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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第131号

答申

1 審査会の結論

実施機関が行った、本件異議申立ての対象となった部分開示決定のうち、審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成14年4月5日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の特養施設の補助金不正受給又は運営に係る不適正な実態に関して調査又は改善指示をした事について分る文書の全て」(以下「本件対象公文書」という。)の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成14年4月19日付けで行った部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

本件開示請求の対象は、次の公文書(以下「本件対象公文書」という。)である。

  • 当該社会福祉法人に対する特別監査の実施について(伺い)
  • 当該社会福祉法人に対する疑義事項の照会について
  • 職員の勤務実態について(報告)
  • 当該社会福祉法人に対する措置命令及び特別指導監査の結果について(伺い)
  • 特別指導監査並びに措置命令に対する当該社会福祉法人からの改善報告について

4 実施機関の非開示理由説明要旨

実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書は条例第7条第2号(個人情報)及び第3号(法人情報)に該当し、部分開示が妥当というものである。

条例第7条第2号により、個人に関する情報であって特定の個人が識別される情報のうち、公にすることで当該個人の私生活上の権利利益を害するおそれがある部分を非開示とした。

また、条例第7条第3号により、法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる部分を非開示とした。

なお、県が行う社会福祉法第56条第1項及び第70条による監査は、不当行為を行った職員の氏名や行為を明らかにすることではなく、社会福祉法人が法令に基づいてする行政庁の処分及び定款が遵守されているかを検査し、不適正な場合は当該社会福祉法人に対して、必要な措置を採るべき旨を命じることを目的としている。

5 異議申立ての理由

異議申立人は、次に掲げる理由から実施機関の決定は、条例の解釈・運用を誤っているというものである。

本件開示請求は、対象社会福祉法人における、公費による措置費の不適正支出について、社会的に公表することを目的に行ったもので、違法、不当な行為の事実関係、行為者の氏名、給付の対象者の氏名は公表されるべきであるから「個人に関する情報」などとして部分開示決定としたことは認めることができない。

6 審査会の判断

本件対象公文書について、実施機関は、条例第7条第2号(個人情報)及び第3号(法人情報)に該当するので非開示が妥当であると主張している。そこで、以下について判断する。

(1)基本的な考え方について

条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第2号(個人情報)の意義について

本号は、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨の規定であり、プライバシー保護のための非開示条項として、個人の識別が可能な情報か否かによると定めたものである。

しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。そこで、個人識別情報を原則非開示とした上で、個人の権利利益を侵害せず非開示にする必要のないもの、及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものをただし書で例外的事項として列挙する個人識別情報型を採用している。

(3)条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

実施機関が条例第7条第2号(個人情報)に該当するとして非開示とした情報は、下記のとおり分類することができる。

A)当該法人職員(役員を除く)の氏名、印影、社員コード
B)当該法人の交際相手方及び入所者の氏名
C)当該法人以外の法人の職員の氏名、印影
D)その他個人の氏名
E)当該法人の役員の情報
e-1)役員の生年月日、住所、電話番号、職業、続柄
e-2)理事会議事録(出席者欄に記載されている役員の氏名及び議事録署名人としての役員氏名は除く。)に記載されている役員の氏名、役職

以下に、上記それぞれの項目について条例第7条第2号(個人情報)の該当性を判断する。

A)当該法人職員(役員を除く)の氏名、社員コード、印影

当該法人職員の氏名及び印影については、特定の個人が識別され得る情報であり、本号本文に該当することは明らかである。異議申立人は、措置費の不適正支出に関する実態を明かにするため公益上開示すべきである旨主張しているが、当該法人の経営責任を有する役員の氏名は公開しており、職員名まで公開する公益性は考えられず、同号ただし書きロには該当しない。よって、非開示が妥当である。

B)当該法人の交際相手方等個人の氏名
C)当該法人以外の法人の職員の氏名及び印影

本件対象公文書には、当該法人から支払われた祝金、香典、見舞金等の相手先氏名、当該法人以外の法人の職員氏名が記載されている。これらの情報は、特定の個人が識別され、又は識別され得る情報であり、本号本文に該当することは明らかである。また、当該情報を公開する公益性も考えられず、同号ただし書きロには該当しない。よって、非開示が妥当である。

