三重県情報公開審査会 答申第293号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成18年11月14日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の土地を、県が特定個人に売買した経緯、背景、原因、理由を示す公文書及び県が特定個人に売買した交渉記録の文書、業務報告書、決裁文書」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成18年11月30日付けで行った公文書不存在決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。
3 実施機関の非開示理由説明要旨
実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
開示請求のあった公文書は、特定の土地の経緯、背景、原因、理由、交渉記録の文書、業務報告書及び決裁文書であり、これを異議申立人からの開示請求内容から時系列で整理すると、昭和48年12月付け三重県の取得に係る公文書から昭和55年2月付けの嘱託登記に係る公文書の7件になると思われる。
公文書の保存期間は、三重県公文書管理規定により保存期間の基準が定められているが、上記公文書は「契約その他権利義務に関する重要な文書」として保存期間10年として取り扱っている。上記7件の公文書は、全て平成2年4月1日までに保存期間が経過している公文書であり、又実施機関としては保管しておらず不存在である。
4 異議申立て理由
本決定は、当該文書が存在するにもかかわらずなしたもので、違法である。
5 審査会の判断
(1)基本的な考え方
条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。
条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
(2)本決定の妥当性について
実施機関が、本件開示請求の対象になりうる公文書として特定したのは、昭和48年から昭和55年までの間の、特定の土地の所有権の移転に係る文書である。
実施機関の説明によると、当該公文書は「契約その他権利義務に関する重要な文書」として保存期間10年として取り扱われる文書であるが、全て平成2年4月1日までに保存期間が経過している公文書であり、又実施機関は本件開示請求にあたり当該公文書の有無を確認したが保管していない。
当該公文書がかつて保有されていたとしても、本件開示請求時点ではその保存期間を経過しており、なお現実に保存していないとする実施機関の説明には不自然はないことから、実施機関が公文書不存在とした本決定は妥当であると判断する。
(3)結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
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19. 1.15 | ・諮問書の受理 |
19. 1.18 | ・実施機関に対して非開示(不存在)理由説明書の提出依頼 |
19. 2. 5 | ・非開示(不存在)理由説明書の受理 |
19. 2. 9 | ・異議申立人に対して非開示(不存在)理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
19. 8.22 | ・書面審理 ・実施機関の補足説明 ・審議 (第277回審査会)
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19. 8.29 | ・異議申立人の口頭意見陳述 ・審議 (第278回審査会)
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19. 9.14 | ・審議
(第280回審査会)
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19.10.18 | ・審議 ・答申 (第283回審査会)
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三重県情報公開審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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※会長 | 岡本 祐次 | 元三重短期大学長 |
※会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
※委員 | 伊藤 睦 | 三重大学人文学部准教授 |
※委員 | 渡辺 澄子 | 元三重中京大学短期大学部教授 |
委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学准教授 |
委員 | 丸山 康人 | 四日市看護医療大学副学長 |
委員 | 室木 徹亮 | 弁護士 |
なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。