三重県情報公開審査会 答申第299号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平18年11月14日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「風致地区に指定されている特定の風致地区の内、緑地の所在地と面積」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成18年11月17日付けで行った公文書不存在決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。
3 実施機関の非開示理由説明要旨
実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
緑地に関する都市計画決定が行われている市町の場合には、名称、位置及び面積等を示した公文書が存在する。しかし、当該市町内には、現在又は過去において、緑地に関する都市計画決定は行われておらず、異議申立人が開示を求める当該特定風致地区において、緑地の所在地と面積が記載された公文書は存在しない。
4 異議申立て理由
本決定は、当該文書が存在するにもかかわらずなしたもので、違法である。
5 審査会の判断
(1)基本的な考え方
条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。
条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
(2)本決定の妥当性について
実施機関は、当該市町内には、現在又は過去において、緑地に関する都市計画決定は行われていないことから、異議申立人が開示を求める当該特定風致地区において、緑地の所在地と面積が記載された公文書は存在しないと主張する。
これに対して、異議申立人は、当該特定の風致地区の内で緑地に関する文書の開示を求めている。異議申立人によると、当該特定の風致地区に含まれている特定団地の販売時には特定の土地が緑地として記載されていたが、その後緑地でなくなったため、当該緑地が風致地区内にあったことから、このような変更は認められないと主張する。異議申立人が緑地を守りたいとする思いは理解できる。
実施機関の説明によると、都市計画法上の緑地とは、公園、広場、墓園その他の公共空地と同様の都市施設の一つであり、都市施設については、都市施設の種類、名称、位置及び区域その他政令で定める事項を都市計画に定めるものである。また、風致地区と緑地は直接的に関係のある概念ではなく、別個の概念であり、風致地区内に緑地を決定するものではない。したがって、当該地区において、緑地に関する都市計画決定がなされていないことから、開示請求に係る公文書が存在しないという実施機関の説明に不自然な点はない。
以上により、実施機関が公文書不存在とした本決定は妥当であると判断する。
(3)結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
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19. 1.16 | ・諮問書の受理 |
19. 1.18 | ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼 |
19. 2. 8 | ・非開示理由説明書の受理 |
19. 2.14 | ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
19. 8.22 | ・書面審理 ・実施機関の補足説明 ・審議 (第277回審査会)
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19. 8.29 | ・異議申立人の口頭意見陳述 ・審議 (第278回審査会)
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19. 9.14 | ・審議
(第280回審査会)
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19.10.18 | ・審議
(第283回審査会)
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19.11.15 | ・審議 ・答申 (第285回審査会)
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三重県情報公開審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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※会長 | 岡本 祐次 | 元三重短期大学長 |
※会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
※委員 | 伊藤 睦 | 三重大学人文学部准教授 |
※委員 | 渡辺 澄子 | 元三重中京大学短期大学部教授 |
委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学准教授 |
委員 | 丸山 康人 | 四日市看護医療大学副学長 |
委員 | 室木 徹亮 | 弁護士 |
なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。