D)その他個人の氏名

審査会席上において、実施機関は「当該社会福祉法人が県議の支援者県議事務所に対して不正支出をしているとの情報があったが、社会福祉法人側が誤って支払ったとの報告を受けたため、県議の名誉のため名前を非開示とした」と説明している。しかし、支出が当該社会福祉法人の過失によることが明かであるならば、開示によって県議の名誉やその政治活動に悪影響を及ぼすことは考えにくい。また、公職につく者の氏名については、保護すべき個人情報に該当するとは言えない。よって、同部分は本号に該当せず、開示すべきである。

また、音楽療法の講師及びその助手として当該法人と委嘱契約を結んでいる個人の氏名、代書料等の支払先個人名が記載されている。これらの支払相手先は、業を営む個人であって条例第7条第3号(法人情報)に該当するか否かを判断すべきであるという余地はあるが、本件対象公文書からは業を営む個人であるかどうか判然としない。したがって、特定の個人が識別され、本号に該当すると言わざるを得ず、非開示が妥当である。

E)当該法人の役員の情報

実施機関は本決定において、役員名簿等に記載されている「役員の氏名」、理事会議事録の出席者欄に記載されている「役員の氏名」及び議事録署名人としての「役員の氏名」は開示している。

e-1)役員の生年月日、住所、電話番号、職業、続柄

これらの情報は、役員個人の私的な情報であり、当該法人の事業活動に関するものではない。よって、本号本文に該当し、非開示が妥当である。

ただし、代表者の住所については、法令により社会福祉法人の設立時に登記することが義務付けられており、登記は誰でも閲覧が可能である。よって、条例第7条第2号ただし書イ「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当し、開示すべきである。

なお、他の部分で氏名及び職業が開示妥当と判断された理事については、その氏名から役員名簿に記載された者と同一人であることは明らかであり、職業欄を非開示とする理由は無いため、開示すべきである。

e-2)理事会議事録(出席者欄に記載されている役員の氏名及び議事録署名人としての役員氏名は除く。)に記載されている役員の氏名、役職

議事録には当該法人の役員がその運営について話し合った内容が記載されている。そのうち、出席者欄と欠席者欄に記載されている「役員の氏名」及び議事内容部分については、実施機関は開示しており、発言者としての役員の氏名、発言内容に記載された役員の氏名を非開示としている。

発言者としての役員の氏名、発言内容に記載された役員の氏名は、当該法人を実質的に運営していると解されるものの氏名である。これらは、当該法人の事業に関する情報として判断すべきであり、原則として本号本文の個人情報からは除外されると解すべきである。したがって、本号に該当せず、条例第7条第3号(法人情報)に基づき判断すべきであり、後述する。

(4)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。

法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは著しく不当な事業活動によって生ずる支障から県民の生活を保護するため公にすることが必要であると認められる情報、及びこれらに順ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書きにより、常に公開が義務づけられることになる。

(5)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

実施機関が本決定において条例第7条第3号(法人情報)に該当するとして非開示とした情報を下記のとおり分類し、それぞれについて判断する。

F)当該社会福祉法人と契約を締結している法人等に関する情報
f-1)嘱託契約を締結している歯科医院の名称及び住所、医師(医長)の氏名及び印影、口座情報
f-2)委託契約を結んでいる法人の名称
f-3)業を営む個人の氏名
G)当該法人の交際相手方法人の名称
H)理事会議事録(出席者欄に記載されている役員の氏名及び議事録署名人としての役員氏名は除く。)に記載されている役員の氏名、役職

F)当該社会福祉法人と契約を締結している法人等に関する情報
f-1)嘱託契約を締結している歯科医院の名称及び住所、医師(医長)の氏名及び印影、口座情報

医院の名称は、当該社会福祉法人と同医院が嘱託契約を結んでいる事実を示す情報であるが、医院及び当該社会福祉法人の特別な事業情報にあたるとはいえない。また、医院の住所及びその医師(医長)氏名についても、開示することで同医院の不利益となる情報とは言い難い。よって、上述の部分は本号に該当せず、開示すべきである。

