三重県情報公開審査会 答申第284号
答申
1 審査会の結論
実施機関の行った決定は、妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成18年11月20日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「平成15~18年度 研修教員が所属校で行う「所属校における研究授業の評価」を所属校から送られた事を示す鑑文」の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成19年1月15日付けで行った公文書部分開示決定(平成18年12月4日付け部分開示決定を一部変更したもの。以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。
3 本件対象公文書について
請求内容にある「所属校における研究授業」とは、指導力向上支援研修において、当該研修を受講した教員が所属校において行う研修(所属校研修)の中で、学習指導に関する実践的な研修の一環として児童生徒の前で実施する授業のことであり、その評価結果を記した文書が「所属校における研究授業の評価」(様式7)である。
本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、上記「所属校における研究授業の評価」(様式7)が所属校長から直接又は関係機関を通じて三重県教育委員会に提出されたときの普通文書(鑑文)であり、平成16年2月6日付け文書、ほか22件である。
4 実施機関の説明要旨
実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
上記3の「所属校における研究授業の評価」(様式7)その他指導力向上支援研修に関して三重県教育委員会へ提出された文書は、所属校長又は関係機関の職員が研修担当部署を訪問した折に、鑑文がない状態で担当職員に手交されることが多かった。
また、本件開示請求を受けた時点で保存していた鑑文の数が少なかったため、研修担当部署で探す努力をした結果、保存していた鑑文すべて(23件)を開示した。
5 異議申立て理由
異議申立人の主張を総合すると、次の理由により、本決定は取り消すべきであるというものである。
平成15年度の鑑文が1枚しかなく、不自然である。
6 審査会の判断
(1) 基本的な考え方
条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
(2) 本決定の妥当性について
実施機関によると、平成15年度に三重県教育委員会へ提出された上記3の「所属校における研究授業の評価」(様式7)は複数あるにもかかわらず、これらを所属校や関係機関が提出する際に添える鑑文が1部しか開示されなかったことから、異議申立人はこれを不自然であると主張している。
しかし、このような評価あるいは報告の文書を提出する際には必ず鑑文を添えなければならないとする定めもないことから、指導力向上支援研修に関して三重県教育委員会へ提出された文書は鑑文がない状態で担当職員に手交されることが多かったとする実施機関の説明は、不合理なものとはいえない。また、本件開示請求を受けた時点で保存していた鑑文の数が少なかったため、研修担当部署で探す努力をした結果、保存していた鑑文すべて(23件)を開示したとする実施機関の説明に、不自然な点は感じられなかった。
したがって、本件対象公文書のうち、平成15年度分のものとして特定された鑑文が1枚しかなかったことは不自然といえず、実施機関の本決定は妥当である。
(3) 結論
よって、主文のとおり答申する。
7 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
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19. 2.22 | ・諮問書の受理 |
19. 2.28 | ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼 |
19. 3.23 | ・非開示理由説明書の受理 |
19. 4. 3 | ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
19. 7.13 | ・意見書の受理 |
19. 7.19 | ・実施機関に対して意見書(写)の送付 |
19. 8.10 | ・書面審理 ・異議申立人の口頭意見陳述 ・実施機関の補足説明 ・審議 (第276回審査会)
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19. 8.31 | ・審議 ・答申 (第279回審査会)
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三重県情報公開審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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※会長 | 岡本 祐次 | 元三重短期大学長 |
※委員 | 丸山 康人 | 四日市看護医療大学副学長 |
※委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学准教授 |
※委員 | 室木 徹亮 | 弁護士 |
委員 | 伊藤 睦 | 三重大学人文学部准教授 |
会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
委員 | 渡辺 澄子 | 元三重中京大学短期大学部教授 |
なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。