三重県情報公開審査会 答申第338号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った決定は、妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成15年3月10日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「三重県立みえ夢学園高等学校夜間部の単位制推進委員会の平成13年度・14年度の取組状況について ①委員会開催日時 ②委員会からの企画提案内容 ③企画提案の現在の進展状況 ④その他(何かコメントがあれば)」の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成15年3月24日付けで行った公文書開示決定のうち、③及び④を不存在とした部分(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。
なお、実施機関は、①及び②については「第1回単位制推進委員会事項書」を対象公文書として特定し、開示決定を行った。
3 実施機関の説明要旨
実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
単位制推進委員会は、みえ夢学園高等学校夜間部に単位制を導入するに当たっての検討課題を協議するため、平成11年度に学校内に設置されたものであり、平成11年度に5回、平成12年度に6回開催され、平成13年度に単位制が導入されている。
単位制が導入された平成13年度の第1回単位制推進委員会において、単位制に係る今後の諸課題は、運営委員会、カリキュラム委員会、職員会議等の既存の常設機関で行うことが提案、了承された。以後、単位制に係る諸課題は、各委員会や職員会議等の場で検討、協議されている。
したがって、平成13年度の第1回単位制推進委員会の開催以降、単位制推進委員会は開催されておらず、開示した「第1回単位制推進委員会事項書」以外の文書は存在しない。
4 異議申立て理由
異議申立人の主張する異議申立ての理由は、異議申立書の記載によると、以下のとおりである。
不存在とした決定は、県民・学習者に対して直接責任を負って履行されている教育活動について説明責任を果たしておらず、不存在で良しとできるものではない。
開示された平成13年度第1回単位制推進委員会に引き続き平成14年度末に至るまで継続されているはずの単位制推進委員会が開催されていなかった理由を含む経過説明及び責任者の処遇を明記した文書を、教育委員会が当該高等学校に即刻作成させ開示することを要請する。
5 審査会の判断
(1) 基本的な考え方
条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
(2) 本決定の妥当性について
実施機関は、本件開示請求の対象となる公文書は保有していないとして以下のように説明している。
単位制推進委員会は、単位制を導入するための諸課題を検討するために平成11年度に設置し、平成11年度に5回、平成12年度に6回開催されたが、平成13年度に単位制が導入されたことから単位制推進委員会としての役割を終え、単位制の運用に係る細部の諸課題は、運営委員会、職員会議等既存の機関で検討していたことから、単位制推進委員会は開催されておらず、そのため文書は作成していない。
以上のような単位制推進委員会の設置目的・趣旨に照らせば、単位制の導入後は単位制推進委員会を設置しておく必要はなかったと認められる。現に、当審査会が事務局職員を通じて、平成13年7月16日に開催された平成13年度の第1回単位制推進委員会の事項書を確認したところ、単位制の運用に係る諸課題は単位制推進委員会ではなく、既存の各委員会等の場で協議していくことが決定された旨の記載が認められる。
したがって、平成13年度の第1回単位制推進委員会の開催以降、単位制推進委員会は開催されておらず、開示した文書以外の文書を保有していないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められず、また、当該文書が存在することを窺わせるような事情もない以上、当該文書を不存在とした本決定は、やむを得ないものと言わざるを得ない。
なお、異議申立人は、平成15年4月4日付けの異議申立書において、「平成13年度第1回単位制推進委員会に引き続き平成14年度末に至るまで継続されているはずの単位制推進委員会が開催されていなかった理由を含む経過説明及び責任者の処遇を明記した文書を、教育委員会が当該高等学校に即刻作成させ開示することを要請します」としているが、これらの文書については、平成15年3月10日付けで異議申立人が開示請求した公文書の範囲内のものではなく、本件異議申立てにおいて新たに開示を求めた文書であるから、異議申立人の主張には理由がない。
(3) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、下記のとおりである。
審査会の処理経過
年 月 日 | 処理内容 |
---|---|
15. 4.23 | ・諮問書の受理 |
15. 4.24 | ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼 |
15. 7. 8 | ・非開示理由説明書の受理 |
15. 7.10 |
・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
15. 8. 8 |
・書面審査 (第180回審査会) |
21. 2.13 |
・書面審理 (第313回審査会) |
21. 3.17 |
・審議 (第316回審査会) |
三重県情報公開審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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※会長 | 岡本 祐次 | 元三重短期大学長 |
※委員 | 川村 隆子 | 三重中京大学現代法経学部講師 |
委員 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
委員 | 田中 亜紀子 | 三重大学人文学部准教授 |
会長職務代理者 | 早川 忠宏 | 三重弁護士会推薦弁護士 |
※委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学法経科准教授 |
※委員 | 丸山 康人 | 四日市看護医療大学副学長 |
なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。