ただし、医師の印影については、その姓が示されているのみであって、医師が個人として使用する可能性を否定できない以上、第2号(個人情報)に該当すると考えられる。

また、医院の取引銀行名や口座番号については、一般的に当該医院の内部管理情報であると認められる。医院が発行する請求書等により通常の取引において外部に提供されている情報か否かについては、対象公文書からは判断できない。そのため、条例第7条第3号(法人情報)に該当し、非開示が妥当である。

f-2)委託契約を結んでいる法人の名称

対象公文書には当該社会福祉法人と業務委託契約を結んでいる法人の名称が記載されており、同部分は本決定において非開示とされている。実施機関は非開示とした理由について、同部分は開示することで当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる情報であり、本号に該当すると主張している。

対象公文書に記載された委託契約は、職員の出向に係るものと、その他の委託契約(外構設備保守等、具体的な工作・作業に係るもの)の2種類に大別されるため、それぞれについて以下に検討する。

まず、前者に関しては、通常「職員の出向」は何らかの強い結び付きがある法人間で行われることであり、競争的な市場が存在する分野であるとは到底考えることができない。また、開示によって法人間に交際関係があることが明らかになるが、これはG)で後述するように非開示とすべき情報に当たらない。よって、職員の出向について委託契約を結んでいる相手方法人の名称は本号に該当せず、開示すべきである。

次に、外構設備保守管理や看板取付の委託契約を結んでいる法人の名称について、本号の該当性を判断する。対象公文書には、社会福祉法人が支払った金額と支払の対象となった作業名が併せて記載されおり、同部分は既に開示されている。しかし、支払の対象となった作業の具体的な規格等は記載されていないため、相手方法人名が開示されても、取引の事実とその額が判明するのみであって、作業単価や作業標準等、委託契約の詳細まで明かになるわけではない。また当該社会福祉法人の側にとっても、委託契約の内容が設備の保守等であることを考えると、その契約相手方を非開示としてまで保護すべき利益が存するとは認められない。よって、本号には該当せず、開示すべき情報である。

f-3)業を営む個人の氏名

対象公文書には当該社会福祉法人と協議した税理士の氏名、及び役務費等の支払相手方個人名が記載されており、ともに本決定において非開示とされている。

対象公文書中において、税理士の氏名は当該社会福祉法人との協議の相手方として記載されている。協議内容等、具体的な記載を伴っていない点を考慮すると、税理士の氏名を開示することで、税理士、あるいは社会福祉法人に何らかの不利益が及ぶ可能性は極めて希薄であるといえる。よって本号に該当せず、開示すべきである。

G)当該法人の交際相手方法人の名称

法人の取引先や交際相手等の情報は、法人の事業活動に関わる情報であり、一般的には条例第7条第3号(法人情報)に該当する可能性がある。しかし、本件社会福祉法人は措置費により運営されており、自主財源で運営される法人と同一の基準により判断することは適当ではない。

上述のとおり、その運営は国や地方公共団体より交付される措置費に大きく依存していることから、交際状況の開示が同法人の経営状況等に大きな影響を与える可能性は極めて低いと考えられる。また、対象公文書に記載されている情報は竣工祝金等に関するものであり、法人の事業活動の詳細に及ぶものではないため、同部分の開示によりその活動に不利益を及ぼすことは考えにくい。

以上の理由から本号の該当性は認められず、開示すべきである。

H)理事会議事録(出席者欄に記載されている役員の氏名及び議事録署名人としての役員氏名は除く。)に記載されている役員の氏名、役職

理事会や評議員会は当該法人内部での活動であり、また、役員の発言内容を見ても、特定個人の件について議論している部分もある。前述のとおり、役員の氏名については既に開示されているが、どの役員がどのような発言をしたかという情報については、当該法人の内部管理に関する情報であり、開示することによって今後率直な意見交換が阻害されるなど当該法人の事業活動が損なわれる可能性は否定できない。また、同号ただし書きにも該当せず、非開示が妥当である。

(6)結論

よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別紙

審査会の処理経過

年月日 処理内容
H14. 4.30 ・諮問書の受理
H14. 5. 1 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
H14. 5.31 ・非開示理由説明書の受理
H14. 6. 4 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
H14.10. 1 ・書面審理
・実施機関の補足説明
・異議申立人の口頭意見陳述
・審議
(第160回審査会)
H14.11.13 ・審議
(第162回審査会)
H14.12. 3 ・審議
・答申
(第164回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 三重短期大学法経科教授
※会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 渡辺 澄子 松阪大学短期大学部教授
※委員 山口 志保 三重短期大学法経科助教授
委員 早川 忠宏 弁護士
委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授

なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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