三重県情報公開審査会 答申第294号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平18年11月14日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定土地区画整理事業認可申請に伴う「風致地区内行為許可」もしくは「風致地区内行為認可」の申請書及び申請に伴う全ての書類、図面、図書等」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成18年11月17日付けで行った公文書不存在決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。
3 実施機関の非開示理由説明要旨
実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
開示請求のあった公文書は、特定の土地区画整理事業認可申請に伴う三重県風致地区内における建築等の規制に関する条例(以下「風致条例」という。)第3条の規定に基づく協議申請書であり、実施機関が保有している風致条例の規定に基づく申請等に関する台帳によると、当該協議申請書は昭和52年に受付され、同年協議が成立している。
公文書の保存期間は、三重県公文書管理規定により保存期間の基準が定められており、風致条例の規定に基づく申請書等は「許可、認可、特許、承認、取り消し等の行政行為に関する重要な文書」として保存期間10年として取り扱っている。したがって、当該協議申請書の保存期間は、昭和62年3月31日をもって満了しており、不存在である。
4 異議申立て理由
本決定は、当該文書が存在するにもかかわらずなしたもので、違法である。
5 審査会の判断
(1)基本的な考え方
条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。
条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
(2)本決定の妥当性について
実施機関の説明によると、実施機関は、風致条例の規定に基づく申請等に関する台帳により、本件開示請求に関する文書が昭和52年当時に作成、あるいは収受された文書であることを特定した。しかし、当該文書は「許可、認可、特許、承認、取り消し等の行政行為に関する重要な文書」として保存期間10年として取り扱っているが、昭和62年3月31日をもって保存期間を経過しており、本件開示請求があった時点では当該文書を保存していない。
当該公文書がかつて保有されていたとしても、本件開示請求時点ではその保存期間を経過しており、なお現実に保存していないとする実施機関の説明には不自然はないことから、実施機関が公文書不存在とした本決定は妥当であると判断する。
(3)結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
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19. 1.15 | ・諮問書の受理 |
19. 1.18 | ・実施機関に対して非開示(不存在)理由説明書の提出依頼 |
19. 2. 2 | ・非開示(不存在)理由説明書の受理 |
19. 2. 7 | ・異議申立人に対して非開示(不存在)理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
19. 8.22 | ・書面審理 ・実施機関の補足説明 ・審議 (第277回審査会)
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19. 8.29 | ・異議申立人の口頭意見陳述 ・審議 (第278回審査会)
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19. 9.14 | ・審議
(第280回審査会)
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19.10.18 | ・審議 ・答申 (第283回審査会)
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三重県情報公開審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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※会長 | 岡本 祐次 | 元三重短期大学長 |
※会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
※委員 | 伊藤 睦 | 三重大学人文学部准教授 |
※委員 | 渡辺 澄子 | 元三重中京大学短期大学部教授 |
委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学准教授 |
委員 | 丸山 康人 | 四日市看護医療大学副学長 |
委員 | 室木 徹亮 | 弁護士 |
なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。