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平成19年 2月23日 |
・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼
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平成19年 3月8日 |
・ 理由説明書の受理
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平成19年 3月15日 |
・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
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平成22年 5月27日 |
・ 書面審理 ・ 実施機関の補足説明 ・ 審議
(第82回個人情報保護審査会) |
平成22年 7月 1日 |
・ 書面審理 ・ 実施機関の補足説明 ・ 審議 ・ 答申
(第83回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 |
氏名 |
役職等 |
会長 |
浅尾 光弘 |
三重弁護士会推薦弁護士 |
委員 |
合田 篤子 |
三重大学人文学部准教授 |
会長職務代理者 |
寺川 史朗 |
三重大学人文学部教授 |
委員 |
藤枝 律子 |
三重短期大学法経科講師 |
委員 |
安田 千代 |
司法書士、行政書士 |