三重県情報公開審査会 答申第276号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成18年10月3日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「平成15年度指導力向上支援室で研修教員の評価・報告等の全ての様式文書」の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成18年10月16日付けで行った公文書開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。
3 実施機関の説明要旨
実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
(1) 様式8-2-②は、当初、「社会体験研修日誌(研修教員用)」の様式として定めたものである。その後、「テーマ研修日誌(研修教員用)」の様式を定める必要が生じた際に、当該様式8-2-②の標題を変えて定めたため、同一番号の様式を2種類定めたこととなった。
(2) 開示請求に係る対象公文書として、
(ア)「平成15年度指導力向上支援研修ガイドブック」に掲載した様式及び年度途中で追加・変更を行った様式
様式1-1から様式10まで 22種類
(イ)研修教員の研修状況を評価するために用いた様式で当該ガイドブックに掲載しなかった様式
様式2、様式3、様式4、様式9 9種類
(ウ)人材政策チーム所管の様式
第9号様式 1種類
を特定して開示した。「センター研修」を標題とする様式、様式1、様式6及び様式8は定めておらず、様式5及び様式7は(ア)に分類する様式として開示している。
4 異議申立て理由
異議申立人の主張を総合すると、次の理由により、本決定は取り消すべきであるというものである。なお、異議申立人は、異議申立書において次の(1)(2)以外の理由も主張していたが、平成19年2月9日に当審査会へ提出した意見書において、これを取り下げている。
(1) 様式8-2-②が2種類ある。様式番号に疑問がある。
(2) 様式「センター研修」、様式1,5,6,7,8が開示されていない。
5 審査会の判断
(1) 基本的な考え方
条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。
(2) 本件異議申立てについて
本件異議申立ては、上記4の(2)の異議申立て理由にあるように、本決定における対象公文書の特定が妥当であったか、異議申立てに係る様式「センター研修」、様式1,6,8が存在しないとする実施機関の説明に不自然な点はないかどうかが争点であると考えられる。したがって、この点について、以下のとおり判断する。
なお、上記4の(1)の異議申立て理由は、本決定の違法性又は不当性に関する主張ではなく、単に実施機関の事務処理が分かりやすいものであったかどうかに関する主張であるから、判断しない。
(3) 本決定の妥当性について
本決定に関する実施機関の説明は、上記3のとおりである。開示請求に係る対象公文書を、(ア)(イ)(ウ)に分類して特定したとする実施機関の説明には不自然な点はなく、本決定における対象公文書の特定は妥当であったと考えられる。また、「センター研修」を標題とする様式、様式1、様式6及び様式8は定めていないとする実施機関の説明については、そのような公文書が存在するとの特段の事情も認められないから、確かに様式番号の付け方は分かりにくいものの、実施機関の説明に不自然な点があるとまではいえない。
したがって、実施機関の本決定は妥当である。
(4) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会からの意見
当審査会の結論は以上のとおりであるが、次のとおり意見を申し述べる。
上記4の(1)の異議申立て理由で異議申立人が主張するように、当審査会としても、本件対象公文書における様式番号が分かりにくい点は否めないと考える。平成15年度は指導力向上支援研修の初年度であり、必要の都度様式を定めていたため、必ずしも整然と定められなかったとの実施機関の説明も理解できなくはないが、研修対象者あるいは県民の視点から見て分かりやすい様式番号を付けるべきであったと考える。
7 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
---|---|
18.12. 1 | ・諮問書の受理 |
18.12. 7 | ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼 |
18.12.28 | ・非開示理由説明書の受理 |
19. 1. 9 | ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
19. 2. 9 | ・意見書の受理 |
19. 2.15 | ・実施機関に対して意見書(写)の送付 |
19. 6.29 | ・書面審理 ・異議申立人の口頭意見陳述 ・実施機関の補足説明 ・審議 (第273回審査会)
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19. 7.31 | ・審議 ・答申 (第275回審査会)
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三重県情報公開審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
---|---|---|
※会長 | 岡本 祐次 | 元三重短期大学長 |
※委員 | 丸山 康人 | 四日市看護医療大学副学長 |
※委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学准教授 |
※委員 | 室木 徹亮 | 弁護士 |
委員 | 伊藤 睦 | 三重大学人文学部准教授 |
会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
委員 | 渡辺 澄子 | 元三重中京大学短期大学部教授 |
なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。